【レポート】

エコプロダクツ2005 - ソニーの省電力技術「VME」など、メーカー側の取り組み

    大塚実  [2005/12/19]

    「京都議定書」で定められた、温室効果ガスの日本の削減数値目標は、1990年当時のレベルに比べて、排出量を6%減少させること。これを2012年までに達成させる義務があるが、2003年の段階で約8.3%増(出典:環境省「2003年度(平成15年度)の温室効果ガス排出量について」)と逆に増加しており、実現には困難も予想されている。

    二酸化炭素の排出量だけを見てみると、オフィスビル等の業務部門が1990年度比+36.1%、家庭部門が同31.4%と高い増加率を見せているが、絶対量で見てみると、産業部門(工場等)が4億7,800万トンと、総排出量13億3,900万トンの1/3以上を占めるダントツの1位だ(ただし、増加は+0.3%と低い)。

    もちろん、それに次ぐ大きさの運輸部門や、家庭・オフィスなどでも全体的に取り組む必要があるが、産業部門の影響は大きい。エコプロダクツ2005には大手電機メーカーも各社出展しており、自社の製品や取り組みに関して、説明を行っていた。ここでは、そのいくつかを紹介したい。

    ソニーは省電力・非石油系素材をアピール

    ソニーは、省電力技術「VME(バーチャルモバイルエンジン)」をアピール。VMEはソニーが独自に開発したリコンフィギュラブル(再構成可能)な回路で、これをLSI内部に搭載することで、ソフトウェアの柔軟性とハードウェアの高速・省電力性を持たせることができる。リコンフィギュラブル技術に関しては、ちょうど大原雄介氏の詳しいレポートが紹介されているので参考になるだろう。

    VME搭載のLSI。VMEは、ほとんどのウォークマンのほか、PSPにも採用されているという

    シリコンオーディオプレイヤーなどでは、モーターなど可動部がないので、消費電力の多くはLSIが占める。同社によれば、消費電力を1/4程度に抑えることができるとのことで、これにより、ウォークマン「NW-A608」では、50時間という長時間の音楽連続再生を実現している。

    また環境への取り組みについては、植物原料プラスチックの使用などについて紹介していた。植物原料プラスチックは、トウモロコシなどを原料とするもので、生分解性を持つのが特徴。強度の確保やコスト面などに課題はあるが、すでにAIBOのつま先や、ウォークマンなどで採用されている。そして、NTTドコモとの共同開発による携帯電話試作機(ベースは「SO506iC」)も展示。ケースの約60%に植物原料プラスチックを採用しているもので、ブースの担当者によると「次の機種では(植物原料プラスチックを)使いたい」ということだ。

    携帯電話試作機。なかなか肌触りもやさしい感じ

    ICカードへの応用も検討されている

    紙でできたCDケースも作っている。すでに2タイトルで実際に使用された。紙なので、直接文字や絵を描き込んだり、貼り付けたりすることができる。単体販売も検討中という

    リアプロジェクションTVの省エネ性もアピール。同じ50V型でも、プラズマTV「KDE-P50HVX」の消費電力474Wに比べ、リアプロTV「BRAVIA KDF-50E1000」は195W。同社製品同士で比較

    ケナフ繊維強化バイオプラスチックのNEC

    一方他社に先駆けて、携帯電話に植物原料プラスチックを本格的に採用したのがNECだ。同社は、今月発表されたばかりの「N701iECO」を出品。すでに販売中の「N701i」の新しいカラーバリエーションとなるもので、「来年2~3月の発売」(ブース担当者)となる見込みだ。N701iECOでは、本体の外装部分が、ABS樹脂からケナフ繊維強化バイオプラスチックに変更されている。

    動作機が展示されていた。外装部分のみのパーツも見せてもらえたが、写真は撮影不可だった

    ケナフ繊維を混ぜて強度を高めている。今のところ、NTTドコモ以外の機種で使う予定はないそうだ

    トウモロコシなどの原料からポリ乳酸を作るところまでは同じだが、一般的な植物原料プラスチックと違い、強度を高めるためにケナフ繊維が添加されている。ポリスチレン樹脂と比べて、二酸化炭素排出量は半分程度になるが、コスト的に従来よりも高くなってしまうのが課題ではある。

    富士通は電子ペーパーで紙の置き換えを

    富士通は、7月に発表した電子ペーパーを出展。すでに今年のCEATECなどでもデモ機が公開されていたが、2007年3月には、対角3.8インチの製品が量産出荷できるようになるという。

    赤色も綺麗に発色されるのが、同社の電子ペーパーの特徴という。バックライトは不要で、書き換え時にのみ電力が必要になるので、省電力性が高い

    多くの分野で、本物の紙に代わりうるポテンシャルを持つ。そうなれば、当然ながら紙資源の節約になる

    電子ペーパーというと、ソニー「リブリエ」のような電子ブックリーダーがまず思い浮かぶが、ブース担当者によれば、ニーズとして一番大きいのは、スーパーの食料品売り場などにある"棚札"なのだという。単純に価格を表示するだけでなく、生産者の情報なども提供したり、あるいは売れ行きを見て、値段を瞬時に変更させるようなことも簡単になるのだとか。

    現状、同社の電子ペーパーの反射率は30%程度で、これでも十分視認性は高いが、今後、技術的には60%程度まで向上させることが可能だという(これはほぼ本物の紙の反射率と同じくらいのレベルだという)。

    A4サイズ4枚を使ったデモも。これが単3乾電池2本だけで動いている

    会場ではなぜかミカンの販売も

    同展示会で利用する電力は全て「グリーン電力」で賄われている。グリーン電力について、詳細はコチラ

    会場の外では、燃料電池自動車などのエコカーに試乗するイベントや、有明水素ステーションなどを見学するバスツアーも

    なぜかミカンを売っているブースも。これはNPOの「BeGood Cafe」が始めた「オレンジプロジェクト」の最初の収穫。筆者も購入した

    会場内の食事もエコ。「ナチュラルフード・カフェ」では、オーガニック・減農薬食材を使った食事を提供していた。カレーが美味かった

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