【レビュー】

ウィルコム「SIM STYLE」端末はモバイルユーザの福音となり得るか?

3 データ通信機能に特化した"DD"の潔さ

    丸山弘詩  [2005/11/30]

    音声通話とメールに特化した"TT"に対して、"DD"は「PCに接続してデータ通信を行う」ことだけに特化している。つまり、両者は互いに補完し合う関係にある端末だということだ。実際、通販サイトである「ウィルコムストア」では、限定9,000セットながらも"TT"と"DD"をセットにして販売している。

    "DD"は"TT"に負けず劣らずのシンプルな端末で、PC接続用のUSB端末部分と、W-SIMを挿入するスロット以外は何もない。絶対的なサイズはCFカード型のPHSと比較して大きいはずだが、このシンプルなデザインのためか、非常にコンパクトに感じられる。

    非常にシンプルな外見である"DD"(Data Driver)。中身の集積度は凄そうだが、それを全く感じさせ
    ないシンプルなデザインである。折り畳めるため可搬性も高い

    "DD"(Data Driver)にW-SIMを挿入するところ。W-SIMのサイズからそのコンパクトさがわかるだろう

    "DD"はウィルコムストアでの通信販売だけではなく、一般の量販店でも販売されている。筆者が確認した店舗では「新規契約のみ:5,800円」という条件で販売されており、機種変更や、W-SIM抜きの本体のみでの販売は考慮されていないとのことだった。

    しかし、この条件では、先行して"TT"や"W-ZERO3"を購入したユーザーが、PCでのデータ通信を行うべく"DD"を買い足すことができない(正確には出来ないわけではないが、余計なW-SIMを追加購入せねばならず、非常に無駄である)。いずれは本体のみでの販売が行われるとは思うが、ウィルコムならびに販売店の方々には是非とも、W-SIM抜きでの"DD"の早期発売を検討して頂きたいところだ。

    DD(Data Drive(WS002IN)の主な仕様)
    メーカー ネットインデックス
    サイズ(W×D×H) 約43.0×54.0×12.0 mm (突起物除)
    質量 約30g(W-SIM除)
    対応通信方式 8xパケット -
    4xパケット あり
    1xパケット あり
    フレックスチェンジ あり
    64kPIAFS(ベストエフォート) あり
    32kPIAFS あり
    対応OS Windows 2000/XP
    Macintosh 9.0 ~ 10.4.2
    平均消費電流 約210mA(4x 通信時)
    インタフェース USB1.1

    "DD"のリリースでワクワクしているのは、もしかしたら「Linuxザウルス」ユーザーに多いかもしれない。通称「京ぽん」と呼ばれる「AH-K3001V」をUSBケーブル一本で直結して利用する方法が既に広く普及しており、同じ方法が通用するならば、"DD"もLinuxザウルスでの通信手段の選択肢に加えることができるからだ。

    では、接続と利用が可能かと言えば──結論から言うと「現時点では」利用できない。AH-K3001V向けに用意されたものと同様に別途ドライバを用意してやらない限り、デバイスとして利用可能にはならない。この辺りは有志によるドライバの整備に期待したいところだ。

    Windowsマシンであれば、添付のCD-ROMからのセットアップで簡単に利用可能となり、特に面倒なことは何一つない。ただし、従来のPCカード型/CF型デバイスと比較すると、

    • 当然ではあるが、外部への「でっぱり」が大きい。
    • W-SIMにアンテナが内蔵された関係からか感度がやや微妙。
    • 最大で4x(128kbps)の通信速度までしか対応していない。
    • ドライバの用意されていないPDAなどへの転用ができない

    という点がデメリットとなり得る。このデメリットが気にならないならば、"DD"はコンパクトで気の利いたデータ通信デバイスとして活躍してくれるだろう。

    "DD"(Data Driver)をPCのUSBポートに装着した様子

    問題は料金プランの設定だろう。"TT"と"DD"を両方活用したいのであれば、先に紹介した「ウィルコム定額プラン」に「データ定額」オプションか、「リアルインターネットプラス[1x]」オプションを組み合わせることになるだろう。

    「データ定額」オプションは、どちらかと言えば"TT"+"DD"向けではなく、電話機単体でウェブブラウズするユーザーのためのプランである。"DD"のようにPCに接続して4xの通信速度で利用することも可能だが、その場合は利用パケット量に応じて最大で6,300円(月額)のコストが掛かることとなり、総支払額が一万円近くにまで及んでしまうところがデメリットである。

    「リアルインターネットプラス[1x]」であれば、月々の追加コストは2,100円で固定だが、接続速度は1x(32kbps)固定である。コストな安心感を重視するか、接続速度を重視するかの選択だと言えよう。

    もっとも、"TT"を契約せずに"DD"のみを使うというのであれば、データ通信向けの料金プランを選択すればもっと安上がりになる。例えば「ネット25」のプランを選択すれば、月に25時間までは最大4xの通信速度で接続することができ、そのコストは月額5,670円で済む。この場合は「年間契約割引」や「長期契約割引」「AB割」の対象となるため、こうした割引サービスを組み合わせることで、さらにコストを押えることも可能だ。なお、データ通信系のプランでも音声通話は可能なので、音声通話の頻度を考慮して、"TT"+"DD"の組み合わせの場合でも選択肢に入れるのがいいだろう。

    ウィルコムの新たなる試みに期待

    W-SIMを核とした「コアモジュール戦略」は、今後のウィルコムにとって大きなテーマとなっていくことだろう。今回レビューした"TT"、"DD"、そして詳細は省いたが"W-ZERO3"、これらの端末はいずれも非常に個性的で、野心的であり、ゆえに魅力的でもある。今回"TT"と"DD"を使い込んでみたが、その心地いい刺激を感じることができた。

    近年は、全般的にマンネリ化が否めないモバイル業界ではあるが、ウィルコムには是非とも、そこに先鋭的な風を送り続けて欲しいものだ。

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