【レポート】

東京モーターショー2005 - もはやカーオーディオもiPodに標準対応

    西尾淳  [2005/10/25]

    カーオーディオ・カーナビ関係の出展ブース群は毎回同じ位置で、メインとなる西・中央・東ホールの北側に並んでいる。クルマなどの大型展示が少ないための配置だろうが、通路(中央モール)からのアクセスもよく、場所的にはなかなかいいところだ。以前から思っていたのだが、この細長いエリア、モーターショーの中ではもっとも商売気のあるエリアではないだろうか。他の自動車メーカーブースでも商売優先なのは間違いないが、エコロジーや安全性、社会性を考えた提案も多く行っている。対してカーオーディオ・カーナビブースはほとんど新製品の紹介に終始しているのだ。逆にいえば、ユーザーニーズにもっとも正直な一帯ともいえる。

    今年のトレンドは「iPod」。右を見ても左を見ても「iPod」「iPod」「iPod」。あらためてiPodがよく売れていることに気付く次第。ほとんどはケーブルでiPodを接続し、パネルから操作するというスタイルをとっているが、例えばクラリオンではBluetooth接続によってカーオーディオと通信する方法を展示していた(参考出品)。これならiPodをバッグに入れたままでも使用できる。ちょっと便利そうだ。

    アルパインのプレゼンテーション。iPod対応も大きく紹介していた

    アルパインの製品「IVA-D310J」とiPodを並べて展示。アップルと提携し、iPodとのリンクをいち早く実現したという

    サンヨーのニューモデル「INV-HD55EU」の横にもiPodが展示されていた

    クラリオンブースではiPodをBluetoothで接続していた(参考出品)。ケーブルが不要になる

    そしてカーナビの世界でも、テレビ受信のアナログ放送から地上デジタル放送への転換が進められている。受信状況がきびしいクルマでは、アナログ放送よりもデジタル放送のほうが有利だという。また、地上デジタル放送6MHzの帯域を13に分けたセグメントの1つを使って放送する「ワンセグ」の対応も進められている。並べて見れば通常の12セグ放送のほうがはるかにきれいだが、それだけ多くの情報を受けられるという意味ではいいかもしれない。

    クルマのなかでテレビを見る必要があるのかどうかという基本的な疑問もないわけではないが、新しいメディアへの対応は、カーナビがどこよりも早いようにも見える。

    サンヨー車載用地上デジタルTVチューナー。アナログとデジタルを比較

    パナソニックでは、12セグ放送とワンセグ放送を比較。12セグのほうがきれいだが、ワンセグも悪くはない

    パイオニアは地上デジタル放送(ワンセグ)のデモを行っていた。下の製品は「AVIC-ZH990MD」

    サンヨーも地上デジタル放送への対応をデモンストレーション。下には小さく「Made for iPod」のロゴ

    新技術としては、左右で異なる映像を表示する富士通テンのデュアルディスプレイが面白い。運転席側にはカーナビ情報を、助手席側にはテレビ放送を映すといった使い方が可能になる。実際に見てみたが、中央から見みると両方の画像が重なって何だかおかしいが、左右それぞれから見ればちゃんときれいに見える。大したものだ。ちなみにこの製品は、11月1日から発売される予定だ。

    もうひとつユニークだったのは、ザナビィが展示していた3D液晶。3Dといっても完全な立体映像ではなく、2枚の液晶を組み合わせ、明るさの違いで疑似的に立体感を出しているもの。といっても地図の鳥瞰(ちょうかん)表示程度ならちゃんと奥行きが感じられるし、道路標識なども背景から浮き出て見える。ちょっと驚いた。立体表示で視認性が良くなり、安全なナビゲーションを可能にするということだから、これも発売を待ちたいところだ。

    地図の大手であるゼンリンは、音声会話対応エージェントナビ「SA・TSU・KI」を大きく展示していた。3Dグラフィックの女性キャラクターを前面に出しているため、てっきり萌え~な商品かと思ったが、そうではないらしい。ユーザーが直接操作して各種の情報を取り出すのではなく、間にエージェントという中間のシステムを置き、これに音声で命令してデータベースを検索させる方法だ。カーナビで行うのか、携帯電話を使うのかなど、具体的な方法は紹介されていなかったが、面白い試みではある。

    エクリプスのデュアルディスプレイを左から見たところ。テレビ番組が映っている

    デュアルディスプレイを右から見ると、カーナビゲーションが見える

    ザナヴィの3D液晶(参考出品)。写真ではわからないかもしれないが、肉眼では立体に見える

    ゼンリンの音声会話によるエージェントナビ「SA・TSU・KI」の展示

    サンヨーのブースでは、ポータブル型ナビゲーター「GORILLA」の10周年を大きく展示していた。ポータブル型ナビゲーターは車速センサーを必須としないため、簡単に取り外して車外に持ち出せるのが特徴だ。トンネルが続く場合など正確でなくなるここともあるが、なんといっても取り付けの手軽さが魅力。バイクにだって装着できる(メーカーでは推奨していない)。そのポータブル型の代表が「GORILLA」なのだ。初期には縦長のごつい形状だったが、現在はちょっと厚めの液晶パネルといった感じ。進歩の具合がひと目でわかる。

    スピーカーやアンプなどを展示し、音のよさをアピールしていたのはケンウッド。さすがオーディオメーカーである。カーナビは、いくら操作を簡単にしても、モニターを"見る"という、前方から視線を外す動作が必要である以上、危険が伴うことは否定できない。そう考えると、同じクルマにお金をかけるなら、音の良いオーディオ機器に投資するのもまた価値ありかもしれない。

    ポータブル型ナビゲーターのサンヨー「ゴリラ NV-HD810」。最新モデルは8型の大型液晶

    サンヨーのゴリラが10周年を迎えた。どのように進化したかを見るのもおもしろい

    ケンウッド新製品「HDV-770」(参考出品)。「音のカーナビゲーション」がコンセプトのことだが、ソースがiPodでいいのだろうか

    スピーカーやアンプ類もきっちり展示していたケンウッド。オーディオメーカーの片鱗が垣間見える

    いまやカーナビは、ハードディスク搭載、DVD対応、MP3データも演奏できるのが当たり前。カーナビも性能が上がり、実用上困ることはない。技術的には来るところまで来ているのではないか。それでテレビを始めたとしたエンターテインメント系に注力しているように感じられる。しかし車載される道具として、安全面を始め、ドライバーをサポートできることはまだあるのではなだろうか。iPod対応ではなく、そんな新しい提案をもっと見たいと感じた。

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