【レポート】

COMPUTEX TAIPEI 2005 - Embedded編

1 AMD編

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ところでCOMPUTEXといえば単にPC向けならず、Embedded向けの製品も数多く登場する場所である。そんなこともあってか、AMD、Intel共にEmbedded向けの新製品の発表を行った。そこでこれらをまとめてレポートしたいと思う。

AMDの発表は、先日発表されたGeode LXが中心であった。

Geode LX

まずはAMDのGeode LXである。5/23に発表された同製品について、AMDのPaul Smith氏(Photo01)が説明を行った。

Photo01:Paul Smith氏(Vice President Business Operations, Microprocessor Solutions Sector, AMD)

さてそのAMD Geode LXであるが、ベースとなるアーキテクチャは従来のGeodeのものである。ただ動作周波数を500MHzに引き上げると同時にキャッシュを増量、DDR400をサポートするなどにより、従来の2倍のパフォーマンスを得るに至ったとしている(Photo02)。Smith氏によれば、従来のGeodeシリーズのラインナップでは、Geode GXとGeode NXの間に大きなパフォーマンスギャップがあり、今回発表したGeode LXはこれを埋めるものだとしている(Photo03)。

Photo02:後述するが、Companion Chipも同時に新しくなったため、例えばUSB 2.0のサポートなども付け加えられた

Photo03:生産はTSMCの0.13μmプロセスが利用されるそうだ

内部に目を向けると、CPU側には128KBのL1キャッシュと同量の128KBのL2キャッシュ、PCIバスコントローラ、ビデオコントローラ、暗号化アクセラレータなどが集約され、コンパニオンチップであるCS5536にはUSB 2.0コントローラや各種の周辺回路が搭載されるという構造だ(Photo04)。すでに開発キットも用意されており、単に評価ボードのみならず、システム開発に必要な設計データやROMデータなどもまとめて提供される、としている。

ところでこのGeode LX、500MHzで800というモデルナンバーが付けられている。この800の根拠について問いただしたところ、「様々なベンチマークを元に妥当と思われる数字をつけた」という返事が返ってきた。そのベンチマークは何かと問うと、これがEEMBCとかDhrystoneといった、Embedded系ではおなじみのベンチマークではなく、WinstoneとかHDBench(!)だという事で、ちょっと違和感を感じたのも事実だ。もっとも、Geode GXラインではWindows CEとか各種組み込み系OSを使うのがメインなのに対し、Geode LXではWindows XP系を使うケースがだいぶ増えてくる事を想定しているそうで、その意味ではPC系ベンチマークの方が妥当なのかもしれない。性能的には、Geode NX 1250(667MHz動作)よりはちょっと落ちるが、Geode GX 533(400MHz動作)よりはかなり性能が上がるということで、丁度中間あたりの番号に割り振ったということらしい。ちなみに発表会場のスタッフによれば、いくつかのベンチマーク、例えばHDBenchのMemory Testなどでは(Memory Controllerを内蔵し、しかもDDR400対応ということで)Geode NXより良い結果が出る場合もあるとの話であった。(Photo06,07)

Photo04:面白いのは、Geode LXとCS5536の両方にPCIBusのコントローラが入っていることだろう。またグラフィックも1920×1440ピクセル@85Hzまで可能と大幅に強化されており、Geode LXの想定するマーケットがある程度想像できそうだ

Photo05:デザインファイルがOrCADというあたりがちょっと面白い気がする。いや、確かに広く普及しているツールではあるのだが

Photo06:Geode LX 800のDevelopment Board。メモリがDIMMソケットではなくボード上に直接取り付けられているあたりが、Geode LXの性格を物語っている

Photo07:こちらはGeode LXをベースに、実際にWindows XPを動作させている状態のデモボード。さすがにメモリはオンボードだけでは足りないと見え、SO-DIMMに切り替えられている

