【レポート】
今年春、コンピュータに関わるインタフェース技術全般をテーマとした国内最大規模の国際会議「インタラクション2005」が、例年に引き続き開催された。参加者は2004年を大幅に上回る622人を数えた。先進的な研究をいかに深め、そして使えるものにしていくのか。この会議を通じて考えられるところが多くあった。
2003年に参加者400名を超えた「インタラクション」は、1997年に始まり今回で9回目を数える国内最大規模のインタフェース関係の国際会議である。年々参加者が増え続けているが、ついに2005年には600名を突破した。2004年の昨年が、457名という状況だったので、2005年は昨年度比25%もの増加である。爆発的に参加者が増えているといってよい。このままだと2006年の第10回目は、800名規模になる可能性もある。
インタラクションでの発表は、一般論文と対話発表(インタラクティブセッション)とに大別されてきたが、2005年の今年はこれに加えて、萌芽的な研究を示すポスター発表が行われるようになった。一般論文は34件中13通の採択(採択率は約1/2)、対話発表が134件中81件(採択率は約2/3)、ポスター発表が73件となった。昨年も特筆すべき特徴として対話発表を挙げておいたが、今回はますますその規模と重要度がアップした。ポスター発表とあわせて、インタラクションの中心はまさに対話にあるといえそうだ。
先の参加者数に関して、600名を突破した大きな理由はこのポスター発表にある。73件のポスター発表の発表者、指導教官、共同研究者をあわせると、ちょうど600名になるわけだ。それに較べると、論文発表はやや低調といえる。
活況なのはよいことだが、今年は参加者が多すぎて人気のあるインタラクティブ発表(展示発表)には人だかりができ、まったく人が途切れず、結局発表を見ることができないというシチュエーションが続出した。インタラクティブ賞を受賞したシステムを取材できなかったのは痛恨の極みであり個人的にも残念なのだが、もし規模の拡大を許容するのであれば、発表時間を延長するとか開催日時を1日増やすなどの抜本的な対策が必要となるだろう。学会はショウではないという話もあるが、研究を深めるためには多くのひとに見てもらい、討論していくことも重要であろう。そのためにどのようにしたらよいのかは、早急に考えていく必要がある。講義形式の論文発表よりも、対話的に発表するインタラクティブ発表こそがインタラクションの神髄だ、という話もある。インタラクションとは対話のことなのだ。おおぜいに情報を効率よく伝えるためには講義形式もやむなしなのかもしれないが、なにか新しい道を模索する必要があるだろう。
たとえば、今回のインタラクションでは、すでにインターネット環境で試用し、動作実績をともなった「qwikWeb」「本棚.org」などの研究が見られた。
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qwikWeb。すでに実用に供されているメーリングリストとWikiWikiWebの統合システム。http://qwik.jp/でだれでも使用可能 |
qwikWebの開発者、産業技術総合研究所の江渡浩一郎氏 |
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本棚.org。自分のもっている/買いたい本を登録できる。裏には、アマゾンが動いている。ただし、本棚というには、「乱雑さ」や「背表紙」の質感が欠けており、整然とした印象 |
本棚.orgの開発者、産業技術総合研究所の増井俊之氏 |
これらからは、すでに実環境において充分な動作実績とユーザーをもち、インタラクションの会場においてはそのコンセプトの解説をするというように、インタラクションとコンセプトとが両輪として回っているのが感じられた。コンピュータが道具であるとしたら、実環境で動かないものには価値は見いだしにくい。コンピュータの進歩は早く、環境の進展も著しい速度であるから、乗り遅れてしまえばなかなか日の目を見ないということもありうる。実環境自体がインタラクションの場であるとすれば、これほど研究成果を発表するのに適当な場所はなく、しかもインターネット上であれば人だかりで見ることもかなわないというような制限は、多少は緩和される。人気があり過ぎてアクセス不能ということはあるとしても、である。インターネットじたいをインタラクションの場として位置づければ、発表のためだけの発表などが相対的に減ることになり、より研究と実用の差は小さくなり、クオリティもアップする可能性がある。萌芽的な研究はポスター発表としてフォローしつつ、実用性も高める点でインターネットで公開するのは悪くないように思える。だいたい、萌芽的と言いつつ土のなかで芽を出しかねているような場合でも、外の空気にもまれればもう少し発芽の機会が出てくるかもしれないのだし。
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増井俊之氏と筆者は、多くの前提と結論を共有しながらも、不思議とあまり意見が合わないのだが、その例がたとえばこの「リアル本棚」にあるように思える。リアル本棚のもつ乱雑さを、本棚.orgは捨て去っているように見える |
本棚.orgは、 |
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