【レポート】

WIRELESS JAPAN 2005 - ドコモのSuper3GとKDDIのウルトラ3G、両者の違いが鮮明に

    佐藤晃洋  [2005/07/20]

    「WIRELESS JAPAN 2005」3日目となった15日は、いわゆる第4世代携帯電話(4G)に向けた動きや、多種多様化する有線/無線LANの間をシームレスにローミングする技術などに関するテクニカルセッションが開かれ、中でもNTTドコモ・KDDIの両社が5~10年先を見据えた技術開発の動向について語った。

    Super3Gは3GPPでの検討フェーズに入る~ドコモ・尾上氏

    まずご紹介するのは、NTTドコモのIP無線ネットワーク開発部長を務める尾上誠蔵氏の講演。同氏は「4Gへの発展シナリオ~3G長期エボリューション: Super3G~」と題し、ドコモが近年推し進めている「Super3G」構想の現状、そしてその先にある4Gに向けた技術開発の方向性について語った。

    尾上誠蔵氏

    Super3Gについては、既に昨年5月の「Beyond 3Gに関する国際会議」の席上や昨年のWIRELESS JAPANなど、尾上氏の口から何度となくその概要が語られている。ただ昨年のそれらの会議の時点ではまだドコモ1社の構想に過ぎなかったが、尾上氏によれば昨年11月にカナダ・トロントで開かれた「3GPP TSG RAN Future Evolution Workshop」の席上においてSuper3Gが大きな議題の一つとして取り上げられ、参加した通信事業者やベンダの多くが3G規格を進化させるというSuper3Gの方向性に賛同、本格的な検討に入ることになったという。

    昨年12月にアテネで行われたミーティングにおいては、ドコモをはじめ国内外の通信事業者・メーカーなど26社の共同提案として「Evolved UTRA and UTRAN」をStudy Itemとして追加することが提案され了承されたそうで、2007年の中頃を目処に最終的なスペックを決定すべく今後具体的な作業を進める予定であると尾上氏は語った。また実際のネットワークへの導入時期についても、事業者によって多少前後はあるものの、遅くとも2010年ごろには導入したいとの意見が大勢を占めているとのこと。

    ドコモの考える「Super 3G」と「4G」の比較

    Super 3Gの規格策定完了と実際の製品展開について各社が希望する時期

    ちなみに3GPPの現段階における検討内容は「下り100Mbps、上り50Mbps」という速度面だけでなく、網内での遅延(3Gでは10ms程度)を5ms以下に抑えること、ユーザのスループットをHSDPAとの比較でセルの中心で2~3倍、セル全体での平均値で3~4倍にすること(尾上氏は「この点が最もチャレンジングな部分だ」と語った)などが挙げられているという。また伝送方式としては下りはOFDMを支持する意見が多数を占めるものの、上りについては「OFDMは端末の設計が難しくなるし、省電力化を考えるとシングルキャリアの方式の方が良い」という意見も根強いとのことで、まだ流動的な部分が多いようだ。

    Super 3Gの目標とする仕様

    一方4Gについては、現在横須賀の同社研究所において基礎的な開発が進められている最中だが、昨年のWIRELESS JAPANからのアップデートとして尾上氏は、Mobilityの少ない場合にMIMO技術を利用して1Gbpsを超える通信を行えるようにした点を挙げた。今年の5月28日に小泉首相ら一行がドコモを見学に訪れた際には、この4Gの実験システムを使ってハイビジョン映像(28Mbps)を32チャンネル同時に伝送するデモを行ったとのことで、まだ基礎研究段階という状況自体は昨年と変わらないものの、開発は着実に進んでいることをアピールした。

    1Gbpsを実現する実験局の写真

    小泉首相が4Gの実験システムを見学された際の模様

    4Gではなく、有線・無線を統合した「ウルトラ3G」へ~KDDI・要海氏

    このように3Gをベースとした「Super3G」構想の一方で、全く新しいシステムとしての4Gの開発に取り組むドコモに対し、「次世代のシステムは3Gを包含する形で発展するものであり、2G→3Gの時のように全く別のシステムが登場して古いシステムを巻き取るような形にはならない」と訴えるのが、次に登場したKDDI・au技術本部ワイヤレスブロードバンド開発部の要海敏和氏だ。

    要海敏和氏。「3Gの拡張技術とB3Gに向けたKDDIの戦略」と題した講演を行った

    要海氏はまず冒頭で「『4G』とはあくまで日本のマスコミが作った造語であり、ITU-Tでの呼称である『Systems beyond IMT-2000』とは現在の3Gをも包含した統合発展型のネットワークを意味する」と述べ、2Gから3Gの移行のときとは異なり、今後の携帯電話の発展は3Gと互換性を持ちながらそれを拡張する形で行われる可能性が高いとの見解を主張。その上でKDDIの今後の開発コンセプトとして「ウルトラ3G」という言葉を持ち出した。

    KDDIの考える「ウルトラ3G」の概念図

    これはKDDIの有線系のネットワークとauブランドで展開する無線サービスのネットワークを全てIPv6ベースのパケット網に統合し、末端のインタフェースこそADSLや光ファイバ、Wi-Fi、携帯電話など多様なものが使われるものの、最終的にはどこにいても同じ内容のサービスを利用することができるようになるというコンセプト。要海氏は「これからのサービスに求められるのは、時速100km程度の速度で移動していても通信が可能であり、IPレイヤでの移動透過性を確保し常時接続が可能な『ポータビリティ』を持っていること」と語り、現在2007年度末を目標に進められている固定電話網の全IP化もそのための作業の一環だとする。

    「ウルトラ3G」関連の今後の技術展開

    KDDIにおける「ポータビリティ」の定義

    その上で要海氏は現在の携帯電話について、短期的にはcdma2000 1x EV-DO Rev.aの導入により下りを最高3.1Mbps、上りを最高1.8Mbpsに増速するほか、中期的には今年末に3GPP2での標準化が完了する、複数チャネルを統合しバルク化した伝送を可能にする「Nx EV-DO」技術(具体的には3/5/7チャネルの統合が可能だという)の導入、長期的にはこれから標準化作業を開始する次世代のcdma2000技術の利用などで高速化を行う方針を示した。またこれ以外にモバイルWiMAX(IEEE802.16e)や無線LANも導入し、それら複数の無線システムを状況に応じてシームレスに切り替えるような環境の構築を目指す方針を明らかにした。

    cdma2000 1x EV-DO Rev.Aのスペック

    Nx EV-DOの概念図

    さらに電話サービスについては、コアネットワークのフルIPv6化に伴い呼制御を全面的にSIPを導入し、移動端末についても具体的な時期こそ示さなかったものの、将来的には全てSIPフォン化する方針を示した。

    将来的な電話サービスのイメージ図。携帯端末はSIPクライアントになることが明記されている

    関連記事

    関連サイト

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

      イチオシ記事

      新着記事

      特別企画

      マイナビニュースマガジン