【レポート】

O'Reilly Open Source Convention - Goole Maps/Ajax/Web 2.0~オープンソースの起こす第2のパラダイムシフト

    Junya Suzuki  [2005/08/05]

    オレゴンはオープンソース技術者の新しい聖地か?

    Web技術の次のトレンドを知るにはどうしたらいいか--最先端で活躍する人たちの意見に耳を傾けたらいい。そうした最先端IT技術に卓越した人物、通称「アルファ・ギーク」と呼ばれる人々が集まるのが、現在米オレゴン州ポートランドで開催されているオープンソース技術に関するカンファレンス「Open Source Convention 2005(OSCON 2005)」だ。

    OSCONは、技術書出版で有名な米O'Reillyの主催で毎年開催されるイベントで、分野別に技術セッションが用意され、業界の技術リーダーたちがプレゼンターとなって最新技術の紹介が行われる。技術セッション自体の濃さもさることながら、世界中から集まったオープンソース技術者が一同に会して情報交換を行う場としての魅力もある。

    OSCONは、すでに10年近く開催され続けている歴史あるイベントでもある。シリコンバレーの中心地でもある米カリフォルニア州サンノゼから始まり、モントレー、サンディエゴとカリフォルア州内の観光地を転々とした後、ここ最近は3年連続でポートランドでの開催となっている。Linux開発で知られるLinus Torvalds氏も、昨年シリコンバレーからポートランドのあるオレゴン州へと拠点を移しており、オープンソース開発者にとっては過ごしやすい環境なのかもしれない。イベント自体も成長を続けている。O'Reilly Mediaで同カンファレンスの会長を務めるNathan Torkington氏によれば、参加者数は2,000人規模に達し、これまでオープンソースとは一線を置いていたような企業とも交流が増えたという。

    「世界中から、それぞれ異なる目的を持った人々がこの場に集まっている。意図するものは違っても、そのバックグラウンドには"オープンソース"という共通のフレームワークが存在する」と、Torkington氏はオープンソースの存在が人々を引き付けていることを強調する。

    OSCON 2005の開催されているOregon Convention Center

    「メインフレームからPC」以来のパラダイムシフト到来か

    週の中日にあたる8月3日(米国時間)、OSCON 2005のオープニングを飾る形でO'Reillyの創設者であり会長のTim O'Reilly氏の基調講演が行われた。同氏によれば、オープンソースの広がりとともに、ソフトウェアの世界で大きな変化が起こりつつあるという。1980年代、コンピュータ・ハードウェアの世界はメインフレームから、より低価格でコモディティ化の進んだPCへとメインプレイヤーが移っていった。現在、オープンソースの台頭により、ソフトウェアの世界でも同様のパラダイムシフトが起こりつつあるというのだ。

    O'Reilly創設者で会長のTim O'Reilly氏

    O'Reilly氏が示す、オープンソース時代のパラダイムシフト

    PCがCPUやHDD、OSやアプリケーションなどの複数のレイヤで構成されているように、ソフトウェアやサービスの世界でも、オープンソースをベースに複数レイヤの共通基盤が構成されつつある。Linux、Apache、Eclipse、MySQL、JBossといった基盤となる枠組みの上に、さらにAmazon.com、eBay、Google、SkypeといったWebアプリケーションをサービスとして提供するサイトが構築される形となる。

    Goole Maps、Ajax、Web 2.0

    こういったことがオープンソースにどう結びつくのかと考えると、いまひとつピンと来ない。だがO'Reilly氏は「Google Mapsのように、Ajaxを使って同社のサービスを外部の人間が利用できるようにするためのフレームワークが用意されている。顕著な例は、Google MapsとCraigslistを組み合わせたHousingmaps.comだろう。eBayなども同様のAPIを公開しており、これらサービス自身が新たなフレームワークとなりつつある」と、オープンソースの新たなムーブメントとなりつつあることを指摘する。

    Ajax(Asynchronous JavaScript+XML)は、Webページをリロードすることなしにサーバ~クライアント間でXMLやテキスト文書の転送を行う技術だ。XML文書の転送にはJavaScriptが用いられ、非同期で情報のリフレッシュが行われる。従来までのWebブラウザ技術では、新しい情報を表示するためにページの移動が発生していたが、これがセッション管理を複雑にしたり、操作感を損なう原因となっていた。Ajaxではこうした情報のリフレッシュが画面の遷移と関係なくシームレスに行われるようになるため、「リッチクライアント」を実現する技術の1つとして、特に前述のアルファ・ギークの間で大きな注目を集めている。

    O'Reilly氏は、こうした現象の説明において「Web 2.0」というキーワードを紹介した。Web 2.0は次世代のWeb技術を示すものだが、正確にどの技術がWeb 2.0に含まれるかという定義があるわけではない。どの技術がWeb 2.0となるのか--それが、オープンソースのリーダーやアルファ・ギークらのここ数年の議論の1つでもある。

    GoogleのAjaxを中心としたオープンなサービスが、Web 2.0時代の新たなフレームワークとなるのか。また、PCのプラットフォームを越えて、Web上で新たな共通のフレームワークが構築されるのか。そしてそれを率いるのが、オープンソースとなるのか……。Web 2.0についての議論は、そのまま次世代プラットフォームの方向性を考えることでもある。

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