【インタビュー】

逆境を笑い飛ばす! 映画「逆境ナイン」公開 - 奇想天外映像の作り方!

2 映画のバカバカしさ、ノリ、勢いを担う! VFX制作者に聞く

    和泉真葵  [2005/07/06]

    ディテールの作りこみと役者の演技が、違和感をなくすカギ!

    ---「逆境ナイン」公開を迎えられていかがですか?

    迫田・古賀 「限られた時間の中で楽しく"全力投球"できました。視聴者の反応が気になるところですが、"全力投球"したノリが映像にも表れていると思うので、ぜひみなさんにも情熱を感じてほしいですね!」

    ---それにしても、実写では不可能な映像の連続でしたが、おふたりが担当されたのはどのあたりですか?

    迫田「僕は"男球"(おとこだま※1)と、その他の野球ボール、タイトル、野球部監督・榊原剛登場シーン一連(校庭で女子高生が飛んでいるカット)などです」
    古賀「ボクは部室爆破、ピッチングマシーン爆破……」
    小島「爆破ばっかり(笑)」
    古賀「そうですね(笑)。あとは、"それ、これ"登場カットです」

    ---榊原の名言"それはそれ! これはこれ!!"(※2) が飛び出すシーンですね! 巨大な文字が球場に現れるという。あれは強烈でした。

    古賀「原作でも、とても印象的で重要な言葉なんです。原作には熱狂的なファンもいらっしゃるので、この言葉は大事に再現しないといけないな、と思っていました。原作を読むのはもちろん、巨大なCGがでてくるハリウッド大作を見て、研究していましたよ」
    堀内「巨大に見せるのって実は難しいんですよ! ディテールを作りこまないと、巨大感がでないんです」
    迫田「しかも、"それはそれ これはこれ"なんて文字が刻み込まれた岩が出てくる、なんて、普通ではありえないことですからね。そういうありえないシーンがたくさんでてくるので、違和感をなくすのが大変です」

    小島「"それ、これ"は何万年も地中に埋まっていたモノ、という設定で監督と発注しました。実写に合成するので決してアニメーションチックであってはならないし、見た目がいかにもウソっぽいと観客はしらけてしまいますよね。そのへんのバランス感覚が重要なんですが、その点、古賀さんのセンスと技術はスゴかった。迫田さんが作った雨の中の不屈が投げるボールなんかも、羽住監督(※3)大絶賛で見るたびに、『これ絶対、玉山(※4)が投げてるようにしか見えないよ!』と言うんです」

    ※1 男球……不屈が投げる、男の魂あふれる魔球
    ※2 それはそれ! これはこれ! !……野球をやったことがない野球部監督・榊原が、ある後ろめたい事情により、続投を躊躇する不屈に叫ぶ名言
    ※3 羽住監督……「逆境ナイン」の羽住英一郎監督。映画「海猿」の監督も務めた
    ※4 玉山……主人公・不屈闘志役の玉山鉄二さん。P&G「ボールド」のCMの彼、といえばわかる人も多いはず

    ウワサの"それ、これ"岩登場シーン。拡大してみると断面の凸凹や陰影を細部の細部までこだわって作っているのがわかる。計算しつくされた仕上がりに声をあげたくなるほど

    逆境シーンをVFXでカバーする

    雨にも負けない全力学園野球部ナイン。そのシーンを支えるのは……

    ---その、監督が気に入ってらっしゃるシーンというのは?

    迫田「不屈たちが、雨という逆境の中で練習をするシーンがあるんですよ。その時の野球ボールをCGで作ったんです。雨の中、というシーンでは、カメラとボールの間に雨素材が入ってくるので、CGがなかなか背景になじまない。ボールの手前に雨が降っている絵を足さないと、いかにも合成という感じになってしまうんです」

    ---そういった、一見CGとわからない絵が意外にたくさんあるものなのでしょうか?

    迫田「そうです。野球のシーンなんか、撮影現場の物理的条件で実際に投げたり打ったり出来ないカットが多く、ボールはほとんどCGですよ」

    ---なるほど。ということは、役者さんはボールなしで野球の演技をしている?

    迫田「そう、だから役者さんのリアクションがものすごく重要です! バッターがボールの勢いに抵抗してふんばっているシーンがありましたが、力強さを出しているのはCGではなく、役者さんの演技のほうなんです」
    古賀「"それ、これ"シーンもそうですね。出演者のみなさんは、なにもない青空を見て、"それ、これ"の岩が出てきたことに驚いているわけですから(笑)」
    迫田「ボールが顔に当たる演技、殴られて飛んでいく演技。演技がしっかりしていれば、画面上でもなじんで見えます」

    不屈の頬にボールが食い込むシーン。ボールのくいこみや影を自然に作るため、役者の顔を再現し、立体の影やゆがみを計算

    えっ、空気椅子!? ……不屈が立ち上がったために、椅子がカメラに向かって飛んでくるシーン。本物を使うと椅子がカメラを直撃してしまうので、CGで作ったのだそう。ここもCGだったのだ! しかしそのために空気椅子をし続ける玉山鉄二さん、大変そうだ

    横にあるHDDの容量は250GB、CPUはXeonをDualで搭載。「逆境ナイン」作業中はメインのコンピューター以外に、計算用のPCが十数台稼動していたという。画面は古賀氏が制作した"それ、これ"

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン