【レポート】

IDF Fall 2005 - 開幕前日PreviewでWi-Fi/GPRS/BlueTooth統合シリコンが登場

今年も米サンフランシスコでIntel Developer Forum Fall 2005が開幕した。開催日は8月22日~25日(現地時間)の3日間だが、前日にあたる21日、プレス向けにいくつかの分野に関するPreviewが行われた。その中から2つほどレポートをお届けしたい。

Multicore Briefing

Photo01:発表を行ったSenior Intel Fellow, Chief Technology Officer, Digital Enterprise GroupのSteve Pawlowski氏

Yamashita氏のレポートにもあるが、今回Intelは次世代のアーキテクチャを公開することを予告している。またIDFのテーマが"Multi Multi-core platforms. Accelerate core platforms. Accelerate your future"というものだから、MultiCore Briefingではなにかそれなりの発表があるかと期待していた。ただ結果から言えば今回のBriefingは肩透かし。やはり明日の本番まで細かい話は待てという事の様だ。とはいえ、ちょっとだけ面白い話もあったので、かいつまんでご紹介する。

Intel以外のベンダーは"Moore's Lawはすでに死んだ"(このあたりは各社いろいろな事を言っているが、一番説得力があるのは福田氏のレポートにある"Moore's Law is Unconstitutional"ではないかと思う。一読をお勧めしたい)と主張しているわけだが、Intelは当然Moore's Lawは有効であると主張しているわけであって、したがってMoore's Lawによるバラ色の面を強調することになる。今回の場合、今後のプロセスの微細化が進む過程で、如何に大量のコアをオンチップで搭載できるようになるか、という試算が示された(Photo02)。ただ、こんな大量のコアをどう扱うか? ということで示されたのが、Intel Virtualization Technologyと組み合わせた例(Photo03)である。要するにCPUコアもリソースの一部とみなし、VTを使ってパーティショニングするという仕組みだ。すでにItaniumのMulti-way Serverではこれに近い仕組みをシステム全体で提供できているし、もともとはIBMのAS/400(最近はiSeriesという名前に変わった)とOS/400の組み合わせ(というか、もっと源流にさかのぼればIBMのSystem/38であろう)で実現している、ハードウェアの完全な仮想化とパーティショニングがワンチップで実現できる、という仕組みを提供できるというのがIntelのメッセージだった。

Photo02:32nm世代あたりはともかく、11nmとか8nmではもう微細化してもトランジスタ自体は小型化できないのでは? という指摘もなされていた。が、そもそも世代毎にプロセッサのアーキテクチャが変わってゆく現在では、この試算自体があまり意味の無いものではある。大体2018年にNetburstを256個集約しても、誰も喜ばない気がする。これは単に数字を使った「例」程度に受け止めておくのが正解だろう。

Photo03:CPUコアはFablicの形で搭載し、それをどう割り振るかをVTで管理する、という仕組み。IA-32をPowerPCに置き換えたら、まんまIBMのAS/400である。

もっとも、この仕組みを活用するためにはOSの対応が必要だし、LinuxにせよWindowsにせよ、これだけの仮想化やパーティショニングの機能はまだ持っていない。Intelの提供するVMXにしても、まだここまでのハードウェアを扱えるほどの機能はない。これは残念ながら遠い未来を描いた夢物語、と捕らえるのが正確なのだろう。

マルチバンドワイヤレス

Photo04:発表を行ったDirector and General Manager, Communication Technology LabsのAlan Crouch氏

むしろ現実に近いSolutionを見せてくれたのは、"Enabling Your Future Lifestyle"と題したWirelessに関する研究開発の成果であった(Photo04)。現在Wirelessといえば、携帯(それも1G/2G/2.5G/3Gと各種ある)、802.11a/b/g、BlueToothが現実に存在し、さらにUWBやWiMAXなども控えている。今のところこれらは相互に関連性をもっておらず、したがって利用者が適切な機器を選んで通信することになるわけだが、お互いの電波干渉の問題もまだ完全には解決されていないし、そもそも「何が適切か」を選ぶのが大変という問題は残ったままである。これをもっとIntelligenceに行おう、というのが今回の発表の骨子である。つまり複数のワイヤレス機器を一体化した上で、これを集中的に管理できるようにすることで、自動的に最適なワイヤレス機器を選んで接続するという仕組みを持たせるようにした(Photo05)。これを実現するための課題としては、まず全てのデバイスを省電力化・省スペース化すること、次にこの複数のデバイスを管理する仕組みを整えること、最後に相互接続性に関して法制度を含む環境作りを行うことが重要であるとしている(Photo06)。具体的には今回、Wi-FiとGPRS、BlueToothの3つを統合したシリコンが公開され(Photo07)、これを使ったハンドヘルドデバイスによりワイヤレス経由での動作再生デモも行われた(Photo08)。

Photo05:ICHの下にWi-Fi/WiMAX/UWB/BlueTooth/3G Wirelessを接続し、まとめて制御できるようにするのが最終的な目標である。

Photo06:今回の発表の骨子はこのうち1.のMulti-radio Siliconである。

Photo07:このシリコンの発表自体は、今年6月に京都で開催された"2005 Symposia on VLSI Technology and Circuits"で行われている。さすがにWiMAXやUWBの統合は現時点では無理であった。

Photo08:この写真から大きさが推察できると思う。見た限りはスムーズに動画が再生されていた。

今後の課題としては、802.11n(所謂MIMOの事。複数の周波数帯で同時に通信を行うことで、実効スループットを向上させる仕組み。100Mbps超を狙った規格で、WWiSEとTGn Syncという2つのグループが標準案を提示していたが、最近これを一本化する動きが出ており、Draft提示に向けて急速に規格がまとまりつつあるようだ)への対応があり、今回のシリコンもベースバンドを最大100MHz動作とすることでこれに対応できるようにしているという。またさらにその先の話として、IEE802.21と呼ばれるワイヤレスの相互接続性に関する規格が現在策定中であるが、これへの対応を予定しているという(Photo09)。またその先としてはIEEE802.16(WiMAX)やIEEE802.11e(QoS)などを世界中で利用されるものにしてゆく作業も重要であることを明らかにした(Photo10)。特にWiMAXの場合、周波数帯の問題があって日本では適用が難しい状況になっているが、これは何も日本だけの話ではなく、大きく分けても欧米とそれ以外ではかなり状況が異なるし、厳密に言えば国毎に事情は異なっている。こうした問題を解決し、世界的に相互運用性を高めてゆくべく働きかけをしてゆくとしている。

Photo09:このIEEE802.21の中で複数のワイヤレス間でのローミング機構、ハンドオーバー機構などが制定されるため、これに準拠する形で省電力機構(使っているバンドの機器のみActiveにし、その他の機器は自動的にSleepにする、など)などをインプリメントしてゆくとしている。

Photo10:IEEE802.11eはIEEE802.11a/bを対象にQoSの機能を付加する規格。あまり使われていないのが実情だ。

というわけで

Previewではこの他にSensor Networkなどの話もあったが、これはまた別の機会としたい。内容的に核心に踏み込むことはなかったが、とりあえずMulti-CoreやWirelessに引き続き集中しているというIntelの姿勢表明がなされた、というのがPreviewの総括であろうか? そんなわけで、これ以降に登場する話にご期待いただきたい。

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