【レビュー】

単なるゲーム機ではない -オトナの使うPSP

4 これまでのポータブルビデオプレーヤーを凌ぐ品質の動画再生

    丸山弘詩  [2005/09/28]

    PSPのUMDビデオ再生は極めて綺麗だ。ステレオスピーカも搭載されているので、ソフトさえ買えば出先で映画を楽しむことすらも可能だ。もっとも、そのソフト価格がDVD並な点、音声が2chに限定される点、ラインナップがまだまだ揃ってなく限られる点などに納得できればの話ではあるが。

    UMDビデオが綺麗なのは、MPEG-4 AVC(H.264)という高圧縮の新しいフォーマットをPSPが採用しているからであり、その点では従来のポータブルビデオプレーヤー(MPEG-4 ASFや3GPPなど)と一線を画す。これまでもメモリースティック デュオを記録メディアとして使い、PCで変換した動画を観賞することは出来ていたが、3GPP(3rd Generation Partnership Project の略。第三世代移動体通信の標準規格。ここでは3GPP規格の動画の意。日本国内の携帯電話端末の動画撮影は、この3GPP形式を採用したものが多い。PCではAppleのQuickTime Proが対応しているが、その他にもさまざまなソフトが対応している)であったため、UMDビデオに比較すると、明らかに品質が低かった。

    今回のアップデートでは、メモリースティック デュオに収納されたMPEG-4/AVC規格の動画が再生できるようになった。また、別売(ダウンロード販売)ではあるが、変換ソフト「Image Convertor2 Plus」(ソニースタイル)も提供されており、自分で録画した番組も高品質で楽しむことが出来るようになった。

    大容量のメモリースティック デュオを購入するという「壁」さえなければ、同サイズのポータブルビデオプレーヤーと比較することすら考えられない。ただし、変換ソフト「Image Convertor 2 Plus」は変換に動画ソースの再生時間と同程度の時間が掛かってしまうことは覚悟しておく必要がある。

    こういった手間暇や時間を割くのは避けたいと言う方には、11月にソニーから、MPEG-4 AVC(H.264)変換機能を内蔵したハイブリッドレコーダー「スゴ録RDR-AX75」が発売予定なので、是非ともチェックしてほしい。これまでも同社はPSXでMPEG-4への変換ダビング機能を提供していたが、動画ソースの再生時間の約4~5倍の時間を要するもので、あまりお薦めできるものではなかった。

    また、デジタル放送に関してはコピーワンスの問題があり、PCであっても変換することが出来ない。コピーワンスについては、今後は若干緩和される見込みではあるが、現時点ではDVDなどのコピーガード付きの映像と、その制約は何ら変わらない。

    ところで、UMDビデオは高いということは前述したが、実はPSPの場合、男性諸兄向けのいわゆる「お子さまにはパッケージも見せられない」ものも販売されている。これはPSPに年令制限機能(いわゆるペアレンタルロック)があるが故の代物だろう。

    UMD(ゲーム・ビデオとも)自体に視聴年齢制限レベルが設けられている。PSPでは11~1までが設定できる。工場出荷時には「9」に設定されており、UMDビデオでは「1~9」のものが再生でき、PSPに設定された数値が小さいほど、その視聴が制限されることになる。UMD のゲームの場合は「全年齢」が「1」、「12歳以上」が「5」、「15歳以上」が「7」、「18歳以上」が「9」となっている。お子様といっしょに生活されている方は、是非設定しておいていただきたい。なお、前述のインターネットブラウザも、起動時に暗証番号を要求する設定に変更することが可能で、ホームメニューの「セキュリティ設定」で設定する。

    ホームメニューの「セキュリティ設定」の「視聴年齢レベル」設定。オトナとしてきちんと設定しておきたい

    会員登録が必要ではあるが、新たなサービスとして、MPEG-4 AVC(H.264)形式の動画ダウンロードサービス「P-TV」もスタートしている。現在は無料コンテンツのみだが、有料コンテンツも登場予定となっている。現状ではPSP本体だけではダウンロードは出来ないので、PCが必須ではあるが、将来が楽しみなサービスだ。

    ホームメニューの「ビデオ」の画面。「P-TV」からダウンロードしたMPEG-4 AVC(H.264)ファイルが表示されている。一番左手に「AVC」がついていることで確認できる

    なお、前述のブラウザでMPEG-4形式の動画をダウンロードできる(認証等がなく、単純なハイパーリンク)場合、ダウンロード(保存先)を「/MP_ROOT/100ANV01/」に変更して保存すればホームメニューの「ビデオ」から視聴することができる(保存先指定画面で「方向」キーの「↑(上)」を押して「○」キーを押すと保存先がリスト表示される。また「100ANV01」の数字部分は環境によって異なることがある)。

    さらに多機能化された「フォト」機能

    ブラウザやビデオのような派手さはないが、「フォト」も着実に機能アップが図られている。例えば、これまでは見ることしか出来なかった静止画を、無線LANのアドホックモードを使って、他のPSPと交換することが可能となった。また、ホームメニューの「壁紙」にも設定できるようになっている。PSPのホームメニューは月が変わると、カラーが変わる(本アップデート適用後は任意の色に設定することも可能となった)ことは有名だが、背景まで好みの写真に変更できるというのは、PDAの如き味付けではないかと思う。

    ホームメニューの「設定」の「テーマ設定」の「テーマ」。月替りは「オリジナル」を選択すればよい。「壁紙」のON/OFFはここで選択できる

    今回のアップデートは、PSP本体を無線LANアクセスポイントに接続するか、PCでダウンロードするか、いずれかの方法でファイルをメモリースティック デュオに書き込んだ後、アップデートプログラムを起動させる(ACアダプタが必要)ことで適用される。また、販売店でも9/1から数量限定でアップデートプログラムが収録されたUMDを配布している(販売店で購入するか、PSP本体を持参することで入手できる)。

    ところで、PSPの取扱説明書に目を通された方は気付いたことだろうが、他のゲーム機のような「読み仮名」いわゆる「ルビ」が入ってない。このことからもオトナ向けの携帯ゲーム機だとわかるだろう。しかし、今回のアップデートでWebとメールの閲覧(Web経由) のためだけに、PDAを持ち歩く人間にとっては、さらに楽しめるマルチメディアデバイス、「オトナの遊び道具」としてのポジションにようやくたどり着いたように思えるのだが、如何であろうか。これにより、PSPは当初の目論見どおり、「PSP」というカテゴリを確立できる可能性も出てきたと言えるだろう。さらなる機能アップを進むことを望みたい。

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