【レポート】

韓国のテレビ番組配信サービス - その仕組みと実情をさぐる

1 テレビ番組のVOD、90年代後半から開始した韓国の現状

佐々木朋美  [2005/07/28]
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フジテレビは13日、テレビ番組の有料オンデマンド配信サービス「フジテレビ On Demand」を7月下旬から開始すると発表した。当初はスポーツやコンサート、CS放送のオリジナルコンテンツを中心に配信していく予定で、視聴料は番組ごとに異なり、210円から525円となっている。また日本テレビも、今秋から「第2日本テレビ(仮称)」として番組のオンデマンド配信を開始することを明らかにしており、バラエティやドラマ、ニュースなどのコンテンツを提供する予定だ。ただし現在のところ、具体的な料金、配信方法については発表されておらず、最終決定には至っていないとしている。

フジテレビ、日本テレビによるテレビ番組の有料オンデマンド放送開始のニュースは、これまで著作権を始めとする様々な問題が障壁となっていたオンデマンド放送に、新たな動きが加わったことを示唆している。ユーザーの反応次第では、大手2局が牽引役となり、有料オンデマンド放送が一気に普及する可能性がある。

このように、日本ではまだスタートを切る直前のオンデマンド放送だが、韓国ではすでに、90年代後半から同様のサービスを開始している。現在、韓国の地上波放送局は国営のKBSと、民営のMBC、SBSの3局で、すべての局がWebサイト上でオンデマンド放送を行っている。いずれも自社で放送した番組の大部分を、有料もしくは無料で配信しており、各社Webサイトの訪問者数を左右するほどの花形コンテンツとなっている。

番組の大部分を無料提供する、国営放送のKBS

3社の中で、56Kbpsと300Kbpsのオンデマンド放送を無料で行っているのが国営のKBSだ。高画質の700Kbpsは700ウォン(約70円)/1番組。いずれも国内・国外ユーザにかかわらず、会員登録さえすれば番組を視聴することが可能だ。同局によれば、2005年6月時点での会員数は1,180万人(うち国外会員数は11万8,000人)、同月のユニークユーザ数は914万1,292人で3放送局の間ではトップ。コンテンツが無料であるのがその理由のひとつと考えられるが、ではなぜ無料で提供できるのだろうか。

「それはKBSが受信料によって運営されている公共放送だからです。KBSの受信料は月に2,500ウォン(約250円)。これは25年間ずっと変わっていません。有料化しないと苦しい部分があるのは事実ですが、現在のところ、高画質以外は有料化に踏み切っていない状態です」と述べたのは、KBSグローバル戦略チームのKim Jeongsik氏。

テレビで放送された番組は、700Kbpsの高画質配信の場合で30~40分後、それ以外の画質では少なくとも12時間以内にインターネット上で見られるようになっている。早くインターネットで配信をしないと、VOD(ビデオ・オン・デマンド)に慣れている視聴者から催促が来る時もあるという。人気コンテンツは老若男女問わず韓国の人たちが大好きなドラマで、テレビ放送を見逃した分を見る人もいれば、仕事の合間に見ている人もいるとのことだ。

「VODを利用しているのは、パソコンの扱いに慣れている10~20代が多数。たとえば自宅で親と見たい番組がくいちがった時などは、子どもは部屋のパソコンでVODを利用し、好きな番組を見ている。とくに若者はテレビよりもインターネットで番組を見る傾向が強い」(Kim Jeongsik氏)というのは、いかにもブロードバンド普及率の高い韓国らしい話である。また、単にVODを利用するだけでなく、番組に関連した掲示板に意見を書き込みつつコンテンツを楽しむというのが大部分のユーザの傾向で、そうした楽しみも若者をひきつけている理由といえるだろう。

ただし、こうして便利に番組を視聴できるVODが、かえってテレビの視聴率を下げることにつながってはいないだろうか。

「若い層にある程度の影響があるのは確かだと思います。ただ今のところ、それが統計的に証明されているわけではないので、今後は調査が必要でしょう」と同氏。VODが活性化するほど、それに伴って考えるべき課題も生まれているようだ。

さらにKBSの場合は有料化の問題も抱えている。サーバの維持費や人件費などを考慮すると、無料提供し続けるのにも限界があるからだ。Kim Jeongsik氏も「いつかは有料になるかもしれない」とし、さらに「KBSは公共放送だから無料で提供し続けるのが良いという声も多いが、『サイバー受信料』などの形で一定額を徴収するといった方法も現在検討中です」という。「無料」を守り続けてきたKBSだが、将来、何らかの形で有料化する日が訪れる可能性もある。

質の高い映像を有料提供する民営のMBC

一方、有料で番組のオンデマンド放送を行っているのが、民放のMBCだ。料金は300Kbps配信が500ウォン(約50円)/1番組、1Mbps配信が1,000ウォン(約100円)/1番組。また定額料金も設定されており、1日見放題で4,000ウォン(約400円)、1カ月見放題で15,000ウォン(約1,500円)となっている。ただし、ニュースなどの公共性のある番組に関しては無料で提供している。

MBCでは、1997年に無料でVODサービスを開始した後、2003年4月から有料化を実施している。それまでは広告収入が主だったものの、高画質の番組を滞りなく見られるようネットワークを増強し、その維持費や人件費のため有料に転換したのだという。

人気プログラムはやはりドラマ。そのほかエンタテインメント系の番組が人気を得ている。多くのユーザが番組を見ているのは、1日が終わって就寝前に一息つける23時30分~2時頃という深夜帯だ。ちなみにMBCの昨年1年間のページビュー(以下、PV)は35億9,067万3,340PV、対して2005年6月のPVは5億5,939万3,283PV。今年の6月のみで昨年1年の約7分の1にのぼるPVを記録しているのは、視聴率40%以上をほこる人気ドラマをVODで見ようとアクセスが集中しているためのようだ。

ただし「テレビでは視聴率がいまひとつでも、インターネットで人気を得るドラマもあります」と、MBCの子会社でインターネットコンテンツ関連の業務を担当しているiMBC経営企画チーム課長代理のSeo Jungmin氏。「インターネットをよく利用する若い層が好きなテーマだったり、固定ファンがつくほどマニア性の高いドラマだったりすると、そうなる傾向が強い。インターネットで人気を得たおかげで、大きく名が売れた俳優もいるほど」(Seo Jungmin氏)ということからも、韓国ネティズンの影響力の大きさが感じられる。

また、KBS同様、オンデマンド放送がテレビの視聴率を下げることにつながってはいないかという懸念に関して、同氏は「視聴者は、テレビで見逃した分や、再度見たい分を補填するものとしてVODを利用しており、テレビと対立するものではない」との、KBSとは異なる見解を示した。本格的な調査が行われない限り、VODがテレビの視聴率に与える影響は未知数と言えそうだ。

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インデックス

目次
(1) テレビ番組のVOD、90年代後半から開始した韓国の現状
(2) オンデマンド放送のこれから


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