【レポート】

The 2005 O'Reilly European Open Source Convention - オープンソースはソフトウェア業界を救うか? Red HatとMicrosoftの幹部語る

    末岡洋子  [2005/10/20]

    米O'Reillyが10月18日(現地時間)よりオランダ・アムステルダムで開催している「The 2005 O'Reilly European Open Source Convention」は、技術とビジネスを織り交ぜた内容となっている。2日目となる19日、基調講演に米Red Hatと米Microsoftの幹部がそれぞれ登壇し、オープンソースやコミュニティについて語った。

    オープンソースはソフトウェア業界に現れた救世主?

    Michael Tiemann氏

    米Red Hatのオープンソース・ソフトウエア担当副社長、Michael Tiemann氏は冒頭、穏やかな口調で「ソフトウェア業界は危機に面している」と述べてスピーチを開始した。

    その理由は、企業やマスコミの間で、膨大なITコストを要求しながら、セキュリティなどで欠陥が多く、品質が悪いという苦情が噴出しているためだ。「悪いソフトウェアを安く提供するのか? 問題をフィックスするか?--フィックスすべきだろう」とTiemann氏。さらに、「変革は全員の仕事。これはプロプライエタリ企業も含まれる」と続ける。

    オープンソースがMicrosoft解体をもたらしているという見解もあるが、Tiemann氏は、これは副作用にすぎないと見ている。オープンソース開発者は品質を高めることを目指しているのであって、結果としてMicrosoftの牙城を崩していることに過ぎないからだ。そして、Microsoftがセキュリティに割く予算はこの1年で4倍になっているという

    変革にあたって、最も重要なのは設計だ。多くの人にとって、設計は失敗しない限り目に見えない。Tiemann氏はここで、OSの信頼性を調査したウィスコンシン大学のFuzz Reportを引用する。数値が大きいほどバグが多いことになるが、1995年に10に達しているLinuxは翌年には0に限りなく近くなっている。一方、ほとんどの他のOSは一定ラインを保っている。

    「人数が増えるほどバグの数が減り、バグ修正にかかる時間が短くなる」とTiemann氏はオープンソースコミュニティの特徴を示す。そして、オープンソースの開発モデルを当てはめることで、「ソフトウェア業界が危機から脱するために必要な品質に到達することができる」とまとめた。

    MicrosoftはShared Sourceの新ライセンスを発表

    Jason Matusow氏

    Osconのゴールドスポンサーでもある米Microsoftからは、Shared Source Initiative担当ディレクターのJason Matusow氏が登場した。

    Shared Sourceは2001年に同社がはじめたイニシアティブで、企業や政府などに同社の一部製品・技術のソースコードを開示し、それを利用してソフトウェアの構築を認めるもの。すでに200以上の企業、約200万人の開発者が利用しているという。そして、そこから生まれたプロジェクトの1つ「WiX」では、コミュニティ形成により開発工数が大幅に削減した例を挙げた。

    Matusow氏は、オープンソースが商用になるとオープン性が少なくなる点、増加し、互換性がなくなっているライセンスなどの課題に触れる。「オープンソースでもソースコードはプロパティ(資産)だ」とMatusow氏。そして、MicrosoftがShared Source用に3種類のライセンスを設けたことを発表した。

    この日発表したのは、制限が緩くBSD(Berkeley Software Distribution)に近い「Microsoft Permissive License(Ms-PL)」、MozillaのMPL(Mozilla Public License)に近く相互的な「Microsoft Community License(Ms-CL)」、閲覧のみの非オープンソーススタイルの「Microsoft Reference License(Ms-RL)」の3つだ。

    「オープンソースの開発モデルも(プロプライエタリと同じ)、アーキテクチャやメンテナンスに関わる人、コミッター、コードに責任を持たないコミュニティというヒエラルキー型である点を学んだ」とMatusow氏はまとめる。そして、Microsoftに3億5000万人の顧客があり、開発者、リセラー、ISVなどのコミュニティがある点を強調した。そして、「コミュニティにリーチすることが課題だ。オープンソースかもしれないし、オープンソースの背後にあるコンセプトかもしれない」と述べた。

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