【レポート】

ApacheCon Europe 2005 - オープンソースを世界的な動向にするためには?

"オープンソース界のディーバ"こと、Danese Cooper氏

Open Source Initiative(OSI)の幹事兼会計のDanese Cooper氏は7月21日、ドイツ・シュツットガルトで開催中の「ApacheCon Europe 2005」にて、「開発国におけるオープンソース」と題して基調講演を行った。オープンソース動向に関して世界各地で差が出てきており、Apacheのようなオープンソース団体は開発国のコミュニティ活動にもっと積極的に取り込むべきだという。

OSIは、オープンソースを定義し、さまざまなライセンスを承認してオープンソースを支援する非営利団体。「オープンソースは結局はコミュニティ」という持論を持つCooper氏は、オープンソースが占める役割が重要になっているいま、発展国は開発国の参加を促すような取り組みに乗り出すべきだと助言する。開発国にとって、コスト削減、地元経済の復興、地元の人たちの技術リテラシーの向上など、オープンソースのメリットは計り知れない。だが、オープンソースに対する姿勢は、もちろん異なる。

そもそものオープンソースの発祥や発展そのものが、一定の経済基盤があってこそだろう。オープンソースの祖といわれる人たちの多くが、趣味から入ったプログラミングの世界を追求することができゆえに、偉業を成し遂げることができた、とCooper氏。「Bill(Joy氏)、Linus(Torvalds氏)、Richard(Stallman氏)……、皆に共通していることは、技術が好きだったということ。そして若いときにスタートしている」。それに比べて、開発国のプログラマは、生活のための仕事で精一杯だ。「ギフトエコノミーは裕福だから成立しうるもの」(Cooper氏)。お金だけではない、時間的余裕も含まれる。

Cooper氏はオープンソースの勢力図を次のように示した。北米、西部・北部欧州がオープンソースリード地区とすれば、革新的な地区はブラジル、貢献が見られるのが南アフリカ、オーストラリア。東欧とアジア(日本も含まれる)はオープンソースを利用している国、と分類できるという。つまり、(日本は例外だが)オープンソースをリードしていない国は開発国ということになる。

プロプライエタリソフトを提供するベンダーは、開発国の可能性に着目し、教育センターを開設するなどの取り組みをはじめている。だが、オープンソースとなると、そのサクセスストーリーは、文書化されていないため、真のパワーは伝わっていない。ブラジルでは、政府の政策でもあることからオープンソースが盛んだが、一般的な開発国の人はオープンソースを「選ぶ」という段階ではなく、「プロプライエタリソフトベンダーとの価格交渉のツールとしての意味合いの方が大きい」、とDanese氏。オープンソースのOSを選択しても、違法コピーしたWindowsに戻るケースも多いという。

だれもがコードを所有したいと思っている。「所有とは参加のこと」(Danese氏)。オープンソースを開発国で根付かせるには、コミュニティの育成が必要ということになる。「そのためには、個人でも団体でも、われわれオープンソース側が現地に行くなどして、存在を示すことが有用だ」とDanese氏は続ける。自分たちの専門知識を見せ、新しい"メンター"を育成する。また、文化や言語の多様化を認める姿勢も大切だ。特定の人に向けた奨励プログラムを作る方法もある。オープンソース団体のDebianでは、"Debian Woman"として、女性プログラマの参加を歓迎する姿勢を示し、成功しているという。

Danese氏は「言語は大きな壁だ」とも言う。英語が話せない人は多い。翻訳チームを設けるなどの取り組みが必要だし、現地で生まれているコミュニティとの橋渡し役をすることも必要だろうという。また、コード貢献なしの参加を認めることも、窓口を大きくするだろうと述べた。

会場からは、「日本やロシアで自分たちのコードベースの拡張があることが分かったが、われわれにはそれを教えてくれなかった。どうすればよいか?」という質問もあった。これに対し、Danese氏は「電子メールを書いてみてはどうでしょう? Apacheコミュニティでロシアや日本に行く人をつかまえて、"大使"になってもらうのも案ですね」と回答した。

Danese氏は年に何度もインドなどの東南アジアに出向いているという。自らの体験を基に、どうやって開発国の人々とコミュニケーションをとるかについても伝授した。



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