【レポート】
米Motorolaは6月29日、英国の携帯電話メーカー、Sendoの資産を買収することを発表した。金額などの条件は明らかにしていない。Motorolaはこの取引でSendoの知的所有権(IP)と研究開発チームなどを獲得、英国唯一の携帯電話メーカーは事実上終わりを迎えることになる。6月はじめには、4番手の独Siemensが携帯電話事業を台湾BenQに売却し、撤退表明したばかりだ。世界の携帯電話市場にいま何がおきているのだろうか?
Motorolaが獲得するのは、Sendoの50件の特許、40件の出願中特許などのIPのほか、英国とシンガポールにある約200人の研究開発チーム、および同施設で利用されている設計などの装置。経営難に陥っていたSendoは同日、政府の指示を受けて行政管理下に置かれたが、Motorolaは財務面の責任は引き受けないという好条件での取引となった。Sendoは昨年、約500万台の携帯電話を販売し、売上高は4億2000万ドルを上回る程度だった。
|
|
|
今年2月の仏カンヌで開催された「3GSM World Congress 2005」でSendoが展示していた端末。右は英Vodafone向けにカスタマイズした端末「SV663」、右から2番目がSymbian OSベースのスマートフォン「Sendo X」 |
北米で大ヒットしたMotorolaの超薄型端末「RAZR」 |
Sendoは1999年創業のベンチャー企業。いまでこそ状況は変わりつつあるが、日本と違って通信事業者によるカスタマイズ端末が一般的ではなかった当初から、多機能かつ低価格なカスタマイズ端末を迅速に提供する携帯電話メーカーとして知られており、本拠地の英国を初めとした欧州・アフリカ諸国、一部アジア地区、米国などで展開していた。
よくも悪くも、同社の運命を変えたのはMicrosoftとの一件だろう。
携帯電話市場に狙いをつけたMicrosoftは1999年、創業間もないSendoと提携する。Windows CE 3.0ベースの携帯端末向けOS「Windows Powered Smartphone 2002」を搭載した初のスマートフォンを共同開発するためだ。2001年にはSendoは、同OSを搭載した「Z100」のプロトタイプ端末を作成、いよいよリリースという段階まで進んだ。
ところが2002年10月末、香港のHTCが欧州通信事業者Orange向けに作成した同OS搭載機「Orange SPV」が(Sendoにとっては突然)登場、Sendoは急遽11月に「Z100」の開発を中止する。その後Sendoは、Microsoftのライバルである英SymbianのOS採用に路線変更する。初の同社製Symbian搭載スマートフォン「Sendo X」が登場したのは2003年10月のこと。Sendoにとっては当初の予定より1年遅れでのスマートフォン市場参入となった。
Sendoは同時に、この件に関してMicrosoftを相手どり、企業秘密の不正利用などを理由に訴訟を起こしてもいる。2社は2004年秋に和解したが、財務面ではもちろんのこと、Sendoブランドにとっても大きなダメージとなった。
では、MotorolaがSendoとの取引で狙うものはなにか? その前に市場のトレンドとMotorolaの戦略を見てみよう。
世界の携帯電話メーカーのシェアは、フィンランドのNokiaが1位、Motorolaが2位となっている(2005年第1四半期のシェアはそれぞれ30.9%、16.5%。米IDC調べ)。だが成長市場で技術進化も速いこの市場は、いつ何がおきてもおかしくないダイナミックな市場だ。PCと違って安価、固定電話と違って手軽、という携帯電話の特性もそれを助長している。通信技術を除く現在の市場要因は、途上国市場における低価格端末の量産、開発国市場における高機能端末の2つに集約できる。
途上国における需要は安定して伸びており、中国やインドなどのアジア、アフリカ、南アメリカ、東欧などの市場で拡大を続けている。NokiaもMotorolaもこの市場に強くフォーカスしており、Motorolaは2月、途上国向けの大量生産・安価モデルを発表、Nokiaも6月初めに、同じようなラインを発表している(価格は、Motorolaの端末が40ドル以下、Nokiaは65ユーロ(約78ドル)程度)。
