【レポート】

WIRELESS JAPAN 2005 - 歩み寄るWWiSEとTGnSync、統合へ向けて動き出す4G携帯と無線LAN

1 11nを巡る二つの規格「WWiSE」と「TGnSync」の統合が間近に

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IEEE802ワイヤレスフォーラム

東京ビッグサイトで開催中の「Wireless Japan 2005」では、多くの技術カンファレンスが開かれている。初日の13日には「IEEE802ワイヤレスフォーラム」と題し、注目のIEEE802.11nの最新動向の解説や、QoS機能に関する規格であるIEEE802.11eを使ったワイヤレスVoIPシステムに関する講演、また無線LANと第4世代携帯電話との統合に関する講演など、多くの講演が行われた。

802.11nは「TGnSync」と「WWiSE」の統合間近、MIMOのメリット大

まずご紹介するのは、Airgo Networksの高木映児氏の講演「次世代高速化無線LANの技術動向 ~IEEE802.11nとMIMO~」。当初高木氏の講演は、IEEE802.11nの有力提案の一つである「WWiSE」に関するものになる予定だったが、直前に内容が変更になった。

高木映児氏

というのも、IEEE802.11nについては、同規格の有力な提案としてこれまで「WWiSE」と「TGnSync」の2提案が激しいつばぜり合いを演じてきたが、先月のInterop TokyoにおいてNTTの井上保彦氏からも解説があったように、現在この2つの提案は統合される方向で調整が進められており、来週サンフランシスコで行われる予定のIEEE802.11 Task Group nの会合において統合案の提案がなされると見られているからだ。

このため講演プログラムが作られた当時と状況が大きく変化し、2つの提案をそれぞれ解説する必要がなくなってしまっただけでなく、提案内容も大きく変化している最中であり細かい解説ができない(解説を行ったとしても元の提案自体が変更になってしまっては意味がない)という状況から、高木氏の講演はMIMOのこれまでの歴史、そして802.11nと日本国内での現行の規制との関係といった話が中心になった。

まず高木氏は、IEEE802.11nでの採用が確実になっている「MIMO-OFDM」について、他のスループットを向上させるための提案と比べて「チャネルボンディング方式では周波数の利用効率が向上している訳ではなく、またARIB(電波産業会)での規格では信号の最低伝送速度が規定されていて無駄な周波数利用を禁止していることにも逆行する」「変調方式を64QAMから256QAMや1024QAMに変更したとしても、例えばIEEE802.11a(最高54Mbps)をベースに速度を108Mbpsに上げたとすると符号化率9/10で1024QAMの変調を行う必要があるが、これはRF信号に換算すると12dB劣化することとなり、とても一般コンシューマレベルの製品では扱いきれない」などと述べ、現実的に速度を向上させるにはMIMO-OFDMが最も確実な選択肢であることを強調した。

またMIMOでは、従来のSISO(Single-Input Single-Output、アンテナ数1本による通信のこと)に比べ同じ速度でも大きく受信感度を改善できるほか、ダイバーシティ合成等によって得られる効果も加えると、単純に速度が上がるだけではなく伝送可能距離も最大で3倍ぐらい伸びること、さらに既存のIEEE802.11a/b/gの機器と同じ周波数を同時に利用しながら共存することが可能であることなど、非常にメリットが大きいと高木氏は語った。

MIMOとSISOのスループットの比較。速度が上がっているだけでなく伝送距離も伸びていることが分かる

その上で高木氏は、現在のIEEE802.11nにおける提案の内容について簡単に説明を行った。その中で注目なのは、省電力化のための提案の一つとして最近出されたばかりの「PSAD」という提案。これは複数の無線LAN対応デバイスが共存する環境において、従来は常にデバイス側は電波を傍受して自分宛のパケットが届いていないかをチェックしなければならなかったため電力の消費が大きかったのに対し、最初に「どのデバイスに対し何番目にパケットを送るか」という順番の情報をアクセスポイントから各デバイスに送るというもの。これにより、順番情報を受け取ったデバイスは自分の番が来るまではスリープに入ることができるため、待機中の消費電力を大きく減らすことができるという。高木氏は「最近出されたばかりの提案なのでまだブラッシュアップが必要」と述べつつも、この提案に期待している様子を示した。

最後に高木氏はIEEE802.11nの提案と現行の5GHz帯に関する規制との関係について触れ、日本では現時点で1チャネル当たり20MHz幅までしか許可されていないことや、5GHz帯ではビームフォーミング等の技術によりアンテナ利得を上げるとその分送信出力を下げないといけない(2.4GHz帯では基本的にその必要がない)点に注意が必要である、と解説を行い、参加者に注意を呼びかけた。

IEEE802.11nと電波法との関係

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インデックス

目次
(1) 11nを巡る二つの規格「WWiSE」と「TGnSync」の統合が間近に
(2) 携帯電話と無線LANの統合環境を目指す試み

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