The 2005 O'Reilly European Open Source Convention - Mozilla開発者、サクセスストーリーを語る

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The 2005 O'Reilly European Open Source Convention - Mozilla開発者、サクセスストーリーを語る

末岡洋子  [2005/10/20]

Ben Goodger氏

Mozilla Foundationが昨年リリースした「Firefox」で、もう勝負はついたといわれていたWebブラウザ界に起こした旋風は記憶に新しい。現在Firefoxのシェアは10%に達しようとしており、欧州では約2割という統計もある。

オープンソースプロジェクトであるFirefoxは、オープンソースの成功モデルとしても有名だ。オランダ・アムステルダムで開催中の「The 2005 O'Reilly European Open Source Convention」にて10月19日、米GoogleでFirefox開発リーダーを務めるBen Goodger氏がセッションを行い、Firefoxの成功、最新バージョン、今後の課題などについて語った。

開発の基本に忠実に

プロジェクトはNetscapeがソースコードをリリースした1998年に始まったが、すべてが順調だったわけではない。2年後にNetscape 6.0がリリースされたが、サイズが大きい、速度が遅い、エンジンが不十分などの問題があり、これは開発者はもとよりユーザーの不満増を生み、派生ブラウザを生むことになる。

この結果、2001から2002年にかけていくつかのイニシアティブができあがり、「Phoenix」の誕生につながる(このPhonenixが現在のFirefoxとなる)。「ブラウザについて再考し、試行錯誤する期間だった」とGoodger氏は振り返る。

"ユーザーが求めているブラウザを作ろう"と集まったPhoenixの開発者らは、既存コードを捨てるのではなく、既存の良いコードを活用することで効率よく開発することを選ぶ。また、ユーザーエクスペリエンスの見直し、マーケティングなども取り組み課題とする。具体的なステップとしては、

  1. ターゲットユーザーを明確に絞り込み
  2. 品質/サービス/性能の3つの面で仕様要件を設定
  3. 設計の方向性を定め、4)デザインコンポーネントを定め
  4. コミュニティーにリソースを配分し
  5. 実行
となる。「ベーシックな開発作業だが、これが重要だった」(Goodger氏)。

「あれもこれもと欲張って機能に殺されるのではなく、"ノー"ということも大切。全員を喜ばせることは無理、人気がないことを過剰に問題視しないこと」とGoodger氏は続ける。

Mozillaが当時、障壁ととらえたのは、ディトリビューション、インストーラー、データ移行ツールの3つだ。そこで、1.0のロードマップで定めたことは、分かりやすいダウンロードサイトを構築し、既存のブラウザからのお気に入りなどのデータの移行を容易にすることで、乗り換えしやすくすること。このような一般的な問題のほか、検索機能の統合、カスタマイズ可能なツールバー、オートコンプリートなどの差別化となる機能開発もロードマップに取り込んだ。この1.0のロードマップがドラフト化されたのは2003年後半のことだ。

ブランディングとマーケティング、Firefoxへ

同時にブランディングにも取り組む。ロードマップができたころ、コミュニティ内の指摘を受けて、ブランドアイデンティティを築くためのデザインチームを設けることにした。Firefoxを開いたとき、メニューに表示される独特のアイコンはここで生まれる。ブランド確立のため、ロゴをつくり、製品のスキンに統一感を持たせ、Webサイトやドキュメンテーションを完成させる。また、Phoenixの商標に関する問題が持ち上がったことから、名称の変更も行う。PhoenixとFirebirdに似ている名前を探した結果、Firefoxを採用した。

さまざまな告知・認知活動を展開した

Goodger氏が「成功のかぎを握る」と見ているのが、ディストリビューションだ。Mozillaチームはこれを追求した結果、ホームページを改定し、1クリックダウンロードボタンを用意した。言語選択など、ユーザー自身が設定する必要はない。また容量を4.8MB程度にすることで、ダウンロードを軽くした。当時ターゲットユーザーの流行が音楽ダウンロードだったことから、当時のアーリーアダプタに"音楽ダウンロードぐらい簡単"と呼びかけたという。ダウンロードした後のインストール作業も、分かりやすく包括的なステップにした。Webブラウザにはお気に入りだけでなく、クッキーなどの重要なデータが入っているが、データ移行を容易にできるようにした。

ダウンロードは1クリック、インストールは3ステップで完了する

これらと平行してMozillaが行ったのがコミュニティ構築とマーケティングだ。中でもマーケティングは重要視し、Firefoxを広げるためのSpreadfirefox.comの展開、チラシ配布などを行ったが、最も有名なのは、昨年末に米New York Times紙に打った広告だろう。広告費をカバーできないことから、コミュニティの中から寄付キャンペーンをやってはどうか?という案が出た。その結果、総額約25万ドルが集まるという予想外の大成功を収めた。1万人以上の個人のほか、企業からも寄付が集まった。当初1面のみの予定だったのが、両面広告を出すことができた。

Firefoxは、2004年前半の0.8リリースの後、同年後半に1.0が正式リリースされた。その後の成功ストーリーは周知の通りだ。現在、ダウンロードは1億の大台が近づいており(※)、シェアは7~10%になった。ユーザーや開発者からのフィードバックも良い。

※: 米国時間の19日に1億ダウンロードが達成された

まもなくリリース、v1.5の新機能は?

Goodger氏は、1カ月以内に迫っているという最新版1.5についても触れた。キャッシュ機能強化による高速化、プライバシーツールの強化、セキュリティアップデート改善によるデフォルトでのユーザー保護、ドラッグ&ドロップによるタブ配置、SVG(Scalable Vector Graphics)によるグラフィック強化などが特徴となる。

将来的には、ユーザーがメリットを感じていないお気に入り・履歴を見直すほか、ドキュメント管理、検索、グラフィックなどでさらなる強化に取り組む計画という。

「ユーザーを理解すること。そして、計画し開発サイクルをまわすこと」(Goodger氏)

Wikiにより関心を持っている人が容易にコラボレーションできるようにし、バグ追跡、修正をきちんとする。予定通りにリリースし、容易なアクセス、デリバリに気を配る。そして、最初に定めた原則に忠実であること。「良い製品には必ず人が集まってくる。手段("how")を与えることが大切」とGoodger氏は述べた。

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