【インタビュー】

"来年は仮想化の年" - IBMに聞くIP問題からオンデマンド、オープンソース

末岡洋子  [2005/11/22]

Linux OSからアプリケーションサーバに至るまで、米IBMはオープンソースへの支援をその戦略の柱として力を注いできた。同社の支援多くのプロジェクトを活性化させ、市場への導入を促進した。オープンソースにおいてリーダー的存在のひとつであるIBMのドイツ支社、Linux販売チームリーダーのHarrald Neumann博士に、オープンソースと知的所有権(IP)問題、そしてオンデマンドやLinuxについて聞いた。

--先日、米Novellや米Red Hatとともに立ち上げた新企業、Open Invention Network(OIN)について教えてください。

IBMはこれまでも、これからもオープンな標準を支援していきます。その中で、IP(知的所有権)の問題に対処するため、数々の取り組みを進めています。今年初めには、約500件の特許をコミュニティに提供しました。また、Power.orgとしてPOWERプロセッサの設計もその一部を公開しています。すでにベンダーがこれを利用したプロセッサを独自開発しており、年内にも第1号が登場する予定です。このほか、今年10月末には、ヘルスケアと医療に関する特許を一部無料で提供することも発表しています。

昨年のLinux Worldサンフランシスコで、わが社幹部のNeil de Crescenzoは、「革新的なことをするにあたってIPの利用は重要な場合があり、法的側面がこれ(革新)の妨げとなってはならない」と述べています。業界は、革新とIPの概念のバランスを見出さなければなりません。これは簡単には答えがでるものではありませんし、全員の答えが一致するとも限りません。IBMはこの問題を重要に受け止めており、今回共同設立したOINも、一つの回答です。

OINは、保有特許を、Linuxを攻撃しないと合意した企業にロイヤリティなしに提供するもので、これまでにないタイプのコラボレーションとなります。通常、われわれ企業はクロスライセンスといって、1対1で特許をライセンスしあいます。IBMも、ソニーとクロスライセンスを結び、Phillipsと結び……と、数え切れないほどのクロスライセンスを結んできました。新しく発足させたOINでは、特許のハブを作るわけです。これにより、従来のような複数のクロスライセンスを結ぶ必要がなくなるかもしれません。クロスライセンスに要する手間を考えると、これは意味ある仕組みです。今後、他の企業もOINがどのような意味を持つのかを理解し、この動きに参加することを期待しています。

--OINは発表時、Novell子会社が所有する電子商取引に関する特許を例に挙げていますが、他にどのような特許があるのでしょうか? IBMもなにか特許を寄贈するのでしょうか?

これに関しては、まだ分かりません。IBMも他社も寄贈すると思われますが、具体的なことはお話しできません。

Linuxと特許に関する取り組みとしては、OSDL(Open Source Development Labs)のパテントコモンズがありますが、これは受動的なアプローチです。OINは能動的なアプローチですし、分野も明確にLinuxと限定していません。そういった点からも、業界に与える影響は大きいと思っています。

--LinuxはIBMのオンデマンド戦略でどのような役割を果たすのですか?

オンデマンドは、ビジネスプロセスとIT環境の両方があります。後者のIT環境は、On Demand Operating Environment(ODOE)というアプローチで、企業は柔軟性のあるビジネスプロセスを持つためには、それを支えられるITインフラを持たなければなりません。

Linuxはここで非常に重要です。Linuxはさまざまなハードウェアプラットフォームの上で動く点、オープンソースであるため、ソースコードを見て必要に応じて容易にカスタマイズできる点、この両方で、システムに柔軟性をもたらします。顧客は、自社ベンダーが次期バージョンをリリースするのを待つことなく、自社のビジネス戦略を変更できます。

オンデマンドなITインフラは、いくつかの条件を満たす必要があります。Linuxを使ってITをシンプルにし、ソフトウェアを連携させ、バーチャル化します。いま注目されているのは最後の仮想化で、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークとすべてのITインフラを仮想化します。

--仮想化について、IBMの戦略を教えてください。

来年は仮想化の年となるでしょう。米Intelは先日、プロセッサで仮想化技術をサポートすると発表しました。オープンソースプロジェクトの「Xen」も、来年にはビジネス用途に耐えうるものに成熟すると予想されています。現在、Novell、RedHatがXenをエンタープライズに適用できるよう取り組んでいます。ITインフラをすべて仮想化したら、次のステップは付加分散、フェイルオーバーなどの機能の自動化です。

IBMでは、システムレベルでは、論理パーティショニングとマイクロパーティショニングをすでに実現しています。ソフトウェアでは、「IBM Virtualization Engine」があります。これらを「Tivoli Intelligent Orchestrator」と組み合わせると、各アプリケーションの重要度に応じて、リソースを割り当てることができます。

--IBMのオンデマンドのようなイニシアティブはどのベンダーも提唱しています。IBMの違いはなんでしょうか?

IBMは実行できるということです。技術的には多くのことが可能となっていますが、これはハコから出してそのまま利用するものではなく、ソリューションとなります。IBMにはGlobal Serviceという強力なサービス部門があります。

また、個々のコンポーネントを見ても、IBMの提供範囲は幅広く、優れています。Intelは論理パーティショニングの提供を開始したところですが、IBMはPOWER技術で数年前から実現していますし、バーチャルマシン技術に関しては60年代に共同開発しています。われわれは仮想技術の設定や運用で深い経験と知識があり、差別化につながっています。



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