【レビュー】
最後にGR DIGITALは銀塩GRユーザにとって満足のいく、あるいは望んだものかどうかを考察してみることにしよう。
例えば(写真20)や(写真21)のような広角レンズを活かしたダイナミックな描写はいかにもGR的ではあるが、これは広角レンズを使えば可能な撮影である。ただしGRレンズという描写性能の良いレンズを搭載しているから画像に変な歪みもなくこのような撮影が可能ということは忘れてはいけない。
しかしここで少し疑問がわいてくる。GR DIGITALは確かにGR的な要素を多く持つものの、撮影できる絵的にはどうだろうか?というものだ。GR DIGITALは確かに綺麗に撮影できる良いデジカメであることは間違いない。だが何か少し物足りない気がするのである。何が物足りないのかを理解してもらうために、ここでGR1sで撮影した画像を見てもらうことにしよう。おそらく他の写真雑誌やメディアなどで、もっとも議論となるポイントはここではないかと思われるからだ。
GR1sでの作例が(写真22)と(写真23)いかがだろうか? GR DIGITALとの違いがおわかりいただけるだろうか。GR1sとGR DIGITALを同列に語ろうとするのならば、これと同じ条件下でGR DIGITALをテストする必要があるだろうが、この場所は地球を1/4周ほどまわったところなので残念ながら今回は不可能であった。
GR1sの場合、コンパクトで薄型なボディにあえて広角レンズを搭載し、なおかつ35mmフィルムという基本フォーマットを守ったため、画像の周辺が若干暗くなるという欠点があるのだ。これは絞りこめば解消するものの、作例でみておわかりのようにあえて周囲を落とすことでダイナミックでかつドラマチックな描写になっているのだ。筆者はこれをGRの「味」ととらえている。基本的なレンズの性能から言えばこれは欠点なのかもしれないが、GRレンズのもともとの描写が良いことと、広角特有の遠近感と相まってドラマチックな描写を可能にしていたのがこの周辺の光量低下だといってもかまわないかもしれない。
さてこのGR1sの描写に対し、GR DIGITALではあまりにクリアすぎるのである。確かによく撮れるデジカメであることは間違いないのだがGR1sほどのドラマチックさが感じられないと言えばよいのだろうか。
実はこの理由はそもそもの撮像素子サイズの問題にもある。銀塩では35mmフィルムという大きな面積に露光させなくてはいけないのに対し、GR DIGITALでは1/8インチCCDというかなり小さな面積に露光させるため、そもそものレンズの構造が異なるし、あえて周辺光量が低下するような設計を行うわけがないのである。GR DIGITALの撮像素子として35mmフルサイズないしはAPS-Cサイズのものを採用し、従来のGRレンズを採用するという選択肢が無かったわけではないだろうが、その場合にはGRのボディサイズに収めることは現在のところは困難であっただろう。このためGR DIGITALはGRという名を冠してはいるものの、光学系~撮像素子を含めた部分は銀塩GRシリーズとは全く異なるのである(当たり前の話だが)。
GR DIGITALという名前を使うことは、リコーにとっても相当に勇気の必要なことだったにちがいない。過去に成功した製品の名前を使用することは、あらゆる方面で過去の製品と比較されるからである。特にGRの場合にはその個性が重要視されるカメラだっただけに、この傾向が強い。GR DIGITALは良いコンパクトデジカメのひとつであることは間違いないが、では強い個性があるかというと少々疑問が残るのである。
しかしながら考えてみれば"GR"を定義したのはリコーである。ならば"GR DIGITAL"によって、新世代のGRシリーズを再定義するのもリコーということになる。リコーの銀塩製品が終息してしまった今、これから先のGRというのはこのGR DIGITALがスタートとなるのであろう。
GR DIGITALの主な仕様
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 撮像素子 | 有効画素813万画素(総画素数 830万画素) 1/1.8型原色CCD |
| レンズ | 焦点距離:f=5.9mm (35mm判カメラ換算28mm) |
| 明るさ(F値) | F2.4~F11(NDフィルタ併用) |
| レンズ構成 | 5群6枚 絞り枚数7枚 |
| デジタルズーム | 4.0倍 |
| 撮影距離 | レンズ先端から約0.3m~∞、マクロ時 レンズ先端から約0.015m~∞ |
| シャッター | 180、120、60、30、15、8、4、2、1~1/2000秒 |
| 画素数(ピクセル) | 3264×2448、3264×2176、2592×1944、2048×1536、1280×960、640×480 |
| ISO感度 | AUTO、64、100、200、400、800、1600 |
| フォーカス | オートフォーカス/マニュアルフォーカス/スナップ/∞ |
| 露出調節 | TTL-CCD測光 マルチ(256分割)/中央重点測光/スポット測光 |
| 露出補正 | マニュアル補正(+2.0~-2.0EV 1/3EVステップ)、オートブラケット機能(-0.5EV、±0、+0.5EV) |
| ホワイトバランス | AUTO、固定(屋外/曇天/白熱灯/蛍光灯/手動設定/詳細設定) |
| 記録媒体 | SDメモリーカード)、マルチメディアカード、内蔵メモリ(26MB) |
| 液晶モニター | 2.5型 低温ポリシリコンTFT液晶 約21万画素 |
| 外形寸法 | 107.0mm(W)×25.0mm(D)×58.0mm(H) 突起部含まず |
| 質量 | 約170g(バッテリー/SDメモリーカード/ストラップは含まず)、付属品約30g(バッテリー/ストラップ) |
| 電源 | 専用リチウムイオン電池、単四形アルカリ乾電池×2、単四形オキシライド乾電池×2、単四形ニッケル水素充電池×2 オプ ションでACアダプタ対応可能 |
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