【レビュー】

PC感覚で使えるNTT DoCoMo FOMA M1000

4 PDAとしてのM1000

    丸山弘詩  [2005/08/08]

    次にPDAとしてM1000のネットワーク機能を見てみよう。まずは、M1000において最も重要なポイントとなる機能であるウェブブラウザだが、画面のサイズと表示速度では最近のPDAを上回ることができないとしても、かなり忠実なレンダリングをしてくれる。液晶の幅に合わせるフィット表示モード、200%までのズーム機能もある。また、アイコンやインジケータ類を消しての全画面表示も可能だ。さらに縦・横切り替えも可能とサイズを考えると申し分ない。当然ながらFOMAと違いダウンロードデータ量の上限も明確に決まっていないので、一般的なサイトの表示に困ることはないだろう。絶対的な画面サイズが気になるが、片手に隠れるサイズは、その使用場面が通勤中や喫茶店など、第三者の目に入る場所が多いと考えると、逆に都合が良いとも思える。

    コントロールパネルの「接続タブ」。

    ネットワーク設定。「mopera U」だけは専用の設定ツールがある。

    POP3、IMAP4が利用可能。APOPも使える。ネットワークアカウントを「発信
    時手動」にしておけば、送受信の度に選択画面が表示される。

    スケジュール受信機能。時間を指定して自動受信することができる。

    いまのところmopera Uでだけ利用可能な待受け中に届くメール通知をトリガーとした自動受信機能。iモードでインターネットメールの到着を確認していた方には必須の機能だろう。

    コントロールパネルの「一般」タブの「着信音選択」で音楽ファイルを着信音として取り込むことができる。

    ただし、ブラウザ機能は家庭の無線LANや定額制の公衆無線LAN経由で接続している場合はともかくとして、パケット通信の場合は、パケット単位での従量制であるため、通信料金を意識しておかないと大変なことになる。パケット通信では、Web圧縮機能のあるmopera Uを使うなどすべきだろう。

    ブラウザを初期設定状態(フィット表示モードOFF)で表示させたところ。200%までのズームもできる。

    フィット表示モードONのブラウザ画面。見やすくはなるが、デザインが大幅に違って見える。

    フィット表示モードOFFで全画面表示させたところ。この状態でメニューを呼び出すには左上の「アプリケーションキー」を押すとよい。

    フィット表示モードONで全画面表示させたところ。縦方向のみのスクロールだけでよいため、電車の中などでは操作しやすいかもしれない。もちろん横画面表示にもできる。

    Web圧縮機能はデータの大半を占める画像データ(JPEGなど)をサーバ側でデータを圧縮することで総データ量を減らすものだ。300KBのページを表示した場合、単純にiモードと同じ1パケット=128byteとすればパケットパックなしで約530円、パケットパック30で約140円となるが、Web圧縮機能を使えば画像の10~70%削減される(状況によって効果は大きく異なってくる)。圧縮レベルはmopera Uにログインすることで変更できる。こういった機能を使わないのならば、パケット通信でのブラウザ使用は緊急時に限った方がいいだろう。

    メール機能は一般的なインターネットメールクライアントとして最小限の機能を備えている。複数アカウントが設定可能で、POP3(APOP)・IMAP4が利用できる。「POP before SMTP」「SMTP auth」といった送信手順も整っている。メールの一覧画面では、SMS(ショートメッセージ)やBluetoothのファイル転送も併せて件数表示をしてくれる。

    他のBluetooth端末から接続許可要求。「許可」をタップすると接続を
    開始する。

    「Object Push Profile」でファイル(今回はvCARD形式)が受信されたところ。「完了」をタップするとメール一覧の「Bluetooth」に表示される。

    メール機能のBluetoothをタップしたところ。vCARDなので、ファイルをタップすると電話帳に登録される。

    1つのvCARDファイルに複数のvCARDが検出されたことを示す。SD-PIM対応の他の携帯電話で書き出したvCARDを複数転送する場合はエディタなどで一つにまとめれば一度に転送できる。

    iモードメールには非対応だが、mopera U利用時のみ通常待受状態での自動受信に対応しており、かなり近い使い方ができる。他にもメールアカウント別に送受信に利用するネットワーク接続を選択することも、メールの送受信時に一覧から選択するようにも設定できる。さらにスケジュールによる受信(タイマー型受信)も可能とかなりの高機能ぶりだ。この部分は通信機能を標準で備えたPDAとして見れば優秀である。

