【レポート】

人類未到の地球深部へ - マントルまで掘れる最新鋭探査船「ちきゅう」とは?

1 海洋調査船「かいよう」に乗ってみた

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今年5月海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、神奈川県・横須賀市にある同機構・横須賀本部にて、施設の一般公開イベントを開催した。4月には横浜研究所でも一般公開が行われたばかりだが、今回は実際に海に面した横須賀本部。セミナーや施設公開のほか、海洋調査船「かいよう」の体験乗船もあり、多くの家族連れで賑わっていた。

海洋研究開発機構・横須賀本部。最寄り駅(京浜急行・追浜駅)からは少し遠いが、当日は無料の送迎バスが運行されていた

構内の岸壁には海洋調査船「かいよう」が接岸。1年のうち300日程度は調査航海に出ており、帰港している期間は短いそうだ

調査船で1時間の体験クルーズ

横須賀本部には、構内に整備場や研究棟など多くの建物があるが、そのほとんどで説明員をたて、展示やデモを実施。順路が設定されており、1から10まで辿れば一通り見ることができるようになっていた。

内容はかなり盛りだくさん。一通りまわるだけでも一日がかり

岸壁では、小型水中ロボットの操縦体験ができた

海の男の基本、ロープワーク講習。船員さんが丁寧に教えていた

八景島シーパラダイスの協力により、海の生き物に触れるコーナーも

その目玉の1つは、海洋調査船「かいよう」の体験乗船だ。かいようは国内に2隻しかないという珍しい双胴型の船で、大きさは長さ61.6m、幅28.0m。午前・午後にそれぞれ1回ずつ体験乗船が行われ、事前の応募の中から当選した190名ほどが参加、約1時間の体験クルーズを楽しんだ。

海洋調査船「かいよう」。双胴船のため、横幅が広い船になっている

甲板には、クレーンやエアガン用のケーブルなど、様々な設備が並ぶ

かいようは、海底地震計(OBS)の設置や海中のエアガンを使った音響探査により、海底の地層構造調査などが行える船だ。双胴船は波の影響を受けにくいのが特徴とされており、当日は快晴で波もほとんどなかったのであまり参考にはならないが、近くの猿島沖までの航海を快適に楽しめた。

ちなみに、同船にはスラスターが側面の前後2カ所に付けられており、その場で360度回転することができる(実際に、出航前にデモとして何周か回転していた)。またGPSによる位置検出を組み合わせ、潮流や風の影響をキャンセルしてその位置を保持することも可能になっているそうだ。

操舵室には、ジョイスティック型の操縦装置も。これを使って、前後左右に船の位置を調節できるという

船内には装備の展示も。搭載するマルチチャンネル反射法では、エアガンで音波(人工地震)を発生し、海底で反射した波を解析することで地層構造を把握する

これが実際に使用されているエアガン

参加者には、乗船記念証もプレゼント

世界記録樹立の「うらしま」にギネス認定の「鯛ロボ」

海洋技術研究棟・海洋工学実験場には、同機構が開発している様々な無人潜水機が展示されていた。中でも目を引くのは、長さが約10mもある深海巡航探査機「うらしま」。以前、 弊誌でもお伝えしたことがあるが、うらしまは一種のロボットとも言えるもので、自律的な長距離航走が可能となっている。

深海巡航探査機「うらしま」。長さは約10m。ちなみに、当初はリチウムイオン電池を搭載していたが、2003年6月には長距離化のために燃料電池にシステムを変更。機体が1mほど長くなったそうだ

前述の記事では自律航走距離は220kmだったが、その後、今年2月の海域試験では317kmという世界記録を達成した。連続航走時間は56時間。今回も駿河湾内で試験を実施した

内部にはコンピュータを搭載しており、INS(慣性航法装置)やセンサーのデータから自分の位置を判断、予め設定されたシナリオに従って航走する。この制御部には、「デュアル相互監視型コンピュータシステム」を搭載、2台のコンピュータがお互いに監視しあい、暴走を防止できるようになっている。

ちなみにこのうらしま、筆者はてっきりボディは完全に密閉されているもの(潜水艦のように)と思っていたのだが、実際には水は内部に筒抜け状態で、コンピュータ制御部や燃料電池など、気密性が必要な部分のみ耐圧容器に収まっているそうだ。

うらしまの内部(右側が前方となる)。中央には、燃料電池用の水素吸蔵合金の容器が見える。間には浮力材が入る

こちらは機体後部。左の黒い球が酸素ガスの容器で、その隣が燃料電池本体。発生した水はこの下部に溜まる

うらしまは今後も年に2~3回程度の海域試験を行い、航走性能だけでなく、海底探査機器などの試験も行っていくとのこと。

そのほかにも様々な無人潜水機が。これは直径1mmの光ファイバーケーブルだけで支援母船と結ばれる「UROV(細径ケーブル方式無人潜水機)」。ケーブルが受ける水流の影響が小さく、より自由に行動できる

4,200mまでの深海で軽作業を行えるよう設計されている海洋ロボット「MR-X1」。ケーブル制御のほか、自律制御も可能。写真にはないが、将来は前部にアームも取り付けられるそうだ

なぜか「鯛型」のロボット。外見は必要以上に生々しい。時間の都合でデモは見なかったのだが、実際の鯛の動きを模擬して泳ぐという。隣には水槽が置いてあった

内部の模型。自律航走や、パソコンからの無線遠隔操縦が可能になっている。「世界で最も本物のように見える魚ロボット」として、ギネスブックに認定されたそうだ

 

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インデックス

目次
(1) 海洋調査船「かいよう」に乗ってみた
(2) 公開セミナーにも参加してみた


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