【レポート】

ついにIntelと結ばれたApple - スティーブ・ジョブズCEO基調講演

2 OS X、Xcode、Rosettaで円滑な移行

    Yoichi Yamashita  [2005/06/08]

    「(Intel製CPUへの移行を)成功させるために、我々には2つの課題がある」とJobs氏が述べると、間髪を入れずに会場から「エッ、たった2つだけ……」という驚きの声が聞こえてきて、笑いが広がった。

    1つはMac OS Xの対応である。「実はMac OS Xには……」とJobs氏が切り出し、「隠された二重生活があった」と続けると、それだけで言葉の意味を理解した観衆から笑いが漏れ始める。次にカリフォルニア州クパチーノのApple本社が映し出され、その一部がクローズアップされる。そこがIntel製CPU対応を、これまで密かに研究していたチームの拠点である。

    特定のプロセッサに依存するべきではないという考えから、Mac OS Xは開発開始当初からクロスプラットフォームに設計されてきたという。結果、Cheetah、Puma、Jaguar、Panther、そしてTigerまで、過去5年間のMac OS XはすべてApple内部でPowerPC版とIntel CPU対応版がコンパイルされていたそうだ。さらに、この告白の瞬間までの約40分間、Mac OS X "Tiger"のデモなどに使われていた壇上のMacintoshが実はIntel CPUを搭載していることが明らかにされると、会場は大爆笑である。

    課題その1:Mac OS X

    OS Xの5年間の歴史には隠された顔があった…

    OS Xの隠された顔を研究していたチームの隠れ家(Apple本社内)

    全てのOS XはPowerPCとIntel CPU用にコンパイルされていた

    さて、2つ目の課題はアプリケーションの対応だ。Appleは開発者に対して、開発用ツールとして「Xcode 2.1」を提供する。同バージョンではPowerPCとIntelの両アーキテクチャに対応する「ユニバーサルバイナリ」を生成できる。ユニバーサルバイナリにコンパイルすれば、ユーザーは同じディスクから、どちらのシステムにもアプリケーションをインストールできる。

    PowerPCからIntelへの移行はおよそ2年間をかけて行われる。来年のWWDCまでにはIntel製CPUを搭載したMacintoshの出荷を開始し、2007年のWWDC頃には"ほぼ完了"、2007年末までに移行を"完了"させる計画だ。この移行期間には、Apple製品にPowerPC搭載機とIntel CPU搭載機が併存する。そこで集まった開発者に対してJobs氏は、それぞれのアプリケーションのユニバーサルバイナリを作成することがIntel製CPUへの移行を円滑に進めるカギになると指摘、そのためにはまずXcodeを利用することを求めた。

    課題その2:アプリケーション

    「移行は一夜にしてならず」、2年間を費やして少しずつIntel製CPU搭載製品を増やす

    Xcodeの利用がIntelアーキテクチャに対応する近道

    PowerPCとIntel CPUのどちらにも対応できるユニバーサルバイナリ

    ワンクリックでターゲットとするCPUを設定

    現在、トップ100開発者の内、Xcode利用者は56%で、25%が移行中。残る19%にもXcodeの利用を勧める。

    開発者の代表としてWolfram ResearchのCEOであるTheo Gray氏が登場し、開発者の視点からIntelアーキテクチャ対応の体験談を語った。同氏によると、6月1日の夜にAppleから連絡があり、その翌日に1人のエンジニアが開発中のMathematicaのコードを抱えてAppleを訪れたそうだ。「Cコード、Javaコード、レーガン時代から変化していない化石のようなコード等々、数百万のコードが存在する中で、これは子供だましではない、野獣のようなアプリだ」とXcodeを評価する。2時間とかからずに20程度のソースコードのラインを変更するだけで、Intelアーキテクチャに対応できたという。

    開発者が軽い負担で、Intel CPU搭載Macに対応できることを体験談として披露したTheo Gray氏

    ただし、Appleが開発者に対してユニバーサルバイナリ化を推進したとしても、Intel製CPUを搭載したMacintoshが初めて登場してからしばらくは、ユニバーサルではないアプリケーションが目立つだろう。そこで同社は、PowerPCバイナリをIntel CPU上で動作するように変換する「Rosetta」を用意する。同社ではエミュレーションという言葉を使わずに、ダイナミック・バイナリ・トランスレーションと呼んでいる。Rosettaは、ユーザが変換を意識しないように動作し、軽くて、そしてネイティブに迫る性能を発揮するという。基調講演ではWord/Excel、Quicken、Photoshop CS2などを使ったRosettaのデモが披露されたが、Photoshop CS2のプラグインに至るまで問題なく動作していた。

    PowerPCバイナリをIntel CPU向けに翻訳するRosetta

    RosettaでPhotoshop CS2の動作をデモ

    基調講演にはまた、MicrosoftのMacintosh Bussiness Unit(Mac BU)のGMであるRoz Ho氏、AdobeのCEOであるBruce Chizen氏が登壇し、第3の移行への積極的な協力を約束した。両社はMac OS Xのリリース時にもいち早くネイティブ対応して、移行を支援している。

    AdobeのBruce Chizen氏。Mac OS Xリリースの時と同様、すべてのアプリケーションの対応を約束

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン