【レポート】

COMPUTEX TAIPEI 2005 - SiSの今後の展開ラインナップ

ULiと共に元気がないのがSiS。今回ブースではSiS649 / SiS656FX / SiS756 / SiS760 / SiS761といった同社の主力商品を搭載した各社製品を展示してはいたが(Photo01~05)、実はこれらの製品、殆どは昨年中に登場していた、もしくは登場予定だったもので、新しい製品ラインナップが全く見えてきていない。そこで、今後の展開ラインナップについて少し聞いてみた。

Photo01:Pentium 4向けに、Single Channel DDR/DDR2メモリに対応し、PCI Express搭載のSiS649

Photo02:SiS649の上位製品で、Dual Channelメモリ構成のSiS656FX

Photo03:Athlon 64向けPCI Express Bridge(Tunnelではない)のSiS756

Photo04:SiS755(AGP 8X対応のAthlon 64向けNorth Bridge)にSiS Mirage2(DirectX 8.1相当)を組み込んだSiS760GX

Photo05:こちらはSiS756にSiS Mirage1(DirectX 7相当)を組み込んだSiS761。PCI Expressコントローラを搭載する関係で、Mirage2を組み込むのが難しかったそうだ

Intel Desktop向け

Photo06

まずIntelのデスクトップ向けであるが、順調に遅れている感じだ。目新しいのは、バリューからメインストリームの下位製品向けにSiS649FXがまもなく量産に入る(昨年のロードマップにはこの製品自体がなかった)程度。主な改良点は1066MHz FSBとDDR2-667への対応が追加された程度である。これに続くSiS662は昨年のロードマップによれば今年Q1に量産開始だったもの、SiS670も今年Q3にはCS(Customer Sampling)が開始される筈だったもので、どちらも半年から1年程度の遅れを見せている。SiS662は引き続きMirage1コアのままで、この状態だとLonghornの動作に支障をきたすことになるわけで、余りに熱が入っていない。

この辺りを説明してくださったBrad Chou氏(Engeneer, Product Marketing Division, Technical Marketing Dept.)に伺うと、全般として、今はIntel製品とAMD製品が大体50:50の関係だが、次第にAMD側の比率が高くなってゆく、という話だった。その理由として大きいのは、やはりIntel自身のチップセットが非常に強い事で、この結果としてIntel向けチップセットをビジネスとしてゆくのが段々と困難になっていきつつある、という辺りだった。また、昨今ではPentium Mをデスクトップマーケットに販売するのが大きなトレンドで、Intel自身も次第にそういう方向に傾きつつあるが、SiSはIntelとの契約の関係でPentium M向けチップセットはあくまでノート向けにしか販売できない事になっており、新しく生まれつつあるPentium Mを使ったデスクトップあるいはIAマーケット向けの市場に手をつけることが出来ないのだという。そうなると製品展開に熱が入らないのはまぁ当然であって、結果としてCeleronやローエンドのPentium 4向けビジネスを今後も展開してゆく、という事になりそうだ。

AMD Desktop向け

Photo07

ではAMD向けデスクトップはどうか? というと、こちらは一応昨年のロードマップからそれほど遅れておらず、オンスケジュールと言っても差し支えはない。ただ昨年の時点ではSiSはむしろIntel向けに力を入れており、AMDはおまけといっても良い扱い程度だったから、新製品投入スケジュールはむしろスローだった。そのスローな展開がそのまま維持されているという感じで、やはり競争力に欠ける感は否めない。

さて昨年のロードマップからの違いは、まずローエンド(Sempron向け)にSiS761GLという製品を投入していることで、既にCSはスタートしており、今のところ順調との事。第3四半期にはSiS Mirage3(DirectX 9相当)を組み込んだSiS770がリリースされ、年末から来年頭にはSiS756FXが投入される。実はこのSiS756FXで初めてDual Graphics、つまり1本のPCI Express x16レーンを2本のPCI Express x8レーンに分割して2枚のグラフィックカードを装着するという構成がサポートされる。現在のSiS756/SiS761GXや、この後出てくるSiS770ではこうした構成は出来ないそうである。理由を聞くと「その場合コントローラが2つ要るから」という話だが、このあたりでもちょっとだけ触れた通り、本来PCI Exressのレーン幅は1 / 2 / 4 / 8 / 16 / 32で可変できる(Requirementではない)し、これを実装しているコントローラも少なくないが、SiSのそれは16bit幅で決め打ちになっているようで、こうした柔軟性はないという事らしい。AMD向けにおいても、ハイエンドはNVIDIA / ATIで一騎打ちになっているから、やはりメインストリーム~バリューがSiSのターゲットとしており、こうしたマーケットにはSLIやCrossFireに代表されるデュアルグラフィックスソリューションはそぐわないという判断の様だが、それはそれとして純粋に技術的にちょっと驚いた。

ちなみにこのDual Graphics、Photo06を見れば判る通りIntel向けプラットフォームでは提供予定がないあたりも、Intel向け製品の力の入れ方が見えてくるというものだ。

サウスブリッジ(Desktop向け)

Photo08

かつてのSiSといえば、サウスブリッジのラインナップが非常に多い事で有名であったが、現時点では964 / 965というメインストリーム向けと、その廉価版の964L / 965Lのみになっており、まもなく966 / 966Lが登場する予定である。この966、SATA-IIのPhase1(つまり転送速度は1.5Gbpsながら、NCQやHotPlugなどの必要な機能を全部備えたもの)となるそうである。4ポートということでRAID0 / 1 / 0+1 / JBODをサポートするが、「RAID5は?」と聞くと、ハードウェア的には対応可能でドライバさえ書けばいいのだが、果たしてその要求があるかどうかが問題という話であった。ドライバ開発に関するプライオリティもあるので、今のところ予定はないそうだ。

