【レポート】

WCAG - 情報アクセシビリティ、JISとW3Cの協調は

1 WCAG 2.0、W3C勧告の動きにJIS X 8341-3は

    石田優子  [2005/05/23]

    「情報アクセシビリティ国際標準化セミナー2005 -ウェッブコンテンツ・アクセシビリティガイドライン- JIS X 8341-3とW3C WCAG2.0の協調」が、日本規格協会 情報技術標準化推進センター 情報アクセシビリティ国際標準化調査研究委員会主催のもと東京都千代田区の東京商工会議所で開催された。

    まず「JIS X 8341-3 と国際協調」と題して、INSTAC(情報技術標準化研究センター)のウェブアクセシビリティ国際規格調査研究部会主査の渡辺隆行東京女子大学教授より、JIS X 8341-3とW3Cが現在ワーキングドラフトとして公開しているWCAG(ウェブコンテンツアクセシビリティガイドライン)2.0や国際標準化機構(ISO)との関連性などの説明があった。

    JIS X 8341-3はISO/IEC Guide 71を基本規格としている。渡辺教授によれば、このGuide 71は1998年に日本が提案、2001年にISOに認定されたのガイドラインで、それを翻訳し、JIS規格化したものが2003年のJIS Z 8071「高齢者及び障害のある人々のニーズに対応した 規格作成配慮指針」である。また、このJIS Z 8071に沿って策定されたJISの中に、JIS X 8341-1(共通指針)、JIS X 8341-2(情報処理機器)、および、前述のJIS X 8341-3(ウェブコンテンツ)がある、とされる。

    国内で使用されるJIS X 8341-3は、今後、国際的にはWCAG 2.0が事実上の標準となる、との見通しから、WCAG 1.0を参考とし、当時のワーキングドラフト段階のWCAG 2.0を一部先取りするようなかたちで策定された、と同氏。

    また、ウェブアクセシビリティ国際規格調査研究部会はWCAGを策定中のワーキンググループと協調しており、日本語など漢字文化圏で顕著となる問題を提起したりしている、とする。

    その例としては、日本語の場合、「ー」「―」「-」など、見た目には間違いに気づきにくく、あるいは察することが容易であっても、音声での読み上げを実行すると意味を成さなくなる文字があることを挙げた。そのほか、「聾」のように画数が多い文字は、フォントサイズを大きくするか、読みやすいフォントを使わないと読みにくい、縦書きを実現するために1文字ごとに改行を挿入したサイトでは、音声読み上げソフトが正しく動作しない、「三田」を「みた」と読むのか「さんだ」と読むのかといった、読み方が異なる文字の場合は、何らかの方法で読み方を付与する必要がある、などの問題が列挙された。

    WCAG 2.0へのJIS X 8341-3の対応としては、このような日本などの漢字文化圏でも適用できること、支援技術のレベルが異なる(低い)言語圏でも適用できることが大事である、と強調された。

    WCAG 2.0は技術に依存せず、言語や文化を超えた普遍的な要点を述べており、言語や技術レベルに依存する部分は技術文書に記載される。この技術文書は国ごとに異なっていてもよいので、JIS X 8341-3の日本語固有の問題や、その6章の情報アクセシビリティの確保・向上に関する全体的要件のようなプロセスは、日本用の技術文書で対応できるとしている。

    WCAG 2.0は今年中にW3Cの勧告となることを目指しており、渡辺教授は、この勧告とISOの動きを考慮した上でJIS X 8341-3のアップデート作業を開始し、これにより、JIS X 8341-3を適用しているウェブサイトがWCAG 2.0にも適用できるように、またその逆もできるようにしたいと、展望を語った。

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