【レポート】

SIGGRAPH 2005 - 「EMERGING TECHNOLOGIES」展示セクションをレポート(1)

3 広告分野で高評価? 幻想的なディスプレイ装置「FOG SCREEN」

    西川善司  [2005/08/04]

    インタラクティブロボット「QUASI」

    EMERGING TECHNOLOGIES展示セクションで、笑い声が絶えなかったのが、インタラクティブロボット「QUASI」の展示を行っていたカーネギー・メロン大学エンターテインメントテクノロジーセンターのブースだ。

    大学院生の研究グループが構築したデジタル・パペットのシステムで、基本的な3Dデジタルコンテンツクリエイションの知識があれば、ロボット工学的な知識や経験がなくても自由度の高いロボット演技を行わせられるというのが特徴となっている。基本的な演技操作はタブレットPCでリアルタイムで行い、マイクに話した言葉も変調されてロボットからリアルタイムに発せられるという仕組み。自律型のロボットではないが、11人の学生チームが14週間でフルスクラッチビルドで完成させたという点が高く評価され、今回の展示に招かれたようだ。

    かなり複雑な動きをして多彩な表情を見せるQUASIくん。踊りも踊れる。踊りのアニメーションデータはMAYA上で作り込まれたもの

    演技操作用タブレットPC。感情表現を行うレーダーマップパネルのようなものが見える。左上の映像はQUASIに設置されたカメラの映像

    操作用タブレットPCとは別に、動き制御や様々な周辺機器制御にPC3台を使用。またリアルタイム音声加工は市販のデジタルサウンドエフェクタを複数器使用して行っている。QUASIは、表情、肢体の動きを自由に動かすことができ、そのアクションは3DソフトのMAYAで作り込んだアニメーションをエクスポートするだけで追加が可能だという。QUASIは完成以来引っ張りだこの人気だそうで、4月にはフロリダで行われた「World's Fair For Kids」という子供向けのショーで講演を行ったとのこと。

    その他の裏方達。隠れた場所でインカムマイクを付けてしゃべっているのは、実際にQUASIくんの絶妙なギャグトークを吹き替えている別の人。奥に見えるラックにあるのはQUASIくん制御用のPCやサウンドプロセッサ達

    水蒸気を使った半透明の映像投影システム?

    幻想的なディスプレイ装置として来場者の人気を呼んでいたのが、FOG SCREENが発表した「FOG SCREEN」だ。その仕組みは意外にも単純で、天吊り形式に接した大型のユニットから水蒸気を噴出させ、ここにプロジェクタからの映像を投射するというシステム。水蒸気にプロジェクタからの投射映像の光が当たるとちゃんとここに像を結ぶので映像として見えるのだ。

    出てくるガスは水蒸気なので害はなし。加湿器としても使えるか?

    暗くすると、あたかも空中に映像が現れたかのようなビジュアルになる。ただし、水蒸気の流れには微妙な凹凸があるので、投射映像にも若干のランダムな凸凹感を感じる

    プロジェクタからの映像は正面からだけでなく、裏面からも投射する仕組みになっている。裏から投影するのは、現在、表から投影しているオブジェクトの裏面の映像。そう、水蒸気の画面をくぐって裏に回れば、投射映像の「ほんとうの裏側」が見られるというわけだ。展示では、四基の赤外線カメラを用いたポジショントラッキングシステムが稼働しており、ユーザーが持った発光LEDステッキの方向を検出し、ユーザーがステッキを振り回すことで投射映像との相互作用を及ぼす仕組みを実現。中空に浮かぶ映像をあたかも棒でつついて操作している感覚が味わえるのだ。

    LED付きステッキを振り回せば投射映像にインタラクトできる

    FOG SCREENは、通り抜けられる半透明スクリーンとして広告業界などから注目を集めており、現在までに既に50ユニット近くを出荷したという。ちなみに価格は基本セットが1,000万円ほどとのこと。

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