【インタビュー】

Efficeonでスパコン? Transmeta創業者が率いるOrion Multisystems

2 EfficeonはHPCにも有効、さらなる多ノード化も

    大塚実  [2005/05/27]

    -- まず、DS-96の特徴とは?

    「特徴は3つある。まず1つ目は、"True Standard Cluster"であること。GbEやx86ベースのプロセッサなど、標準的な技術のみでシステムが構成されている。2つ目は、ユーザーにとって使いやすいシステムであること。96ノードが1つのBOXに格納されており、起動は1つのスイッチを押すだけで、リブートも容易だ。そして最後は、MPI/SGEやX Windowマネージャなど、標準的なソフトウェアが使えることだ。まとめるなら、ユーザーから見るとPCのようで、ソフトウェアから見るとクラスタ、と言える」

    Orion Multisystems社長兼CEO・Colin Hunter氏。手前に少し写っている愛用のPCはもちろんシャープのEfficeon機。ちなみに筆者もEfficeon機を持ち歩いているので、1つのテーブルにEfficeonノートが2台並ぶというレアな状態に

    DS-96のアーキテクチャ。ノード0のみ特別な役割を持つが、計算ノードとしても利用できる。HDDは2.5インチドライブを搭載

    -- 96ノードで1,500Wというと、単純に計算してもノード当たり15W程度ということになってしまうが、この省電力性をどう実現したのか?

    「これに関してはかなり努力した。1,500Wとあるが、実際には1,340Wだ。認定用にマージンを取っている。実現には社内でも懐疑的な人もいたが、Ed Kellyの尽力によるところが大きい。プロセッサは7.5Wくらいで動作しており、ボード上はファンレス。ケース下部にファンが搭載されており、上側に送風して背後から排気している」

    -- 本来はモバイル向けのEfficeonを使っているわけだが、これはHPC分野にも有効となるのか?

    「Efficeonは、浮動小数点処理はむしろ優れている。GHz当たりの性能はPentium 4よりEfficeonの方が優れるし、同じくモバイル向けのPentium Mについても、GHz当たりの浮動小数点演算の性能はPentium 4よりも上だ。HPC分野では、特に浮動小数点演算がキーとなる」

    -- Efficeonのアーキテクチャ上の特徴はCMS(Code Morphing Software)だが、これもHPC分野で有効ということか? それとも何か特別なカスタマイズをCMSに施してあるとか?

    「もちろん有効だ。ただカスタマイズは特にしてはいない」

    -- 消費電力当たり・面積当たりの「効率」が良いシステムだと思うが、数値計算においては、絶対的な「性能」が欲しいケースもある。複数台によるクラスタリングも可能か?

    「それは可能だ。実際に、まだ問い合わせの段階だが、10台(960ノード)を使いたいという顧客もいる。DS-96では、ポジショニング的にはTOP500クラスより下のマーケットを狙うことになるが、将来的には、TOP500入りもありえると思う」

    -- Linpackベンチマークのピーク性能比が48%と、TOP500レベルのx86クラスタシステムに比べてあまり高くない印象を受けるが、ボトルネックはどこか? インターコネクトか?

    「ネットワークはボトルネックになっていないと思うが、我々はソフト・ハードの両面で、レイテンシを低くする取り組みをしている。ノード間のレイテンシは、通常のGbEでは40μsec程度、Myrinetは5~6μsec程度。TCP/IPスタックの改善で、今年後半にはレイテンシを半分程度まで下げることを目指しており、来年はハードウェアによって6μsecまで下げていくことを考えている」

    「ただし、標準であるイーサネットを使っていくことには変わりはない。コスト上のメリットのほか、消費電力の違いも大きい。Myrinetはノード当たり4~5W程度消費するうえ、しかも高価だ。GbEの場合は、通常のPCクラスタではノード当たり2W程度だが、我々の場合はオンボードチップなので、125mW程度で済んでいる」

    -- 米国ではすでに発売されているが、導入事例はあるのか?

    「名前が出せないものもあるが、大手の製薬会社や、カリフォルニア大学サンディエゴ校、NASA、スイスの銀行、ロスアラモスやローレンス・リバモアなどの研究所など、多くの事例がある」

    -- マーケットとして考えているのはどの分野か?

    「最も需要が大きいところはどこかと見極めているところだが、あえて挙げるとすると、地球科学・ライフサイエンス・医療・製造分野あたりになる」

    アプリケーション・対象マーケット

    対象とするクラスタ市場

    -- 日本市場に参入するとのことだが

    「日本の販売パートナーについては今後発表していくことになるが、もう3社を顧客として持っている。価格はまだ米ドルでしか明らかにしていないが、DS-96が10~12万ドル、DT-12が1~1.5万ドル。Desksideの方はボードを2/4/6枚搭載することも可能で、その場合、価格はDT-12とDS-96の間を取ることになる」

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