【レポート】
西暦2050年までに、人間のサッカー世界チャンピオンチームに勝てるロボットチームを作る -- そんなテーマもすでにお馴染みとなったロボカップ。その世界大会が、今年は7月13日から19日まで(一般公開は17日まで)、大阪で開催された。世界大会の日本開催は3年振りとなるが、今回は31の国・地域から約330チーム・2,000人が参加。アジア・欧州・中東(特にイラン)からの参加者が多く、世界大会ならではの賑やかな雰囲気となった。
今年の見所は、コチラの記事でもお伝えしたように、ついにヒューマノイドロボットリーグで2対2のチームプレイが見られることだ。まだボールを蹴ることも難しい自律型2足歩行ロボットで、「ちゃんとした試合になるのか?」との見方もあったが、決勝戦に関しては、意外にも(?)見応えのある試合となった。ただ試合中にチームや審判がルールを確認しあう場面も見られ、まだまだ試行錯誤の段階、といったところのようだ。
ロボカップの競技には、「ロボカップサッカー」のほか、災害救助をテーマにした「ロボカップレスキュー」や子供向けの「ロボカップジュニア」がある。本来ならばすべて紹介できればいいのだが、それぞれが並行して進められるため、時間の都合上、筆者はロボカップサッカーのヒューマノイドと中型の両リーグを中心に取材した。
ヒューマノイドリーグは、PK、テクニカルチャレンジ(不整地の歩行など)、2on2といった3種目で争われる。近年、ロボット技術は目覚ましい進展を見せており、今や2足歩行自体は珍しくもなくなってしまったが、ロボカップの難しい点は、全て「自律型」のロボットであるということだ(これは小型・中型のリーグでも同じ)。外部から操縦することはもちろん、何らかの戦術的な指令を送ることもできないので、ロボットはカメラなどのセンサーからの情報をもとに自分で判断、行動しなければならない。自律型かそうでないかでは、必要とされる技術範囲はかなり異なるのだ。
同リーグでは、ロボットの大きさによって、60cm以上の「Medium Size」、それ以下の「Kid Size」のサブリーグに分かれていた。ここでは、注目の2on2の結果を中心に見てみたい(2on2は、Kid Sizeのみで行われている)。
今年のヒューマノイドリーグで、優勝候補筆頭と見られていたのは、昨年度優勝の「Team Osaka」だ。今年は、昨年のロボットを大幅に強化した「VisiON NEXTA」で参戦。頭部に全方位カメラを搭載し、キーパーは横っ飛びで相手のシュートを止めることも可能など、万全の構え。
初日はPK、2日目はテクニカルチャレンジの予選が行われ、2on2は3日目に登場。これには12チームが参加しており、A~Dの4つのリーグに分かれて予選が行われた。各リーグの1位が決勝トーナメントに進めるが、AリーグはTeam Osaka、ROBO-ONEでもお馴染みの「Hajime」、大阪大学の「Senchans」と、見事に大阪勢がつぶし合う状況になってしまった。
記念すべき最初の2on2のゲームは、このTeam Osaka対Hajimeというカードになった。HAJIME ROBOTは動きの速さが特徴で、本大会のバージョン「HAJIME ROBOT 15」では、444mm/secで走ることも可能。ただカメラは搭載していないそうで、PK戦なら対応できるが、2on2は少し厳しかったようだ。試合は、2-0でTeam Osakaが完勝。
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大会直前、Team Osakaの大和信夫監督は「完成度には自信がある」と2連覇に前向きなコメントをしつつも、外国チームはAIのレベルが高く、「結果は始めてみないと分からない」と、初めての競技に対し不安も述べていた。ただ、予選の結果を見ると、同チーム以外はほとんど点を入れることもできず、ロボットの完成度は事実1ランク上。ちなみにTeam OsakaはHAJIME戦で2点、Senchans戦で3点を決めているが、パスよりもとにかくシュート、という戦略になっているそうだ。
決勝戦の相手は、予選でTeam Osaka以外に唯一得点を決めているドイツの「NimbRo」(Freiburg大学)。このチームは身長60cmとかなり大きなロボットで出場しており、ユラユラした感じの歩き方が特徴。Team Osakaはキーパーとフィールドプレイヤーの役割が明確に分かれていたが、NimbRoの2体は序盤こそそうなっていたものの、中盤以降は2体とも攻撃に参加。1対2の数的有利な状況を作り出し、Team Osakaに苦戦を強いた。
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試合は2-1で、Team Osakaが勝利。前半こそTeam Osakaの有利で進んでいたものの、後半はNimbRoに押され気味で、今大会初失点も。だが、決定的なチャンスは与えずに、なんとか逃げ切った。
2on2は今年から始まった競技ということもあり、まだチーム毎にレベルの差が大きく、予選から準決勝まで、見ていた範囲では試合らしい試合はなかったのだが、決勝戦についてはなかなか白熱した展開を見ることができた。来年以降は、全体的なレベルアップも期待されてくるので、面白い試合がもっと多く見られるようになるのではないだろうか。
ちなみにTeam Osakaは、Kid SizeのPK・テクニカルチャレンジも制する完全優勝。ベストヒューマノイド賞を獲得した。
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