【レポート】
東京モーターショーは今年で50周年。戦後日本の自動車産業は50年あまりをかけてここまで進歩してきたことになる。排ガス規制やオイルショック、バブル経済による発展など、多くの波を乗り越えるために自動車業界は努力し、多くの技術を開発してきた。実際のところ、80年代後半以降のクルマなら、現在でも不満を感じることはほとんどない。では、技術は行き着くところまで行ったのだろうか? いや、そんなことはない。ハイブリットは増えてきたが、やはりガソリン車であり、過渡期のクルマと言えなくもない。燃料電池車はまだまだ大衆化には時間がかかりそう。やることはまだたくさんあるのだ。会場で見かけた技術系のネタをまとめて紹介しよう。
電気自動車でネックになるのはバッテリーの大きさだ。走行距離を稼ごうとすれば多くのバッテリーを積まなければならず、すると車体が重くなり、さらにパワーを必要とする、という悪循環にはまってしまう。現在、市販のハイブリット車ではニッケル水素(Ni-MH)電池が多く使われている。鉛蓄電池(いわゆるバッテリー)を並べているわけではないのだ。下の写真がハイブリット車用のバッテリーだが、ずいぶん大きく重い。しかしハイブリットだからこの大きさに収まるのであって、純粋な電気自動車であれば、この数十倍のサイズが必要だろう。バッテリーの小型・高密度化は急務なのだ。
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サンヨーのブースで見つけたハイブリット車用のバッテリーシステム。これはフォードに納入しているもの。実際には縦ではなく、横にして床下などに収まる |
バッテリーシステムのなかには、バッテリーそのものはもちろん、制御モジュールなどがぎっしり。寿命がきてもバッテリーのみの交換はできず、ユニットごとの交換になるという |
そこで注目されているのがリチウムイオン(Li-ion)電池だ。ニッケル水素電池よりもはるかに質量エネルギー密度が高いため、バッテリーの小型化、大容量化が可能になる。難点は値段が高いこと。ノートパソコンやヤマハの電気バイク「パッソルL」ではこのリチウムイオンが使われているが、クルマとなるとエリーカなどの実験車に見られる程度。電池は根源的な技術のため、急激な小型軽量化は望めない(だから燃料電池などが開発されているのだが)。少しずつ改良するしかないのだ。
なにも電気ばかりがエコではない。ボッシュのブースでは最新ディーゼル技術を強くアピールしていた。熱変換効率の高いディーゼルエンジンはCO2の排出が少なく、地球温暖化防止の点で非常に有利。もちろん燃費もいいし、価格も安いというメリットもある。実際のところ、環境に対する意識の高い欧州ではディーゼルのシェアは50%以上と高く、規制の厳しいアメリカでもディーゼルのシェアが伸びている。先進国でディーゼルを受け入れていないのは日本くらいのものだ。
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ボッシュのブースでは、実際にヨーロッパを走っていたディーゼルのメルセデスが置かれていた。マフラー内もまったくススなどの付着はなく、キレイなもの |
ディーゼルのエンジンルーム。コモンレールが中央に置かれている。ガソリンエンジンとの大きな違いは、プラグコードやディストリビューターなどの電気配線がないこと |
ディーゼルのクリーン化の第一歩は高度な燃焼マネージメント。例えばボッシュの現在のコモンレールシステム(燃料噴射システム)では、1回の燃焼サイクルで燃料を5回に分けて噴射している。噴射圧力は1600気圧以上となり、2008年には2000気圧のものが量産化されるという。排出ガスについてはPM(粒子状物質)をフィルターで捕集するシステムが一般的だが、使い続けるとフィルターが詰まるため、適時にフィルターの温度を上げて堆積したPMを酸化、除去している。これでフィルターの寿命を車体寿命と変わらないまで伸ばすことが可能になった。
東京都のように、自分のエリアだけからディーゼルを締め出すような規制は止めて、こういった新しいディーゼルに乗り換えるような補助を行ったほうが、より多くの人が幸せになると思うのだが。
ドライバーの判断のみにまかせず、より高いレベルで安全を確保するシステムも考えられている。例えばスバルの「ivx-II」は、スロットルやブレーキ、ステアリングの操作にコンピュータが関与できるようにし、万が一の場合はドライバーに代わって緊急回避を行うシステム。もちろんステレオカメラやレーダーなど高度なセンサー類が前提になっている。
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スバルの「ivx-II」。ドライバーに代わっていざという場合に緊急回避行動を行う。何を障害物として認識するかといった判断部分がポイントになるだろう |
三菱ブースに展示されていたレーダー・センサーの展示。ミリ波レーダーは雨や雪などの悪天候でも安定した性能を発揮するという |
ユニークなところでは、ドライバーの顔を認識し、運転や操作の補助を行うシステムも考えられている。ルームミラーにカメラとマイクを組み込み、ドライバーの顔の動きを検知。音声コントロールと併せてエアコンやラジオの操作、ライトやワイパーのオン・オフなどが可能になる。また、ドライバーが居眠りすると警告を発するといった芸も可能になる。
道路料金自動徴収システムの「ETC」がぼちぼち普及しているが、このETCと渋滞情報システムの「VICS」、さらに駐車場料金や店舗情報の提供などを合わせて行う「ITS」サービスの開発も進められている。技術的にはそれほど難しいことはなく、必要なポイントにETCのセンサーのような端末を設置すればいい。むしろ問題はトータルでサービスを提供するシステムやソフトウェア側をいかにうまく作るか、ということだろう。
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三菱が展示していたITS車載機。装置そのものはETCに毛がはえた程度。サービスがどこまで広げられるか? |
村上開明堂のETC内蔵ルームミラー。電源の確保が問題になりそうだが、多くのクルマはミラー部まで配線されているので問題は少ないとのこと |
ETC関連で、もうひとつ面白いものがあった。村上開明堂のETC内蔵ミラーだ。何のことはなく、クルマのルームミラーにETCのアンテナとETC受信装置をセットにしたもの。もちろんカードスロットも装備する。これならめんどうな配線は不要で、カードの出し入れもラク。すぐにでも市販してほしいものだ。
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