またこれに続き、来年にはMuTIOLの速度を2GB/secに引き上げたSiS967が予定されている。以前はこのSiS967が、SiS966という名称でロードマップに掲載されていたのだが、後ろにずれた様だ。「これ、どのノースブリッジと組み合わせるの?」と聞いたが、「Future Northbridge」という答えが返ってくるのみで、明確な方針が決まっていないのか、それともまだ秘密で公表できないのか判断はつかないが、おそらく前者ではないかと思われる。

Intel Mobile向け

Photo09

Photo10

Mobile Pentium 4が事実上生産終了してしまった関係もあり、Mobile Pentium 4向けのラインナップは一応製品展開を作ってはあり、「顧客の要求があれば提供する」とは言うものの、そういったデマンドは無いと思っている様である。またPentium M向け製品については、上述の通りデスクトップ向けとかIA機器向けには販売出来ないので、こちらもCentrinoプラットフォーム相手に苦しい戦いとなっており、ロードマップも「書いてあるだけ」状態で、これでマーケットシェアが取れるとはあまり信じていない様に見受けられた。

AMD Mobile向け

Photo11

そんな訳でSiSにとっては、AMDがモバイル向け製品のメインとなるようで、既存の製品のモバイル対応版(低消費電力版ということだそうだ)を積極的に提供してゆく考えである。このマーケット、ATIのRADEON X200は有力な競合製品だが、あちらはSouthbridgeに問題を抱えており、またNVIDIAは(DTRはともかく)省スペースノートには到底入れられない消費電力なので、SiSにもまだマーケットが残されている、と判断しているようだ。

サウスブリッジ(Mobile向け)

Photo12

サウスブリッジに関しては、先のPhoto08と変わらない。唯一の大きな違いはSiS967が無いことだが、Mobile向けには当分帯域を増やす必要はないから、それほど問題はないだろう。ちなみにSiS966 / 966Lには"Smart Clock Gating"という項目が追加されているが、これはPCI Express向けの省電力モードをきちんと搭載しているという話であって、Desktop向けの966 / 966Lでも搭載されているという話であった。

IA機器向け

Photo13

Photo14

SiSは従来、RiSE Technologyからm6P(その後iDragon m6Pと改称)のライセンスを受け、これをベースにSiS550~552というSoCを製造・提供してきたが、これに関してはきっぱりと「もうこれらの製品はメンテナンスフェーズに入っており、新規の開発などは一切行わない」と断言されてしまった。まぁ元々が200~250MHz程度でインオーダのパイプライン1本(厳密に言えばFPUが別パイプラインになっている関係で、FPUのみ異様に強力)、MMXはサポートするが3DNow!やSSEは知らないというプロセッサで、VIAのC3どころかAMDのGeode GX1にも劣る性能だから、スケーラビリティにも乏しく、早晩こうなる運命ではあったが、これは致し方ないところか。むしろAMDのGeode NX向けにSiS741CX+SiS964という構成を"SiS Eagle System"という名称で提供しているわけで、会場でも2社ほどが製品展示をしていた(Photo15,16)が、これに続いてSiS746FX+SiS964の構成を、やはりGeode NX向けに提供する事を明らかにした。また低価格構成向けにSiS963Lも提供するなど、Geode NXプラットフォームに本格的にコミットしてゆく動きを見せている。

これは後述する話とも関係するが、SiSとしてはチップセットビジネス自体に再度フォーカスする姿勢を見せており、サポートなどに手間がかかるシステム全体を提供する(SiS55xシリーズがこれ)のではなく、あくまでチップセットのみを提供することでIAマーケット向けにシェアを確保したい、という意向の様だ。

Photo15:Liantecの試作ボード。SiS自身のEagle Reference Boardに近い構成。

Photo16:こちらはiBASEのMB740F。ここからGbE/IEEE1394を除いたMB740という製品もあるそうだ。レイアウトはかなりReferenceと異なっている。

Wireless LAN

Photo17

SiSは2002年あたりからWireless LANのSolutionの提供を始めており、今回も会場にはそれなりの展示があったが、もうロードマップを見れば判る通り、これも完全に開発中止である。実は「a / b / gは飽和しつつあるわけだが、MIMOはどう考える?」と水を向けたら、「MIMOって何だ?」という返事が返ってきて、流石に仰天してしまった。こちらに関しても需要がある限り生産は続けるが(そして、SiS55xシリーズよりもはるかに需要はあるが)、今後もWireless LANのマーケットに深くCommitしてゆくという予定はないようで、開発リソースは全てチップセットに注ぎ込む、という方針の様だ。

全体を通じて

ALiも色々苦労を感じる発言が多かったが、SiSもまた同じで、なんとかこのチップセットビジネスで生き残りを図るべく苦闘しているという印象を強く受けるものであった。ただIntel向けビジネスは、Pentium 4のラインナップが「CPU自体」シェアを落としつつある現状でIntelのチップセットと食い合いをする羽目になり、かつPentium M向けにチップセットを売れないという状況は、SiSには予想外に堪えているようだ。AMDのバリュー向けにどこまでシェアを握れるかが、今後のSiSの命運を握っている様に感じたインタビューであった。

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