【レポート】

SIGGRAPH 2005 - 立体物をカラー印刷するプリンタなど一般展示レポート(1)

1 SIGGRAPH2005の一般展示 - 立体物をフルカラー印刷する3次元プリンタ登場

 
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SIGGRAPHの舞台となったロサンゼルス・コンベンションセンターはE3が開催されるほどの巨大なイベントスペースだが、カンファレンス主体のSIGGRAPHでは、そのホールや部屋のほとんどをカンファレンスルームとして活用している。それでも、サウスホールの一部は展示会場として活用されており、E3ほどの規模ではないが、企業ブースが3Dグラフィックス技術やバーチャルリアリティ技術に関連した製品やサービス等を展示している。今年のSIGGRAPHの展示会場で特に目を引いたものをここで紹介したいと思う。

SIGGRAPH2005の展示会場の様子

SIGGRAPH2005の展示会場のあるサウスホールの正面にはNVIDIAのラッピングバスが。

ドラえもんの「ふえるミラー」? 立体物をカラーで出力するマシン~3次元プリンタZシリーズ

Z CORPORATIONブース

プリンタといえば普通は紙に画像を印刷する機械だ。これは、あえて言うならば、2Dプリンタ……ということになる。これに対し、Z CORPORATIONが開発したZシリーズは、立体物を作り出す3Dプリンタだ。しかも、その立体物をフルカラー印刷(?)してくれる機械なのだ。そもそも「立体物を印刷する」という概念自体がわかりにくいと感じる読者も多いと思われるので、ここから解説しよう。

2Dプリンタでは印字ヘッドが左右に動き、紙を送っていくことで横×縦の2D印字を行うが、3Dプリンタでは横×縦に加え、"高さ"の概念が加わることになる。2Dプリンタでは印刷媒体として紙をセットするが、これに対し3Dプリンタでは石膏の粉を印刷媒体としてセットする(出力素材は石膏の他、セルロース系の材質も利用可能とのこと)。3Dプリンタは、自身に入力された3Dモデルを内部で輪切り状に分解し、その輪切り状の形を石膏で形成していく。これまでにも、3Dプリンタは数社よりリリースされてきたが、Z CORPORATIONのZシリーズは、この課程で着色まで行ってしまう点が特徴だ。

こうしたものが着色済みで出力される。製品のプロトタイピングに最適というが、安ければ1台欲しくなってしまうクオリティ。

石膏に着色される関係でパステル調の色合いになるが、それでも生首なんかはかなりリアル。

具体的な工程はこうなる。まず、輪切り形状を作り出すように、石膏の粉を薬液と共に噴出するヘッドが横×縦に動く。Zシリーズでは、この時、同時にフルカラーのインクをもヘッドから噴出し、フルカラーの輪切り形状を形成する。2Dプリンタの紙を送る要領で、輪切り形状が形成したら、これが載っている台を微妙に一段階下げ、次の輪切り形状をここに重ねて積層していく。横×縦で作り上げた輪切り形状を高さ分に積層していくことで、めでたく立体物が「印刷」されるというわけだ。Zシリーズの画期的なところはこの積層をシアン、マゼンタ、黄色……のCMY3色インクの着色と共に行ってしまうところ。Z CORPORATIONによれば、カラー調合は24ビット、1,677万色次元で行っているという。

ところで、プリンタで画像を印刷する際、元になるのはJPGなどの画像ファイルになる。それでは3Dプリンタではどんなデータを印刷するのか? 3Dプリンタでは、3Dグラフィックスの共通フォーマットとして利用されているVRMLベースのファイルを印刷する。MAYA、SOFTIMAGEなどの3D-DCC(Digital Content Creation)ソフトウェアで制作した3Dモデルがあれば、これをVRML形式にエクスポートして、この3Dプリンタに入れてやればいいわけだ。もっとも3Dスキャナで3Dデータを生成してからこのフルカラー3Dプリンタで出力してやれば、いわば「立体コピー」もできることになり、鏡に映したものが立体になって出てくるドラえもんの秘密道具「ふえるミラー」的なことも可能になってしまうわけだ。

実際に出力されたモノを手にしてみると、見事としか言いようがないできばえで、積層解像度と印刷解像度の高さの双方に驚かされる。Z CORPORATION社の最新モデル「Z510」では「High-Definition Color 3D Printing」というキーワードを掲げているほどで、印字解像度は600×540dpi、積層解像度は0.089mm。後工程で着色するのではなく、積層と同時に着色を行うので閉じた空間の中のモノも色つきになり、外"皮"だけでなく、中身までを着色したモノも形成できる。だからギアのかみ合ったエンジンの模型を生成すれば、1個1個の歯車が着色されて出力されるし、靴モデルを生成すれば、足を入れる内側のつま先の奥の奥のまで色が付いている。ただの頂点単位の着色でなく、テクスチャレベルでの立体カラー印刷となるので、表面に文字やデカール、複雑な模様テクスチャ付きの立体成形もむろん行える。

現時点での弱点をあえて挙げるとすれば、材質が石膏ベースでここにインクを含ませる方式となるため、フルカラーとはいってもその発色が拡散反射系の……いうなればパステル調の柔らかい色調になってしまう点か。また、クロームメッキのような鏡面反射塗装は成型時に行うことはできない(出力後、後工程で行うことは可能)。しかし、技術革新があれば、いずれはそういったことも可能になるかもしれないという。

Z510の本体サイズは107×79×127 cm。コピー機よりも一回り大きいイメージ。

インクと溶剤を収納するタンク・ブロック。

価格は最新モデルのZ510で、1システムあたり、約50,000ドル(約500万円)。自動車メーカー、映画制作スタジオなど、多様な業界に売れているそうで、バックオーダーも含めて既に約1,600ユニットのセールスを記録しているという。製品ラインナップは以下の通り。

Spectrum Z510 Spectrum Z810
最大出力サイズ 154×356×204mm 500×600×400mm
印刷解像度 600×540dpi 300×300dpi
最小積層解像度 0.089mm 0.089mm
印刷速度 毎分2層 非公開

Z810の方が大サイズの出力に対応するが、印刷解像度はZ510よりも低い。いずれのモデルもインク、石膏、薬剤を含めたランニングコストは1立方インチあたり1ドル。なお、出力モデルはリサイクル可能で環境に配慮済みだという。なお、Z CORPORATIONのサイトは日本語にも対応しており、日本からの顧客獲得にも力を入れていきたいとのことであった。

エジプト胸像を出力中。出力ディメンションを最大限に生かして同時に四体出力中。これくらいだと1時間程度で出力される。

どういう着色を行うか……といった設定はシステムに付属する「Z-EDIT」と呼ばれるソフトウェアを利用する事で行う。

完成したエジプト胸像。

単なる領域着色でなく、600×540dpiの解像度で文字やテクスチャ表現も印刷できる。

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インデックス

目次
(1) SIGGRAPH2005の一般展示 - 立体物をフルカラー印刷する3次元プリンタ登場
(2) SIGGRAPH2005の一般展示 - LEDバックライト付き液晶ディスプレイ

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