【レポート】

WinHEC 2005 - ノートPCのバッテリー駆動時間を10%延長するハイブリッドHDD

    Yoichi Yamashita  [2005/04/28]

    現在主流のハードディスク(HDD)を搭載するオーディオプレイヤーの多くは、HDDのほかメモリを内蔵している。消費電力の大きいHDDではなく、メモリから音楽ファイルを再生することで、バッテリ駆動時間を伸ばせるだけではなく、耐久性が向上するというメリットがある。Microsoftは、このHDDオーディオプレイヤーと同様の仕組みをノートPC向けHDDに組み込もうとしている。

    Windows Hardware Innovation Groupのシニアプログラム・マネージャー、Jack Creasey氏によると、ディスクドライブはモバイルシステムの消費電力の10~15%を消費するという。高速で回転するディスクは停止状態からフル回転まで2~5秒の時間がかかり、シークや回転のレイテンシがシステム性能のボトルネックになっている。また、ヘッドの動作中に耐久性が著しく低下するという問題もある。

    そこで同社は、HDDに不揮発性フラッシュメモリ(NVキャッシュ)を搭載したHybrid Hard Drive(以下ハイブリッドHD)を検討している。

    NVキャッシュモードでは、Windowsのメモリ管理機能がNVキャッシュにデータを書き込む(または読み込む)。その間、磁気ディスクは回転していない。NVキャッシュがいっぱいになるとディスクを回転させ、磁気ドライブに書き込みデータを移して、NVキャッシュを解放する。ディスクが回転しなければ、HDDの消費電力を最大90%節約できるそうだ。ディスクの回転時間が少なければ、モバイルシステムの熱対策にもつながる。

    特にLonghornの先進的なメモリ管理機能では、読み込みデータのキャッシュを最適化できるほか、NVキャッシュにLBAを記録しブート/レジュームの高速化を実現できる。これらの機能はベータ2から組み込まれるそうだ。LonghornとハイブリッドHDDの組み合わせを利用すると、ノートPCのバッテリー駆動時間を10%程度延長できるという。

    それでは、どの程度のメモリを搭載するべきなのか?

    同社が行ったWindows XPベースのPCによる統計では、10分間の間隔では93%のデータの書き込みが64MB未満だった。そこで内蔵メモリは最低64MB、128MBを推奨している。

    10分間のインターバルで、ほぼ全てのデータ書き込みが64MB以内に収まる

    ハイブリッドHDDのセッションでは、ExcelやPowerPointの作業を繰り返して、現行のHDDとLonghorn/ハイブリッドHDD(128MB内蔵)の組み合わせで、その電力消費を比較するデモが披露された。ディスクが回転し始めると青いライトが点灯するようになっており、現行のHDDはほぼ切れ目なしにライトが明滅していた。一方、ハイブリッドHDDは全く光らず、現行HDDと同じ作業をこなしていた。実はこのデモではライトが壊れていた可能性があり、正確ではないのだが、通常10分~15分でしばらくライトが明滅するそうだ。

    ハイブリッドHDDのコンセプトデモを披露するCreasey氏。中央が現行のHDD搭載機で青い光がついている。左がハイブリッドHDDのエミュレータ

    通常のHDDでは、ExcelやPPTなどの作業では常にディスクが回転し、電力を消費し続けている

    ハードディスクメーカーでは、メモリメーカーでもあるSamsung ElectronicsがハイブリッドHDDに積極的で、すでにハイブリッドHDDのコンセプトを示すエミュレータを開発している。Samsungの発表によると、2006年後半にハイブリッドHDDを搭載したノートPCの量産出荷を見込んでいる。また、Microsoftによると、日立やSeagateもATAコマンドセット仕様を同社と共に開発している。

    Q&Aでは、フラッシュ内蔵によるコスト増、またフラッシュの読み書きスピードの制限を指摘する声があった。コストに関しては、長時間バッテリー駆動を重視したモバイルシステムを求める人の予算内に収められるとしたほか、速度については「モバイルシステム全体のパフォーマンスを考えると現行の技術でも充分なスピードを備えている」とCreasey氏は答えていた。

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