The 2005 O'Reilly European Open Source Convention - 欧州政府はなぜオープンソースを好むのか?

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The 2005 O'Reilly European Open Source Convention - 欧州政府はなぜオープンソースを好むのか?

末岡洋子  [2005/10/21]

独ミュンヘン市のLinuxへの移行に代表されるように、欧州は公共セクターの積極的なオープンソース採用で知られている。米O'Reillyが10月18日よりオランダ・アムステルダムで開催中の「The 2005 O'Reilly European Open Source Convention」にて18日、マーストリヒト大学MERITのFLOSSプロジェクトリーダー、Rishab Ghosh氏が、欧州連合(EU)および加盟国政府におけるオープンソースへの姿勢に関する調査結果を紹介した。

EUが2000年にポルトガル・リスボンで採択した"Lisbon Agenda"では、加盟国の電子政府活動により、市民が情報にアクセスできることを目指している。これを実現するにあたり、EUはオープンソースの可能性に着目しており、マーストリヒト大学と共同で「FLOSSPOLS」プロジェクトを進めている(FLOSSとは、Free/Libre/Open Source Softwareの略)。このプロジェクトは、世界でも最大規模のオープンソース関連調査である。

Ghosh氏が紹介した調査結果は、昨年末から今年初めにかけて、加盟国25カ国の政府・地方自治体のIT従事者合計4138人を対象に行った調査をまとめたもの。

まず、どうしてオープンソースを選択するのかについて、Ghosh氏は「まずコスト。特に地方自治体の予算は苦しい」と述べる。その他、セキュリティ、透明性もあるという。「政府の予算は税制。市民は自分が納めた税をどう使うのかを見守っている」。また、市民が電子政府アプリケーションなどの公共システムを利用するのに、ある特定の会社のソフトウェアをインストールしていなければ利用できないことがよいことなのかという懸念も後押ししているという。

44%が何らかの形でオープンソース導入

オープンソース利用率に関しては、オープンソースと知って使っているユーザー(A)が49.4%、知らずに使っているユーザー(B)が29.9%、使っていないユーザー(C)が20.6%となった(図1)。Aの多くはサーバーで利用しており、サーバーに一部でもオープンソースを導入している割合は44.1%に達した。PCでは17.9%、パイロットが20.3%だった。多くはLinux(46.6%)、MySQL(33.7%)、Apache(33.4%)を利用しており、Mozillaは26%、OpenOffice.orgも21.5%に達している(図2)。ちなみに、A、B、C全体で見た場合、最も導入率が高いのはWindows 2000(71.7%)、Windows XP(61.3%)、Windows NT(36.7%)、Linux(25.4%)の順となる(図2)。

図1

図2

オープンソース利用の拡大の可能性について聞いたところ、「はい」と回答した割合はAが69.9%、Bが30.2%、Cが38.3%、「いいえ」はAが11%、Bが31.6%、Cが28.1%となった。また、現在オープンソースを利用しているユーザー(AとB)の27%が完全にオープンソースに移行したいと思っているという。「オープンソースを認知することは、現時点で利用している・していないに関わらず、その利用を促進する」とGhosh氏はまとめる。

次にオープンソースの魅力と欠点について聞いた結果を見せながら、Ghosh氏は、「技術サポート、トレーニングコストを危惧するユーザーが多いが、実際利用しているユーザーには懸念となっていない」と述べる。誰もが一致した魅力はコスト、最初に導入するのが怖いという声も目立ったようだ(図3)。実際、「オープンソースへの移行は、他の機関が実行すれば妥当な策となる」「技術サポートを探すのは難しい」の2つには関連性が見られ、両方に「はい」と回答した人は約6割、両方に「いいえ」と回答した人は約7割だったという。「これが、コスト面の魅力を感じながらもMicrosoftを使い続ける最大の理由だろう」とGhosh氏。

図3

相互運用性は強い懸念事項

Microsoftを支持する理由は、ほかにもある。公共機関がソフトウェアを評価する際、最も重視しているのは相互運用性(59%)、互換性(33%)という。実際、スコットランド警察は、早くにオープンソースを採用したが、他の機関との相互運用性が問題となり、最近になってMicrosoftに逆移行している。逆に、オランダ政府は相互運用性のためにオープンソースを奨励している。

オープンソース移行を決定した公共機関は、ベンダー依存・ロックインからの解放を理由に挙げることも多い。これは実際に関係性がみられ、「ベンダー依存が強すぎると思う」と回答した人の58%が「オープンソースの割合を高める」としており、「依存していない」と回答した60%は「オープンソース比を高める必要はない」と見ている。

このほか、保守サポートに関しては、オープンソースを利用しないCグループで外部サービス利用頻度が高いことがわかった。また、カスタマイズに関しても、カスタマイズの必要性とオープンソース利用に関連性が見られたという。「カスタマイズを定期的またはよく行う」と回答した割合を見るとAが約55%、Bが約24%だったのにたいし、Cは18%。将来オープンソース導入を検討しているユーザーの多くが、カスタマイズの必要性を挙げている。

コストは大きな理由

コストを見てみよう。現在、ITコストのうちライセンスに費やすコストは約20%。ライセンスが占める割合を「高いと思う」と回答したのは46%、「妥当」は6%だった。50%が「2年以内に比率を下げたい」と回答した。興味深いのは、A、Bの多くが「低すぎる」と回答していることだ。Cで「高すぎる」かつ「オープンソースの比率を増やしたい」と回答したのは66.4%。コストはオープンソース導入の理由になっていることがわかる。

そのほか、オープンソースを使っている公共機関では、IT管理者1人あたりが管理するPCの台数が66台、非オープンソースユーザーの53台を35%も上回ったことなどがわかった。

オープンソースの認知活動が必要

Ghosh氏

Ghosh氏は提言として、「オープンソースの認知を高めること、ベストプラクティスや事例を紹介すること、パイロットプロジェクトを奨励すること、相互運用性への要件を強化すること」とまとめた。

EU各国の取り組み

  • スペイン: エクストレマドゥラ地区では4年かけて8万台以上のデスクトップでLinuxを採用。ヴァレンシアなどのほかの地区もこの例に習ってオープンソースを利用
  • フランス: 首相が指揮する電子政府プロジェクト「ADAE」が、オープンソース導入のガイドラインを発行(2003年)。内務省をはじめ多数の機関がOpenOfficeを採用
  • ドイツ: 内務省がオープンソース移行のガイドラインを発行(2003年発行、翌年改訂版を発行)。ミュンヘン市など、複数の地方自治体が移行中。外務省、オープンソースベースで各国の大使館をつなぐネットワークを構築。情報セキュリティ機関(BSI)がオープンソースのセキュリティプロジェクトに投資
  • オープンソース奨励・検討のためのポリシーを発行している国: スウェーデン、英国、ベルギー、ドイツ、フランス、スペイン、イタリア、エストニア、フィンランド、リチュアニア、オランダ
  • オープン標準の採用を義務付けている国: デンマーク、オランダ

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