【レポート】

JavaWorld Day 2005 - ロッド・ジョンソン氏の語るJ2EEの抱えてきた問題とこれから

    杉山貴章  [2005/06/21]

    21日、都内にてIDG主催の「JavaWorld Day 2005」が開催された。本レポートではその基調講演の様子をお届けしたい。スピーカーはSpring Frameworkの生みの親として名高いロッド・ジョンソン氏。「J2EE開発の最新トレンド」というテーマでJ2EEに関する最近の動向や今後注目すべき技術などに関する解説が行われた。

    オブジェクト指向の再燃

    まず同氏は、現在J2EE開発の分野では再び「オブジェクト指向」開発が注目され始めていると指摘した。従来のJ2EEも開発言語がJavaである以上、オブジェクト指向と切り離して考えることはできなかったが、それらは真の意味でのオブジェクト指向ではなかった。最近になって、これを本当の意味でのオブジェクト指向に戻そうという動きが活発になってきたと述べ、その代表的な例としてドメイン・ドリブンな開発などが挙げられた。

    この流れの中で重要なのは、オブジェクト指向によるデザインをプラットフォームと切り離して考えることだという。その意味で、DIコンテナやアスペクト指向、O/RマッピングやSpring Frameworkは、これを実現しようとする重要な技術であり、一方で従来のEJBはプラットフォームによって強い制約を受けるため「オブジェクト指向」なJ2EEには向かないという。

    Agile開発の普及

    オブジェクト指向開発の分野では、近年「Agile」が注目され、実際に広く使われるようになってきた。Agileの特徴としては、小幅な進捗をベースとしたテスト・ドリブンな開発手法であり、従来のウォーターフォールな手法に比べて開発に伴うリスクが低いことが挙げられる。これはオブジェクト指向開発によくマッチした手法といえる。

    この流れはエンタープライズの分野でも例外ではないという。J2EE開発の考え方は5年前とは大きく異なっており、現在ではテスト・ドリブンが主流になっている。すなわち、従来の開発手法よりもAgileな手法がマッチするようになってきたということである。この流れの中でDIやアスペクト指向は特に重要な技術であると指摘した。

    フレームワーク指向開発

    講演の中で同氏は、J2EEはすでに十分な経験値を持っており、開発者は過去の成果から成功への道筋を見つけることができると強調した。このことは他の技術に対する大きなアドバンテージとなる。

    このアドバンテージを活かすために重要なのは既知のフレームワークを活用することだとも指摘した。以前は、多くの企業が多額の資金を投入して組織独自のフレームワークを開発していた。しかし、それらのほとんどが特定の状況でしか利用できないものだった。現在では汎用的で有用なフレームワークが多く開発されており、開発者は自由にそれらを利用することができる。同氏は、in-houseなフレームワークを開発する必要はすでに全く無くなったということを、「Death of in-house framework」という強い言葉で表現した。同時に、スクリーンには「In-House Framework」と描かれた墓標のイラスト映し出された。

    オープンソースとJ2EEの関わり

    次に話題はオープンソースプロジェクトに移った。現在のJ2EE開発の立場から見て、オープンソースプロジェクトは必要不可欠であるという。同氏はまずオープンソースに対する一般的な誤解を解いた上で、オープンソースプロジェクトが成功するために重要な要素について説明した。そしてJ2EE開発においてはオープンソースプロジェクトによる成果を積極的に利用すべきであるとした。ただし、その際には「オープンソースソフトウェアも商用ソフトウェアと同じ基準で評価するべきである」とも指摘。J2EE開発がビジネスの一環である以上これは非常に重要なことだろう。それと同時に、オープンソースによる成果物がすでにビジネスで対等に通用するものだということでもある。

    標準化の問題

    J2EEの抱える問題の一つに仕様の標準化が挙げられる。共通の仕様を策定することは重要ではあるが、その一方で何でも標準化してしまえばいいというものでもない。すでにスタンダードな技術や十分な実績のある技術などの標準化は成功しやすいが、コミュニティからのフィードバックが盛んで常に進化するようなアプリケーションプログラミングモデルなどについての標準化は失敗しやすい、と具体例を挙げながら指摘した。「不適切な標準化が行われることは、標準が無い状態よりもさらに悪い」という同氏の言葉は辛辣だが、うなずかざるを得ない。

    今後の展望

    講演の後半には、J2EE開発とそれを取り巻く状況が今後どうなっていくのかという点について同氏の見解が紹介された。同氏は、エンタープライズ分野においても今後海外へのアウトソースが増加し、それに伴って国内では低いスキルでの仕事が減るだろう、とする。また、先進国は開発に対する価格競争では勝てなくなるとも述べた。

    そして、そのような状況に対応するためにはフレームワークを使いこなすことが重要だと説く。また、同時にコミュニケーション能力を磨くことやビジネスのニーズを理解することも必要だという。現状、ビジネスとしての視点を持てない技術者はまだまだ多いが、それではアウトソース先に仕事を持っていかれる、と主張した。もう一点、常に最新技術を導入することも国内でビジネスする重要なポイントであると付け加えた。

    最後に、J2EEに関連した技術で今後注目すべきものがいくつか紹介された。そこではDI、単体テストやテスト駆動開発、O/Rマッピングなどが挙げられた。特にDIについては「エンタープライズの将来を担う」技術であることを強調した。加えて、Struts 1.xの後継となるようなウェブテクノロジー、例えばJSFやSpring MVC、Tapestry、Strust2.0なども重要になるという。

    また身に付けるべき技術としては、フレームワークの使い方はもちろん、コミュニケーション能力やビジネス面からの視点なども重要であることをここでも強調した。

    同氏は「今はJ2EE開発者として非常にワクワクする時代である」という。そして「課題は多いが、新しい技術を活用していけば世界のビジネスで通用するだろう」と述べて講演を締めくくった。

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