2つ目の開発国市場における高機能というトレンドは、通信事業者各社の3Gサービス本格化の波に乗るために、いかに魅力的な端末を打ち出し、買換え需要を喚起するか、と言い換えることができる。キーワードは、ブランドの確立とスマートフォンだ。中でもスマートフォンでは、Symbian採用機とWindows採用機に分かれるが、Symbianに出資しているNokiaはSymibianと自社のUIとの組み合わせという戦略をとる(5月末以降、オープンソースに関連した発表が相次いでいることも触れておきたい)。MotorolaはSymbianへの出資から手を引き、いまではSymbianの他にWindows端末、Linux端末も持つ。2月に仏カンヌで記者会見を行った同社幹部は「スマートフォンではLinuxとJava」と明言している。
このように、各社は共通して、途上国では大量生産・販売で台数をさばき、開発国では収益性の高い高機能端末という戦略が土台にある。技術力とブランド力を備えながらも、BenQに携帯事業部を売却するSiemens(BenQはSiemensブランドを残すとしている)は、このどちらにおいても明確な戦略を打ち出せなかったこと、自社端末の位置づけが市場に分かりにくかったことなどからシェア低迷につながったといえそうだ。
MotorolaのSendo獲得は、Siemens撤退のいまこそ、韓国Samsungとの差を開き、王者Nokiaに挑む、という同社の決意の表れといえそうだ。舞台の中心は、今年に入り3Gサービスが本格化した欧州市場となる。
Motorolaは、1~2年前こそSamsungに追い上げられて2位の座を渡しかけたものの、ここ1年奮闘が目覚しい。特に、米Sun Microsystems出身のEd Sander氏がCEOに就任して以来、超薄型の「RAZR」をはじめとしたデザイン端末を出し、まだ成果は見えていないものの米Apple Computerと提携し音楽携帯ブームを先取りした先見性も評価できるだろう。VoIPでも、主要メーカーに先駆けてSkype搭載計画を発表している。
MotorolaにとってのSendoの魅力はスマートフォン技術ではなく、安価かつ迅速にカスタマイズ可能な端末を作成できる同社のノウハウや技術力、そして欧州での拠点といえる。携帯電話市場はダイナミックに動いている。Motorolaの今回の賭けが吉と出るかどうか、その結果はそう遠くないうちに分かるだろう。
| 千葉工大 東京スカイツリータウンキャンパスがオープン! - 新型ロボも登場 [19:00 5/23] |
| 産総研、変性タンパク質の活性を回復させる有機ナノチューブゲルを開発 [18:30 5/23] |
| NIMS、空気中の物質を感知して発光するフィルムを開発 [18:29 5/23] |
| 日本NI、最大6.6GHzでRF信号ルーティングが可能なスイッチモジュールを発表 [18:26 5/23] |
| TI、SPICEモデル付きのSAR ADCを発表 [18:24 5/23] |
|
白か黒か? 『劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ』、7月12日放送 [00:47 5/24] ホビー |
|
TVアニメ『Fate/Zero』、第21話「双輪の騎士」の先行場面カットを紹介 [00:16 5/24] ホビー |
|
アニメ「夏目友人帳」展覧会の開催決定、主題歌集発売で [00:00 5/24] ホビー |
|
[ポケットモンスター]人気投票で放送作品を決定 異例の試み [00:00 5/24] ホビー |
|
【コラム】Windowsスマートチューニング 第188回 Vista/7編: タスクスケジューラでリマインダー通知を行う [23:07 5/23] パソコン |
4つの診断で、自分の適性を見つめなおそう!
働くこと・挑戦し続けることへの思いを綴ったインタビュー
あなたにピッタリのアドバイスを読むことができます。
転職に必要な情報が収集できます
企業からアプローチのメッセージが届きます。