【レポート】
もうFPFの開催から1週間以上も経過し、なんとか主要な発表に関してはレポートをお届けできたと思う。筆者が8製品、及び編集長によるSPARC64のレポートと合わせて、FPFのほぼ半分以上に関しては何とか網羅できたというところか。そんなわけで、このあたりで少し総括をしておきたいと思う。
今回のテーマである"The Road to Multicore"であるが、内容はというと確かにこれに沿った話が多く集めてあったように思われる。そして、単にCPUコアを複数搭載しました、という発表よりも、そのマルチコアをどんな接続技術を用いて構成するかとか、如何にソフトウェアから使うかといった周辺技術がメインだった様に思われる。例えば接続技術に関しては、Xbox 360の講演やCellに関する講演前半、あるいは今回レポートはしなかったがFulcrumのNexus(Photo02)やSONICSのSonicsMXなどがこれにあたる。一方ソフトウェアに関しては、Cellの講演後半や、Microsoftによる2日目の基調講演(Photo04)がこれにあたる。特にこの基調講演は、Free Lunch is over:つまりどんなプログラムを書いても、CPUの性能アップにより高速に動作するという時代は終ったというテーマで、如何に言語内でマルチコア/マルチスレッド対応を自然に実装するかという試案であり、コンサバティブなプログラマだった筆者からすると「やりたくない」仕事に入る。いってみれば、従来のイベントドリブンのプログラムが関数レベルでのコールバックだったのに対し、この試案を実装した処理系では、インストラクションレベルでのイベントドリブンになるという、考えただけで身の毛のよだつ話であるが、まぁそうした好き嫌いはともかくとして、マルチコアの効果を確実に得るためには、こうしたレベルの作業も必要になるという展望を見せてくれた点では有益なレポートだった。他にもAMDのPacificaとか、(これもレポートは省いた)XenSourceは完全にソフトの話、GreenHillsの発表に至ってはマルチコア環境でのデバッグツールという話で、面白いことは面白いのだが、誌面で紹介するには内容的に地味である。
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Photo01:配布されたアジェンダの表紙。ちなみにMFP 2005 Japanのタイトルは「マルチコアプロセッサのすべて」となっているが、ちょっと内容とタイトルにずれがある気がする。 |
Photo02:Fulcrumは、非同期ファブリックという壮絶なInterconnectを発表した。 |
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Photo03:Sonics MXは、OCPやAXIなど従来のInterconnectと親和性の高いNon-Blocking Fablicである。言ってみればOCPやAXIをフロントエンドとして使うバックボーンという位置付けだろうか。 |
Photo04:このプレゼンテーションの"once"キーワードでぶっ飛んだのだが、他にも"active"だの"future"だの、恐いキーワードてんこ盛りだった。実はこの内容、今回が初めてではなく今年のPDC2005でも"C++:Future Direction in Language Innovation"というテーマでほぼ同じ内容の講演があったし、大本はDDJ(Dr. Dobb's Journal) 30 Mar. 2005に寄稿された"The Free Lunch Is Over: A Fundamental Turn Toward Concurrency in Software"である。 |
そんな訳で筆者の様なソフトとハードの境目で仕事をしてきた人間には、色々と興味深いテーマが多かった今回のFPFであるが、最新CPUやトレンドの紹介という従来のFPFのスタイルからすると、いまいち活気が無かったのは事実だ。ただ、主要なマルチコア製品に関してはかなり前からたっぷり発表がなされている。IBMのPOWER4/POWER5はもうとっくに実用の粋だし、IntelのItanium系列やAMDのOpteron、ARMのMPCoreやMIPSのMIPS32 24Kなど、「まさしくこれから本格的にマルチコアとして普及が始まる」製品群の発表はここ1~2年で済んでしまっている。Heterogeneous構成に関しては、何しろ今年のSPFの主要なテーマが"GPU+DSP"の構成だったから、これも新製品に関しては殆ど語り尽くされてしまった感じで、結局のところあまり新製品らしい新製品は無かった。今回全くの新製品はARMのCortex-A8とP.A.SemiのPA6Tくらいのもの。STARCORE LLCのSTARCORE V5やTIのTMS320C672xは、既存の製品の発展型だし、videantis GmbHのv-MP2もこれに同じく。ARCに至っては単なるSIMDエンジンの発表という有様で、まぁ時期が悪かったのかもしれないがあまり新製品という点では成果が乏しかったといえる。
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