【インタビュー】

Jozに聞くnanoの魅力 - iPodのデザインの秘密

3 シンプルデザインの秘密

    大野晋一  [2005/09/09]

    --iPodブランドの形成において、そのシンプルながらもインパクトのあるデザインは大きな役割を果たしていると思います。カラーバリエーションが無くなったことによって、iPodのデザインにおける無名性・匿名性が強く印象づけられました。iPodのデザインはバリエーションがありながら、世代を重ねながらも、シリーズとして統一感のとれたものになっている。これは特に、工業デザインという世界においては難しくも重要なことだと思うのですが、iPodのデザインについて、どういったポリシーがあるのでしょう? iPodのデザインにおけるIDとは?

    Joz: そう。エンジニアリングという観点から見ても、異なる世代間・フォームファクタ間で同じデザイン要素を持たせるというのはすごく難しいことだ。そしてこのデザインの連続性こそがiPodのIDなんだと思う。

    ところで、私はiPodのデザインについて「シンプル」というよりは「ピュア」という言葉を使いたい。というのも、シンプルというと余りデザインをやっていないように聞こえてしまうかもしれない。しかし、ピュアなものを作るためには実はそこにたくさんのデザインを詰め込む必要がある。我々がやっているのはまさにそういうことだ。

    複雑なものに対して「デザインされすぎている」という印象をもつかもしれないが、そうではない。それはデザインが足りないから複雑になってしまうんだ。ピュアなものを作ることにこそ手間と時間をかけていく必要がある。

    --iPodは、ビデオの再生機能やラジオ受信機能の搭載などを避け、音楽を再生するという「ひとつのことを上手にやる」ことで成功してきたのだと思います。今度のiPod nanoに関してこの点はどういう形で実現されているのでしょう?

    Joz: 100%そのとおり、まさにそのとおりだ。

    iPodにとっては音楽が最も重要--Appleは常にそう考えてきた。世代を進めるごとに機能追加を行ってきたが、音楽再生を妨げるような機能は絶対にしなかった。今日も多くのひとに「ビデオ機能は?」と聞かれたが、nanoにビデオ再生機能を搭載しなかったのはとても単純な理由--「だって、これはミュージックプレイヤーだから」--ただそれだけのことだ。

    ビデオ機能を搭載したらどうなるだろう…… 当然ディスプレイはもっと大きくなければならないし、本体は大きくなってしまう。それって既にnanoじゃないよね?

    我々は「音楽」にフォーカスしている。音楽を気持ちよく聞けることを第一に考えて設計を行っている。

    実際に大きなiPodを目にしないとこういったことは実感できないかもしれない。もちろん、大きなサイズが適しているものもあるかもしれない。それが「ひとつのことを上手にやる」のに適しているのであれば、それもいいかもしれない。大きなボディが適した目的もあると思う。でもiPod nanoはそうじゃないんだ。

    その一方で、例えばカラーディスプレイはnanoにとって重要だと考えている。それは、カラーディスプレイによって何かを捨てることなくnanoを良いものにすることができるからだ。カラーによっていろいろな機能を良くできる。カレンダー、コンタクト、フォト……どれもそうだ。音楽再生機能を犠牲にしない。むしろ音楽再生という面にも良い効果を与えていると思う。例えばアルバムアートの表示とか。

    さっきの「大きなボディ」じゃないけど、我々は「何かをやらない」ことを選択して行く必要がある。どこかで妥協が必要になってしまうことや音楽のじゃまになるようなことは決してやってはいけない。大きなディスプレイを持っていないとか、ビデオ再生機能を持っていないとか…… そういう「何かを持っていない」ということがnanoの個性なんだと思う。

    そうやって音楽を「守って」いく一方で、音楽再生機能そのものの改善も続けている。まず、nanoになって音質が良くなったよね? これにはエンジニアリングの面でかなりのコストを投入している。なぜなら、結局最初の話に戻るわけだけど、iPodは音楽のためにあるからだ。

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン