【レポート】

見えてきた次世代スパコン「京速計算機」、再び世界一を目指すその意義

6 再び世界一を目指して

    大塚実  [2005/11/02]

    国民の合意形成が急務

    それにしても、地球シミュレータの運用開始からすでに3年以上が経過しているにもかかわらず、ようやく研究開発に着手というのはいかにも遅い。本来ならば、完成と同時か、それ以前からでも、次世代機の基礎研究を始めるくらいでもいい。今後はそれを教訓として、持続的に開発できる体制を整えることが、国には求められるのではないだろうか。

    スパコンは、もはや「開発する必要があるのかどうか」を議論する時ではない。「いかに実行するか」を検討すべき時なのだ。いくつかの分野では、今後、トップクラスのスパコンを「持つ者」と「持たない者」では、競争力の差はますます拡大するものと思われる。断然トップのリソースを持つ米国だけではなく、近い将来台頭してくるだろう中国にも対抗していく必要があり、日本の国際競争力を維持するためには、スパコンの役割はさらに大きくなるはずだ。

    ここまで、主に日本の競争力への危惧から書いてきたが、それだけでなく、日本は世界第2位の経済大国として、世界に対する役割もある。「地球シミュレータの次を作るとしたら、それは日本だけではなくアジアパシフィック、そして欧米からでも使えるような、ある意味『人類に対する貢献』となれば」「世界一のコンピュータは世界一の研究成果を上げる責務がある。研究成果を上げるのに国籍とか分野は関係ない」(理研・姫野氏)という視点も忘れるべきではない。

    ただ今後、国の予算を投入するからには、国民にその重要性を納得してもらう必要はあるだろう。財政再建が叫ばれる中、そうした合意が形成できるかどうかが、最終的には「スパコン日本の時代」を取り戻せるかどうかに繋がっていくような気がする。

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