    メール機能。アカウントの状態が一覧表示される。「*」は先頭だけの部分受信を示す。

    アカウントをタップした一覧表示。右上のプルダウンで受信・送信・下書き・送信済みの各BOXが表示できる。ここでフォルダを作成して管理することも可能。mopera Uのメールはサーバ上の受信BOXのメールが削除されるとM1000のmopera Uのアカウントの受信BOXも削除される(IMAP4と同等の動作)ので、とっておきたいメールはフォルダを作成していれて置くようにしよう。

    メール本文を表示したところ。文字サイズは変更できないが、添付ファイルやhtmlメールも扱える。

    ただし、残念なのは、メールの本文表示の文字サイズは一切変えられないことだ。特にHTMLメールを表示した際は縦・横のスクロールが面倒だ。

    マルチメディア機能

    マルチメディア機能としては、動画再生、音楽再生機能を持つ。携帯電話では主流の3GPPとMPEG4に加えて、ASFとWMV(Windows Media Video)と多様な動画に対応している。その音声もステレオのAACやWMA(Ver.8)をサポートしている。しかし、その画面サイズは最大で176x144といささか小さく、これを超えると再生することができない。また、CPUの性能による音ずれが発生しやすいので、過度の期待はできない。

    音楽機能もMP3や3gaに対応しており、内蔵スピーカーでは相応の音しか出ないが、ステレオタイプのイヤホンマイク(ヘッドホンアダプタ)を使うと、かなりいい音で聴くことができる。

    相応のファイルサイズを要する動画やMP3などのファイルは、内部メモリではなく、外部メモリのTransFlashに格納して利用することになるが、M1000におけるTransFlashの収納はFOMAカードの横であり、転送の度に電池を取り外すというのは、かなり面倒な作業になる。USBケーブルまたはBluetoothでM1000とPCを接続して、付属のDesktop Suiteを使ってデータ転送するのが現実的な作業手順になるだろう。ただし、この転送速度はかなり遅いのが少々残念なところだ。

    ところで、このDesktop SuiteにはPCを「ルータ」として、M1000をインターネットに繋ぐ「mRouter」というソフトウェアが付随している。例えば、M1000とPCをDesktop Suiteを使い接続している状態で、M1000のブラウザを起動するとインターネット上のサイトを表示することが可能になる。つまり無線アクセスポイントがなくても、Bluetooth接続さえ可能であれば、このmRouterを経由して擬似的な無線LAN環境で利用することが出来るというわけだ。PC用のUSBタイプBluetoothアダプタは3,000円台で入手できることから、M1000の使い勝手を高めるためには是非とも欲しい機材だ。

    ここまで説明した機能は、M1000の電源を入れた直後を除けば、かなりスムーズに利用できるのだが、文字入力インタフェース(手書き・タイプライター)が立ち上がる際に、必ず待たされてしまうのにはストレスを感じてしまう。とは言っても、通常のPDAとは違い、常に電源ONのままで持ち歩けるということは、素晴らしいアドバンテージだと考えられる。昨今のPDA市場が一時の隆盛を離れ衰退しがちで、携帯電話市場が盛り上がるのは、その機能の豊富さもさることながら、こういった常時電源ONで利用できる点なども一つの要因だと思われる。

    今回発売されたM1000は、こうした携帯電話の高機能化や稼働時間の長さに加え、ハンドヘルドの名機であったPsionに搭載されていたOS「EPOC」の流れを汲むSymbian OSの採用によってアプリケーションを自由に搭載できるなど、様々な興味深い面を兼ね備えている。

    今後どのような流れになるか、携帯電話端末の一つの主流になり得るかは、ユーザーにM1000がどう受け入れられるかかかっているのだが、その展開からは目が離せない非常に興味深い端末として仕上がっていると言えよう。

    なお、現時点ではパケット通信時の高いコストがその利用を阻む一つの要因となっているが、万が一、M1000がパケ放題対応となれば、日本においてもスマートホンの波みが押し寄せる可能性すらあり、ある意味、今後のNTT DoCoMoの動きからも目が離せなくなる、エポックメーキングな端末だろう。個人的には是非ともシリーズ化して欲しいと思っている。

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