【レポート】

LinuxWorld Conference & Expo 2005 - Linuxが支えるVoIP革命~通信に浸透するLinux

「VoIP(Voice over IP)とLinuxが通信業界の再編成を加速している」。10月6日、英ロンドンで開催中の「LinuxWorld Conference & Expo」では、Open Source Development Labs(OSDL)のBill Weinberg氏(オープンソースアーキテクチャ・スペシャリスト)がVoIPとLinuxについて興味深いセッションを行った。その内容を紹介する。

共通点が多いLinuxとVoIP

Weinberg氏は冒頭、「VoIPとLinuxには共通点が多い」と切り出した。共に、UNIXと通信という成熟市場に登場した「破壊的な」技術で、既存企業に「冷たくあしらわれた」歴史を持つ。オープン性を特徴とする点でも共通している。

だがこの2つの技術、起爆のタイミングは異なる。Linuxの受け入れが進んだきっかけは、企業におけるITコスト問題が深刻化したため。既存モデルでは立ち行かなくなったとき、Linuxという解決策にメリットを見出すようになった。一方、VoIPのスタートは遅れた。バブルの痛手を最も激しく受けた通信分野に、ゆっくりと登場する。そして現在、Linuxが既存のIT業界の仕組み変えたように、VoIPも通信業界を変えようとしている。

通信業界におけるVoIP、Linux

ゲートウェイサーバ、基地局、携帯端末で構成される今日の無線ネットワークは、それなりの信頼性、それなりのQoS、偏在性がある。だが、ネットワークはプロプライエタリで閉鎖されており、互換性がない。キャリア中心のモデルだ。

現在これが、VoIPと無線LANによる融合ネットワークに移行しようとしている。アクセスサーバ、アクセスポイント、携帯端末で構成され、QoSはほとんど皆無になるが、TCP/IPやSIP(Session Initiation Protocol)などのプロトコルがオープン性をもたらす。ビジネス面から見ると、エンドツーエンドのプロバイダは存在せず、キャリア中心ではなくなる。「さまざまなビジネスモデルが生まれる可能性がある」とWeinberg氏。

そして、Linuxはこの新しい無線網に進出している。まず携帯端末。Linuxベースのスマートフォンなど、現在市場には約20機種のLinux携帯端末が登場している。システム側では、OSDLのプロジェクトCarrier Grade Linux(CGL)の効果あって、すでにゲートウェイサーバに入っており、無線LANアクセスポイントでは約80%のシェアを持つという。

OSDLのBill Weinberg氏。「NTTドコモの収益モデルはすばらしいが、世界中の企業がこれを受け入れるのは難しいだろう」

Linuxはいたる所に進出している

課題は標準化とQoS

企業システムはどうだろう。企業システムは現在、音声、データ、無線の3つのネットワークが平行して存在し、それぞれに特化したハードウェアがある。そのため、プロビジョニング、サポート、サービスにすべてコストが生じている。

これがVoIPと無線LANを活用した融合モデルに移行するとどうなるか。この世界では、標準化とオープン化が進み、互換性がなかったPBXは、単なる「ハコ」からアプリケーションとなる。ボイスメールメッセージが電子メールに添付されて送付されたり、電子メールを音声で読み上げるといったことが可能となり、これに位置認識サービスを組み合わせることなども考えられる。これまで、3層がそれぞれに講じていた冗長性対策は、全体を支える基盤により実現され、無駄のない冗長化となる。キャパシティもしかりだ。ハードウェア、ソフトウェアのコストは低くなり、トレーニングなど、他の面でもコスト効果がありそうだ。

もちろん、ここにもLinuxが入る。「IP、VoIP、Linuxにより、サービスの配信が根本から変わる。企業とサービスチャネルとの関係は変わる。イノベーションを生み、さまざまなビジネスモデル、サービスが生まれるだろう」とWeinberg氏。

「既存の業界を殺すのではなく、再構築する。LinuxとVoIPのシナジー効果がこれを実現する」(Weinberg氏)。

Weinberg氏が例として挙げたのがコールセンターだ。米国ではこれまで、コールセンターのコスト対策として、インドなどにアウトソースしていたが、同じ仕組みを安いコストで運営するだけであって、システム面からみると基本的には同じだった。これがVoIPなどの革新的技術を取り入れることで、スタッフが世界中に分散し、時間、場所、状況に拘束されることなく、電話を受けることができる"マイクロコールセンター"が実現する。拘束時間がなくなることからコストは削減でき、かつ、カバー時間は増える。

だが、課題は残っている。Weinberg氏はまず、柔軟にネットワークをスイッチするためにはVoIPの標準化が必要と述べる。現在人気のVoIP、Skypeはプロプライエタリだ。そのほか、リアルタイム、QoS、ネットワーク帯域、セキュリティへの懸念などもある(Weinberg氏は、「個人的には、セキュリティ懸念は暗号化が容易に実現するVoIPの方が軽減されると思うが」と付け加えた)。

ビジネスモデルも見えない。現在のビジネスモデルでは、実際に利用されるパターンと収入の流れがマッチしていない。ユーザーはソフトウェア、ISP、サーバーには対価を払っているが、ネットワーク・帯域のサポートには払っていない。「ボトムアップのVoIPは神話にすぎない」とWeinberg氏。クオリティに対価を払うような仕組みが必要とした。



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