【レビュー】

超小型PC「Pi-BOX」でGeode LXの性能を確かめる

1 ノースブリッジなどを統合したCPU「Geode LX」

    安達宜隆  [2005/12/07]

    省電力や静音性を追求したシステム向けに、Intel Pentium MやVIA C3に代表される低消費電力CPUが注目を集めている。元々はノートPC向けや組み込み機器向けとして設計されたCPUを、デスクトップPCに使用し、小型化・静音化を図ろうというのである。

    そのようなユーザーの声を反映してか、ピノーから、組み込み機器・シンクライアント向けのCPU「AMD Geode LX 800@0.9W」を搭載した小型PC「Pi-BOX」シリーズが発売されている(コンシューマー向けモデルの製品名は「Pi-BOX Sizka」)。今回その評価機を使う機会を得たので、その特徴・性能・使用感を紹介したいと思う。

    ピノーのGeode LX搭載PC「Pi-BOX」。組み込み用途向けの「Pi-BOX EcoGeon」シリーズに加えて、コンシューマー向けの「Pi-BOX Sizka」シリーズが販売されており、一般ユーザーでも購入可能

    Geode LXとは

    「Pi-BOX」を紹介する前に、搭載されているCPU「AMD Geode LX 800@0.9W」及びGeodeシリーズについても簡単に説明しておきたい。

    ご存じの通り、AMDはデスクトップPC向けにAthlonブランド、サーバー・ワークステーション向けにOpeteronブランドのCPUを提供している。しかし、CPUが必要になる機器はこれだけではない。そこで、AMDは「x86 Everywhere」というビジョンのもと、デスクトップPCはもちろんのこと、サーバーから組込用まで、あらゆる分野において同社のx86プロセッサを提供しようとしている。その中で、組込み機器やシンクライアント向けに提供されているCPUが、Geodeシリーズである。

    Geodeシリーズには、さらに用途に応じて異なるCPUが用意されており、組込み機器や小型PC向けで「モバイルAthlon」をベースにした「Geode NX 1250@6W」、組込み機器向けでファンレス運用も容易な「Geode GX 533@1.1W」などが既に提供されている。今回紹介する「Pi-BOX」に搭載されているGeode LXは、このGeode GXシリーズとGeode NXシリーズの中間に位置する製品であり、Geode GXとGeode NXのパフォーマンスギャップを埋める製品とされている。

    これらのGeode各製品の詳しい仕様は、下表をご覧いただきたい。

    Geode GX 533@1.1W Geode LX 800@0.9W Geode NX 1250@6W
    動作クロック 400MHz 500MHz 667MHz
    L1キャッシュ 16KB+16KB 64KB+64KB 64KB+64KB
    L2キャッシュ 128KB 256KB
    拡張命令 MMX 3DNow! MMX 3DNow! MMX 3DNow! SSE
    メモリーコントローラ 266MHz DDR 400MHz DDR
    グラフィックスコントローラ 最大1600×1200 16bitカラー 最大1920×1440 32bitカラー
    製造プロセス 150nm 130nm 130nm
    CPU平均消費電力 1.1W 0.9W 6W
    チップ平均消費電力 2.0W 1.6W 6W
    チップ最大消費電力 3.5W 2.4W 9W

    「Geode LX 800@0.9W」や「Geode GX 533@1.1W」で特徴的なのは、CPUコアだけでなく、メモリーコントローラやグラフィックスコントローラ、PCIバスコントローラなども1つのチップの中に搭載されていることだろう。ちょうど、CPUとノースブリッジ、それにグラフィックスユニットが1つのチップに納まったような構造をしている。これによって、システム全体の省電力化に貢献するだけでなく、チップの実装面積を小さくすることにもつながっている。ここは、モバイル AthlonをベースにしたGeode NXとの大きな違いである。

    「Pi-BOX」に搭載された「Geode LX 800@0.9W」(左写真)およびコンパニオンチップ(サウスブリッジに相当)の「CS5536」。

    ここで、製品名で誤解を招きそうな点が2点あるので、簡単に触れておく。まず、個別のCPU名の後に続く数字(800や533や1250)は、いわゆるモデルナンバーであり、実際の動作周波数ではない。これらの数字は性能を表す指標としてAMDが付与した数字である。

    実際にAMDのWebサイトでは、GeodeとVIA C3とのベンチマーク結果が紹介されている。つまり、GeodeシリーズのモデルナンバーはVIA C3に対する性能を表しているものと考えられる。また、ここから、VIA C3対抗という、Geodeシリーズの位置づけも見えてくるだろう。

    次に、0.9Wや1.1Wという数字。これは平均消費電力を表しているのだが、チップの平均消費電力ではなく、CPUコアだけの平均消費電力を表していることに注意が必要である。前述のように、「Geode LX 800@0.9W」や「Geode GX 533@1.1W」にはCPUコアだけでなく、メモリーコントローラや、グラフィックスコントローラなどが含まれている。そのため、チップとしての消費電力はCPU単体の場合と比べて必然的に大きくなる。そこで、チップの平均消費電力からCPUコアの寄与分を割り出し、その結果を表示することにしたわけである。ちなみにAMDの製品紹介によると、「Geode LX 800@0.9W」のチップ全体の平均消費電力は1.6W(TDP 2.4W)とのことである。

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