【レポート】

第56回国際宇宙会議 - 展示紹介(2) 宇宙ふとん、宇宙くつ、宇宙……日本的ななにか

    大塚実  [2005/10/26]

    国内での開催ということで、展示の中には日本ならでは、といったものも多い。意外なものが宇宙と繋がっていたりして、宇宙がより身近に感じられそうだ。ここでは、そんなものをご紹介したい。

    宇宙にも"マイふとん"を持ち込みたい

    JAXA産学官連携部のブースでは、様々な分野のメーカーとの協力が紹介されていた。中でも目を引いたのは、西川リビングが展示していた「SPACE FUTON」(宇宙ふとん)。無重力空間での利用ということで、ふとんというよりは寝袋に近いスタイルではあるが、快適な睡眠環境の実現とプライベート空間の創出をコンセプトに現在開発中だ。

    JAXA産学官連携部のブース。奥にはお馴染みメガスター

    西川リビングのコーナー。右が「SPACE FUTON」のプロトタイプ

    国際宇宙ステーション(ISS)の日本モジュール「きぼう」が打ち上げられれば、日本人宇宙飛行士が長期滞在することもでてくる。寝具は毎日使う"最も身近な道具"だ。スペースシャトルの短期滞在ならまだしも、長期滞在になると体力維持の面からも、その快適さは重要になってくるハズ。日本人の感覚的な部分も理解してくれている老舗メーカーが協力してくれるというのは、非常に心強いところである。

    次のバージョンで考えられている形状。パーソナル・フィッティングシステムにより、宇宙飛行士の体形にあわせたオーダーメイドとなる

    中の綿はエンドレスファイバーを使用する。これは同社の製品「ERGO-STAR」でも、すでに採用されているものだ

    この協力は、JAXAの「宇宙オープンラボ」制度により実現した。産業界や大学などとの連携を促進するための制度で、SPACE FUTONではJAXA・京都市立芸術大学池上俊郎研究室とのユニットが組まれている。

    そのほか、第56回国際宇宙会議を記念したモデルのG-SHOCKなんてものも展示されていた。数量限定販売で、価格は12,600円

    これは、宇宙で咲いたバラの香りを再現した香料「スペースローズ」。資生堂から発売されている

    靴、というか宇宙足袋

    アシックスは、宇宙ステーション内でのトレーニング用シューズ(プロトタイプ)を出品していた。有人宇宙システムと共同で開発しているもので、つま先が割れた足袋のような形状になっている。

    足袋のように先が割れている

    ソールが非常に薄くできている

    無重力空間では、筋肉量が減少してしまうため、宇宙飛行士はマシンを使ったトレーニングを行っている。だが、普通の靴は1G環境下での利用を想定しているため、宇宙では不必要な機能もある。

    アシックスは以前もマラソン用の足袋を開発したことがあったが、足を守る機能を最低限とすることで、逆に足の本来の機能を引き出すことができるという。全体的にソールが薄く、踵の固い部分もない。この開発にあたっては、実際に長期滞在した経験のあるロシア人宇宙飛行士の意見も取り入れたそうだ。

    焼き物も月で現地生産?

    会場のはずれにひっそりと置いてあり、関係者もいなかったので詳しく話が聞けなかったのだが、月の器「月焼き」と題されたものが展示されていた。月の砂・レゴリスの成分を再現した土で焼いたものだという。

    会場の隅っこに展示されていた「月焼き」

    これが「レゴリス杯」。販売するそうで、5,000円という価格がついていた

    スペースアート会議の陶芸家・佐藤百合子氏の作品で、人類が月面で生活を始めたときに、陶芸の世界がどのように進化するのかを考えたものだという。将来的には、「火星焼き」にもチャレンジしたいとのことだ。

    伝統のへら絞りを実演

    日本を代表する製造業の町の1つ、大田区のブースでは、北嶋絞製作所 が「へら絞り」の実演を行っていた。陶芸の"ろくろ"のように金属板を加工する手法で、外国人には珍しいらしく、多くの人が足を止めて見入っていた。

    へら絞りの実演。擬宝珠(ぎぼし)という、橋の欄干などに使われる部品を作っていた

    このようにへらを押し当てて加工する。筆者も体験させてもらったが、力はそれほど必要ない

    宇宙関連のイベントでなぜ手作業のへら絞り? と思う人もいるだろうが、この加工法は現代においても、大型パラボラアンテナや航空機・ロケットなどハイテク部品の成形に使われているのだ。PCでは以前、ルーポの球形PC「Artemis」 )でも採用されたことがある。

    へら絞りで作られる部品。左のは戦闘機の燃料タンクで使われているノーズコーンで、今でも注文が来るそうだ

    どんどん出来上がる擬宝珠。向こうとしても処分に困るようで、来場者へのプレゼントになっていた

    ちなみに隣には板橋区のブースもあり、宇宙とは関係ないものの、PC用の風力計なんてものも展示されていた。

    こちらが板橋区のブース

    池田計器製作所の製品だ

    そのほか、会場には販売コーナーも。これは星野村の第3セクター・星のふるさとが出していたブースで、筆者は抹茶ようかんなどを購入。村内には天文台もあるそうだ

    郵便局の臨時出張所では、国際宇宙会議福岡大会を記念した郵便切手の販売が行われていた。絵柄はひまわり6号とH-IIAロケット7号機。言うまでもなくこれも購入

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