【レポート】
Interop Tokyo 2005において、9日(木)、日本NetBSDユーザーグループ主催でBIRDS OF A FEATHER - BSDなひとときが開催された。これは、*BSDコミュニティ間の情報交換を目的としたセッションで、*BSDに関するいくつかの発表が行われた。発表はRealVideoで中継された他、IRCによる中継も行われた。IRCを経由した質疑応答が行われたあたり、本セッションの特徴的な光景だといえるだろう。
*BSDプロジェクトにおけるドキュメント管理について、佐藤広生氏から発表があった。*BSDという広範囲に渡り、ドキュメント管理という点に焦点を絞ってセッションが行われたのはおそらくこの発表がはじめてだろう。
同氏はThe FreeBSD Project, Documentation Teamで作業している他、FreeBSD Release Engineering Team、FreeBSD ports committerとしても作業している。また、The NetBSD Project、The DragonFly BSD Projectにも関わり、OpenBSDのドキュメントについても詳しい。
同氏はまず、ドキュメントの種類をASCII、Manual、FAQ、How-To、Handbookの5種類に分類し、それぞれの特徴を述べた。もっともバランスが優れたドキュメントはFAQであるとし、FAQを拡充することで、How-Toにもなるという意見を述べた。
次に、ドキュメントのフォーマットと品質についてまとめた。フォーマットは、大きく分けて、読者に提供される段階での提供フォーマットと、管理する段階での管理フォーマットがある。提供フォーマットはASCII、HTML、PDFと代表的なものがあるため悩む必要はないが、管理フォーマットは目的に合わせて適切なものを選択する必要があるという。たとえば、もっともドキュメント管理が組織化されているThe FreeBSD Projectでは、HTML、PDF、ASCIIが提供フォーマットであり、DocBook/SGMLが管理フォーマットである。
品質については、ソースコードを引き合いに出し、ソースコードの品質を気にする人は多くても、ドキュメントの品質には無頓着な人が多いことを指摘し、文章の正誤、規格適合性など、ドキュメントを評価していくことが重要だということを強調した。
*BSDの中では、FreeBSDがもっともドキュメント化は組織化されており、同システムは最初のシステムのまま10年間も続いているという。これは驚くべきことだという。特にFreeBSD Handbookはそのまま出版されているというように、レベルの高さを紹介した。一方、NetBSD、OpenBSD、DragonFly BSDでは、規模と用途に応じてドキュメント管理が異なっており、FreeBSDのような厳密な管理体制や規約はないということを発表した。もっとも規模が小さいDragonFly BSDでは、Wikiを活用してドキュメント管理の負荷低減の試みていることも紹介された。
また同氏は、アジア圏においても特異なまでに英語ができない日本の状況に触れ、日本の翻訳プロジェクトについても紹介を行った。翻訳に関しては、必要とする意見と、不要と見る意見の2つがあるが、平均的日本人の英語力の低さを鑑みると翻訳プロジェクトは必要だという意見を示した。ただし、品質を度外視することはできず、さらに更新に合わせて翻訳を継続する必要があるという点を強調。作業は地味なうえ大変であり、一度の翻訳よりも継続した作業が重要だという。
技術的側面では、規格化、国際化された管理フォーマットの採用、翻訳を考慮したseparate commitや、LD/LIの分離の話も紹介された。開発者と協調作業するため、マニュアルページからDocBook/SGMLへの自動変換技術などについても紹介があった。
プロジェクト規模の拡大に伴い、要求されるドキュメント品質はさらに高くなってきているという。また、検索サイトの構築や即時翻訳への対応を行う必要もあり、今後ドキュメント管理についてさらに考える必要があるという。
特にここ1, 2年、翻訳プロジェクトは参加者の多忙から衰退傾向にあり、本家へも参加し積極的に編集管理を行うことができるメンバーの参加の重要性が呼びかけられた。
スピーシーズ株式会社 宮重正幸氏からは、2足歩行型ロボットSpeecysに関する発表が行われた。Speecysは大学向けに開発された2足歩行型ロボットとその関連キットで、ロボット自身はNetBSDを使って制御が行われている。
同氏はまず、Speecysに直立状態から腕立て伏せを行わせるデモンストレーションを行ったあと、端末を接続してSpeecysを再起動し、実際にSpeecysでNetBSDが動作していることを示した。さらに、そのままSpeecysで動作しているNetBSDにログインし、tcshを実行して中身を紹介し、聴講者を驚かせた。
ロボットの制御を行うために、突然の断電でもファイルシステムが壊れないようにNetBSDを変更してある他、リアルタイム処理が実行できるようにカーネルに手を入れているという。カーネル内のプロセス切り替え時間は1ms程度ということだ。
同氏は、制御用OSにNetBSDを採用した理由として、他のOSも検討したが、NetBSDがもっともカーネル内部が解析しやすかったことをあげた。リアルタイムOSではなくともNetBSDで十分に制御が可能であり、NetBSDを採用したことによる種々の利点を強調した。当セッションは質問者も多く、高い関心が伺えた。
CBUGおよびEBUGの渡部岳郎氏からは、3月19日から20日にかけてCBUG、ChiBUG、DEBUG、EBUGの共同で主催された関東甲信越BUG合宿に関する報告が行われた。各地にあるBSD Users Groupは定期的に勉強会や交流会を開いており、本合宿はとくに近隣のBUGの交流をはかったものだという。
さらに、本合宿中に開発された成果物として、topless(1)の発表がFreeBSD ports committer 後藤大地氏より行われた。合宿中、他のcommitterや開発者と話をしているうちに、コマンドの出力をtop(1)のように表示させるためのコマンドの必要性の話になり、その場での開発に至ったという。開発の顛末や、シェルスクリプトプログラミングの注意点などが紹介された。
同氏は、複数名で寄り合って作業をする場合の効果について強調。合宿の効果を再度主張した。また最後に、若手不足を主張し、意欲的な学生の積極的な参加、関係者には若手の育成をするようにと意見が示された。
WIDE XCAST Working Groupからは、XCAST ReadyであるFreeSBIEやNetBSD LiveCDの配布が行われ、その使用方法が紹介された。WIDE XCAST Working Groupの今井祐二氏は、XCASTは開発フェーズから普及フェーズに来ている点を強調し、愉快なIPv6的インターネットstyleの普及と称して、積極的にXCASTを普及させていく旨を示した。
また、日本にとどまらず、マレーシアやフランスともコテクティビティがあることを紹介し、マレーシアとのXCAST接続デモが行われた。その他、XCAST fan clubによって定期的に行われているXCAST通信の様子が紹介されたり、飛行機での移動中に行われたXCASTデモも紹介があった。
同氏は開催が予定されているXCAST MATSURI 2005bにも触れ、大勢の同時接続を行いたいという点を強調した。
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