【レポート】
EclipseはJavaアプリケーション開発環境のスタンダードとしての地位を得ている。さらに、Eclipseは単なる開発ツールにとどまらず、開発環境のプラットフォームとしての機能の充実を目指している。6月21日に開催された「JavaWarld Day 2005」において、日本IBMの若尾正樹氏による「Eclipseの現在、そして未来」と題されたセッションが行われ、そんなEclipseの最新情報やプロジェクトの現状、そして今後の方向性などが紹介された。
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同氏はまず、現在のソフトウェアが量・複雑さ共に「破壊的な増加」をたどっていることを具体例を挙げて指摘、その対抗手段の一つとして、それぞれの役割に応じた開発環境の充実が必要であることを説いた。そしてそのようなニーズの基で、Eclipseが急速に普及していることを述べた。特に@ITの調査において2002年後半にはJava開発者全体の1%程度であったEclipseユーザが、2004年前半には61%に増加したことを紹介し、Eclipseの浸透度の高さを明らかにした。
続いて、Eclipseの次期バージョンであるEclipse 3.1について、その拡張機能の紹介が行われた。Eclipse 3.1は現在RC3がリリースされており、RC4を経て6月27日の週に正式リリースが行われる予定でいる。
Eclipse 3.1においては、主に以下の部分について拡張が行われたことが説明された。
そして拡張された機能それぞれについてデモンストレーションが行われ、実際に動作している様子を見ることができた。詳細は省略するが、特にSWTの拡張によってGUIがより強化された点や、Preferenceダイアログやヘルプウィンドウの改善によって使い勝手が向上している点が印象的だった。また、強化されたRCP機能から、Eclipseがクライアント環境の強化を目指していることも強く印象付けられた。特に、プレゼンテーション自体がEclipseベースのクライアントアプリケーションによって行われていた点が面白いと感じた。
Eclipse 3.1では、既存機能の強化とリッチ・クライアント環境のための拡張が主な変更点だが、今後はさらに上位のプロジェクトを強化していく予定だという。
セッションでは、次にEclipseに関連した開発プロジェクトについての説明が行われた。現在、Eclipse Foundation内には8つの大きなプロジェクトがある。特にEclipseプラットフォームやJDT、PDEを開発している「Eclipse プロジェクト」、他のプラグインをサポートする機能を開発する「Eclipse ツール プロジェクト」、リサーチ的役割を持った「Eclipse テクノロジー プロジェクト」がその中核を成し、その他にWebツールやJ2EEツールの開発を行う「Webツール プラットフォーム プロジェクト(WTP)」が最近活発であることが紹介された。
このように多くのプロジェクトを抱えている理由としては、Eclipseがエコ・システムの強化を目指しているからだという。すなわち、プラットフォーム+プラグインという単純な図式ではなく、Webツールやモデリングシステム、組み込みシステム、データ管理、システム管理など、より上位の機能を強化することが、Eclipseの目標ということである。
次に、最近のEclipseの動向から、先にも紹介されたWTPプロジェクトを取り上げて、その概要の紹介が行われた。WTPは、J2EEのWebアプリケーションを作成するツールの、共通インフラを提供することを目的とする。すなわち、WTPはWebアプリケーション開発のオープン・スタンダードを目指している。
WTPプロジェクトには、WST(Web Standard Tools)サブプロジェクトとJST(J2EE Standard Tools)サブプロジェクトの2つが含まれる。WSTはWebテクノロジのためのツール開発を目的とし、JSTはJ2EEテクノロジのためのツール開発を目的とする。WTPは現在M4がリリースされており、7月29日にEclipse 3.1対応のバージョン0.7を、12月16日にバージョン1.0をリリースすべく開発が進められているという。
セッションでは、WTPで提供される各ツールについても若尾氏によるデモンストレーションが行われた。
その他、Eclipse Foundation内の様々なプロジェクトから特にモデリングに関連したものを取り上げて、そのいくつかが紹介された。Eclipseのモデリング機能の強化は、現在特に活発な動きの1つであるという。その中でも特に注目を集めているのが、モデルのビジュアル・エディタのためのフレームワークであるGMF(Graphical Modeling Framework)だそうである。
このセッションで若尾氏が強調したのは、Eclipseが単純なJava開発ツールではなく、開発環境のプラットフォームとしての完成度を高めているということである。
Eclipseは今後、より洗練されたJava開発環境となるべく改良が続けられるとともに、より洗練されたツール・プラットフォームとなるような機能強化も行っていくという。さらに、デスクトップ・クライアント環境として動作するための機能や、ゆくゆくはデバイス・クライアント環境としての機能も提供することを目指す。これからも、Eclipseのさらなる進化に注目していきたい。
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