【レポート】
米Oracleによると、Linuxの次の適用分野はクラスタで、ここで成功することがLinuxのシェア拡大につながるという。11月15日より3日間、独フランクフルトで開催されている「LinuxWorld Conference & Expo Frankfurt」で初日、Oracleのテクノロジーマーケティング担当副社長、Robert Shimp氏は基調講演を行い、Linuxとグリッドの組み合わせが実現する将来のITシステムについて語った。
Linuxベースのデータベース市場は昨年6億5500万ドルに達した。Oracleはここで、81%のシェアを占めている。Linuxは、技術的優位性、コスト効率性、システムベンダーのサポートなど健全なエコシステムの確立などが奏功し、データセンターで受け入れられた。だが、有償版サーバーOS市場では、LinuxよりもMicrosoftの成長率の方が高く、対Microsoftという意味では、この市場がLinuxの課題となっている。
OracleのLinuxへのコミットは、1998年に最初にLinuxをサポートした商用データベースを提供した時にさかのぼる。その後、2002年には全製品でLinuxをサポート、今年はクラスタファイルシステム「Oracle Cluster File Systems 2(OCFS 2)」をコミュニティにコミットした。現在、同社の業務アプリケーションの3分の1がLinuxにインストールされており、社内にカーネル開発チームを持つことから、パッチを直接提供できるなどのメリットもある、とShimp氏は説明する。
Shimp氏によると、柔軟性、サービス・サポート、コストという顧客のニーズにより、企業はアプリケーションの提供手法を変革することが求められているという。ここで解決の一助となるのが、クラスタや仮想化技術が実現する新しいITシステムだ。キーワードは、Webベース、サービス主導、標準ベース、リソースの仮想化などで、すでに、米Googleなどの先進的な企業はこれを取り入れて新しいアプリケーションを迅速に開発・実装し、新サービスをタイミングよく顧客に提供しているという。だが、Googleだけではない。「すべての企業はこの流れと無関係ではいられない」とShimp氏は続ける。
技術的には、複数の安価な標準サーバーを組み合わせ、クラスタで接続するシステム構成が実現する。このようなシステムは、メインフレーム並み、あるいはそれ以上の拡張性、サービスレベル、可用性を実現できるという。さらには、コストも削減できる。「アプリケーション開発・実装に大きな影響を与える」とShimp氏。
Shimp氏はここで、"エンタープライズグリッド"としてOracleが推進するグリッドについて触れた。学術分野からスタートしたグリッドの原理を企業システムに当てはめたもので、アプリケーションサーバー、ID管理システム、ディレクトリサービス、Webキャッシュなど複数のレベルでクラスタ化できる仕組みをつくり、クラスタ化したデータベースと接続、その先はストレージシステムと接続するもので、管理機能も重要となる。
ここで活躍するのがLinuxだ。実際、OracleのデータでもクラスタにおけるLinuxの実装は、昨年の4%から今年は12%と急増しているという。だが、クラスタ市場を狙っているのはLinuxだけではない。
「Microsoftは市場の流れを理解しており、非常に強力なライバルだ」とShimp氏。実際、米IDCの調査ではサーバーOSにおけるMicrosoftの成長率は最も高く、そのシェアは2008年には60%程度に達すると予測している。また、Microsoftは英国の著名なグリッド専門家、Tony Hey氏を雇い入れ、Windowsベースでのクラスタ戦略を強化しているという事実も引用した。
だが、「Linuxをエンタープライズデータセンターの標準OSにすることは可能」とShimp氏。実際Linuxは、長年データセンターの標準だったUNIXの歴史を汲んでいる。「Microsoftとの競争に勝つためには、Linuxを支援する企業が協力し、少しでも早くダイナミックコンピューティングモデルのビジョンを打ち出すことだ」とShimp氏は続けた。
現在、スペインのエネルギー企業gasNaturalなどの大企業をはじめ、導入事例が出てきているという。Oracle自身も、米国にあるメインのデータセンターでLinuxクラスタを構成している。約4000平方メートルのこの施設には、1万台以上の64ビットLinuxサーバーが動いており、ストレージ容量は2.5ペタバイト。世界最大規模のLinuxグリッドシステムという。また、社内のサーバー開発でもLinuxグリッドを活用、860人以上のユーザーが1000台以上のデュアルCPUマシンを利用しており、2000件以上のテスト作業を同時実行できるという。
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Oracleのテクノロジーマーケティング担当副社長、Robert Shimp氏 |
グリッドは、構想としてはまだ新しく、課題もある。Shimp氏が課題に挙げたのは、
課題として上げられた技術改善だが、まず、クラスタでは、データセンターにある全コンポーネントを仮想化することで、自律的なキャパシティオンデマンド、メモリやプロセッサアロケーションなど動的な負荷管理を実現していく必要がある。Oracleでは、OCFS2を2.6.14のクラスタファイルシステムとしてコミュニティに提供するなどの貢献を行っているという。仮想化では、オープンソースの「XenSource」、米EMCの「VMware」などのソフトウェア、米Intelや米AMDなどのハードウェアベンダー、米Novellや米RedHatなどソフトウェアベンダーのサポートにより、技術的にはすべてのレイヤでの仮想化が可能となりつつある。
「2006年に技術スタックが揃い、2007年に全技術がエンタープライズ対応できるレベルに成熟するだろう」とShimp氏。このほか、オンデマンドプロビジョニング、パッチ管理、セキュリティなどにも触れ、少しずつ改善していると述べた。
Shimp氏は最後に、Oracleが先日リリースした無償版の「Oracle Database 10g Express Edition(Oracle Database XE)」と、PHPのZendとの協業に触れた。Oracle Database XEは、1プロセッサ、データ容量4Gバイト、メモリ1Gバイトと制限はあるものの、ダウンロード、アプリケーション開発、実装、ディストリビューションがすべて無料。個人開発者や学生をターゲットとしたものだ。Zendとは、"LAMP"(Linux-Apache-MySQL-PHP)に対抗し"OPAL"(Oracle-PHP-Apache-Linux)をうたい、ZendとOracle、それぞれの開発者コミュニティを支援しあうものだ。これにより「.NETと対抗できる」とShimp氏は述べ、OracleのLinuxへのコミットを強調した。
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