【レポート】

WinHEC 2005 - Longhornが切り開く世界 - モバイル編、PCは1人に1台へ

1 モバイルノートのライバルは携帯電話

 
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パソコンは書斎に1台から、書斎とリビングルームに1台ずつへと変化している。PC関連企業にとって、家庭内にさらに多くのパソコンを入れるには、1人1台という環境が望ましい。Microsoftは、その役割を担うのがタブレットPCの進化型となるモバイルPCだと考えている。

クライアント編にも登場したGartnerの調査によると、2004年から2008年にかけて世界のPC出荷数の伸びは平均7%程度と予想されている。その内訳を見ると、デスクトップの平均4%の伸びに対して、ノートPCが平均15%と圧倒的な伸びを示している。

Gatnerによる2004年から2008年の世界PC出荷台数の変化予測

IDCによるノートPC市場のシェア予測

Microsoftが考える2004年から2008年以降へのノートPC市場の変化。ウルトラモバイル機はよりパーソナルなPCを実現する

だが、ノートPCにはGartnerの予測以上に成長する可能性があると同社は見ている。IDCの2004年から2008年までのノートPCに関する報告書を参考にすると、製品タイプによる2004年のノートPC市場のシェアは、ゲーマーを中心に普及しているデスクトップ代替用途のデスクノート(14~17"スクリーン、重量3.2kg~5.4kg)が30%、軽量・薄型(2スピンドル、14~15"スクリーン、重量1.8~3.2kg)が63%、ポータブル(Ultra-Portable: 1または2スピンドル、10"~12"スクリーン、重量0.9~1.8kg)が7%となっている。それが2004年にはデスクノートが19%、薄型・軽量が63%、ポータブルが17%と変化し、さらにモバイル(Ultra-Mobile: 0または1スピンドル、5"~8"スクリーン、重量0.9kg以下)という新カテゴリーが現れる(1%)。そして2008年はデスクノート10%、薄型・軽量56%、ポータブル31%、モバイル3%と予測している。

この数字を見る限りでは、ノートPC市場は現在の主流である薄型・軽量が中心であり続ける。だが、シェアが低くとも最も高い伸び率を示しているのはポータブルであり、Microsoftがもっとも重視しているのが、このポータブルとモバイルである。これらに対する取り組みを工夫すれば、ノートPC市場のパイを大きく拡げる牽引車になると期待している。

モバイルノートのライバルは携帯電話

Windows Client担当のBill Mitchell氏が、モバイルPCの比較対象として挙げたのが携帯電話である。PC市場で考えると、ノートPCの年間5000万台の出荷台数は評価されているが、携帯電話の年間7億台の出荷台数には遠く及ばない。「モバイル用途のノートPCは、携帯電話のように人々から受け入れられるようになるべきだ」と同氏。それが"1人1台のパソコン"というコンセプトだ。

基調講演でBill Gates会長がウルトラモバイルPCを紹介したが、その条件は「どこにでも持ち歩けるフォームファクタ」「自然な操作」「一日中使用できるバッテリーライフ」「常時接続(例:3G対応)」「500~800ドルの求めやすい価格」などである。もちろんフルPC機能を備える。このスペックならば携帯電話、特にスマートフォンの代わりとして、人々が持ち歩くようになりそうだ。Microsoftは出荷台数にして年間1億台以上を期待している。だが、本当に2008年頃に、そのようなモバイルPCが登場するのだろうか?

「人々のノートPCに対する意識を変える必要があるし、大きな障害も存在する。小さな歩みの積み重ねになるだろう」とMitchell氏。乗り越えなければならない壁として、同氏が挙げたのは「フォームファクタ」「バッテリーライフ」「(機能・情報への)素早いアクセス」の3点である。

2007年頃のポータブル機のプロトタイプを持つBill Mitchell氏

ディスプレイ裏の支えをスライドさせるだけでタブレットとノートPCスタイルを切り換えられる

ウルトラモバイル機のモックアップを手にするMitchell氏

Longhornの登場が即ウルトラモバイルPCの実現につながるわけではないが、同OSにはMitchell氏の言う小さな歩みがちりばめられている。例えば、ブート、そしてサスペンドやハイバネーションからの復帰の高速化である。

信頼性が改善されたレジューム、LDDM(Longhorn Device Driver Model)、ダイレクトメディア・アクセスなどLonghornのコア技術に、BIOSの高速化、HDDの高速化/ハイブリッドHDの利用、CPUの高速化などハードウエアの改善を組み合わせて、電源オンからのコールドブートで10~15秒、ハイバネーションから5~10秒、サスペンドから1~2秒の復帰を可能にしようとしている。使いたいときにすぐに使えてこそ、情報へのアクセスの高速化につながる。

さらに高速な情報へのアクセスをサポートするのが、補助ディスプレイ技術「Auxiliary」である。これならばノートPCをカバンから抜き出すだけで情報を確認できる。また、Mitchell氏の講演では携帯電話を使って、無線経由でノートPC内のファイルにアクセスするというデモも行われた。この方法ならば、大きなノートPCを取り出す必要はない。同社では携帯電話のほか、腕時計を使った情報アクセスも検討しているという。

Longhornで改善されるモバイル機能の数々

Longhorn世代のノートPCで実現可能な高速復帰のための技術

ノートPC上に設けられたAuxiliaryディスプレイ

このようなノートPCの進化は、正確には「ノートPC→タブレットPC→ウルトラモバイルPC」であるとMicrosoftは考えている。つまり、ノートPCのデザインが小さくなり、そして価格が下落するだけではなく、タブレットPCに見られるモバイルPCの機能的な進化も必須であるとしている。

Mitchell氏の講演では、タブレットPCユーザーに無料で提供している機能強化パッケージ「Experience Pack for Tablet PC」のデモが披露されたほか、開発中のデュアルモード・デジタイザーのデモが行われた。デュアルモード・デジタイザーは、ペン入力とタッチの両方を利用できる。ボタンを押す、ウィンドウを縮小・拡大するという程度の作業ならば、わざわざペンを取り出さなくても指先だけで操作できる。

無線経由で携帯電話を使ってPC内のPowerPointファイルを表示。Auxiliary Displayよりも手軽に情報や機能にアクセスできる

Experience Pack for Tablet PCのメディア転送ツール。PC内のコンテンツを計画的にタブレットPCに転送

デュアルモード・デジタイザーのデモ。タッチ操作でウインドウのサイズを変化させている

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インデックス

目次
(1) モバイルノートのライバルは携帯電話
(2) 接続性では失敗だったWindows XP

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