Geode NX

ところでAMDは最近、Geode NXシリーズのリファレンスマザーボードをVIAのKM400ベースからSiSのSiS741CXベースに変更した。実際今回のCOMPUTEXでは、何社かがVIAのKM400ベースのGeode NX対応製品を展示していただけに、ちょっと唐突(リファレンスがここまで大きく変わる事は普通無い)な印象を受けたが、これについて問いただしても「それは顧客からの要求で対応しただけであって、仮に顧客がVIAのリファレンスを望めば、我々はそれを提供する」という優等生的な答えが返ってきた。ただ穿った見方をするのであれば、そもそも独自CPU(C3のほか、最近はC7もラインナップに加わった)を持ち、チップセットだけでなくシステムとしてソリューションを提供するビジネスにどんどんシフトしつつあるVIAからすれば、AMDのGeode NX向けソリューションはそれほどオイシいビジネスではない(PC向けとかに比べるとスケールメリットも出しにくいし、Edenに比べると単価もずっと下がる)わけで、しかもGeode NXはVIAのC3をベンチマークとして性能表記を行うといった露骨な競合状況にあるから、そのGeode NXにVIAのチップセットを組み合わせるという状況自体がどうかしているとも言えるわけで、ある意味正常に戻ったとも言える。一方のSiSは(別記事であらためて説明するが)チップセットビジネスに再び集中する状況に回帰しており、丁度AMDとは補完関係にあるわけで、むしろ都合が良かったのであろう。

ちなみにAMDとしては、VIAの様にプラットフォームそのものを販売する計画は今のところ全く無いそうで、あくまでもソリューションの一部を提供する、という立場を崩すつもりはないようだ。

その他

AMDの場合、CPG(Computation Products Group)が非常に大きなユニットなので、Embeddedを担当するPCSG(Personal Connectivity Solutions Group)の役割は見えにくくなっているが、Smith氏によれば(AMD全体の)Revenueの5%をPCSGで担うとしており、決して少なくない売上を担っている事が判る。このため、顧客の要望に応じて幅広い製品ラインナップを今後も提供してゆくとしている。例えば会場にはEBXフォームファクターに対応したOpteronマザーボードのデモが行われ(Photo08)、低電圧版のOpteronをハイパワーが必要なEmbedded向けに提供するほか、(今のところ予定はないが)要求があればTurion64をEmbedded向けに提供することも可能だとしている。

またローエンド(というか、x86と別プロダクトラインの様相を呈している)Alchemyに関しても、引き続き提供をしてゆくとの話だった。ただ、この業界では「引き続き提供している」とは「メンテナンスフェーズに入っており、生産は続けるが新製品の投入は行わない」の同義語であることが少なくない。実際、性能面ではGeodeと見事にクロスオーバーしており、現状Alchemyの製品ラインは超低消費電力マーケットに限られている。このあたり、例えば最近の流行に沿ってDSPコアを追加するとかマルチプロセッサ構成にする、あるいはMIPS32アーキテクチャ以外にARMアーキテクチャをサポートする、といった可能性については、いずれも明確に否定された。実のところ旧Alchemyの人間はどんどんAMDを離脱しており、またMIPS32がスタンダードだった分野は、一部のハイパフォーマンス機器(プリンタ、コピー、etc)とネットワーク分野に絞られつつある状況では、命令セットとしての優位性もAlchemyには無くなって来ている。なんとなく来年あたりはメンテナンスフェーズに入るのではないか? という気もするのだが、遠まわしに聞いた限りでは明確にYesともNoとも返事がなかった。

ところで会場には50x15イニシアチブで利用されるPIC(Personal Internet Communicator)も展示されていた(Photo09)が、これに使われているのはGeode GX 500である。「これをGeode LX 800に変える予定は?」と聞いたが、そういう予定はないそうだ。

Photo08:これはWin EnterpriseのMB-06047

Photo09:Geode LXに変えない主要な理由はコストの様だが、勿論そんな露骨な表現ではなく「PICの用途にはGeode GXで十分だ」という返事であった(丁寧な動作デモも行ってくれた)。まぁ確かに使い方次第だ、とは思う

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目次
(1) AMD編
(2) Intel編

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