【レポート】
携帯型MP3プレイヤーを世界で初めて開発、市場投入した国である韓国は、ブロードバンドとWebサイトの発達とともに、さまざまな形でMP3が活用され、プレイヤーも数多く出回っている。現在、韓国でのMP3プレイヤーの普及台数は約400~500万台。人口比率で言うと、約10人に1人がMP3プレイヤーを持っていることになる。一般的な使い方としては、日本と同じように音楽鑑賞が主だが、このほか学習用に使われることも多い。語学学習サイトなどでダウンロードした講義音源や、録音した外国語のラジオ放送を聴くといった利用も韓国ではオーソドックスな方法だ。
韓国のオンライン音楽とオフライン音楽市場比較表
| 2000年 | 2001年 | 2002年 | 2003年 | 2004年 | |
|---|---|---|---|---|---|
| オフライン音楽 | 4104 | 3733 | 2861 | 1833 | 1000 |
| オンライン音楽 | 450 | 911 | 1345 | 1850 | 2500 |
MP3プレイヤーのユーザー層は10~30代が大半を占めており、とくに購買力のある社会人の所持率が多い。若い層を中心とした市場であるだけに、メーカーでも彼らの心をつかもうと凝ったデザインの端末を投入したり、若者の感性にマッチした広告を展開するなどの工夫をしている。市場がある程度拡大した現在は、買い替え需要が見込まれる時期であるため、市場での生き残り競争は激化の一途をたどる一方だ。
韓国にMP3プレイヤーが登場したのは、1998年のこと。Seahan Information Systems (現在、MPman.comに社名を変更)が持ち運べるMP3プレイヤー「MPman」を発売したのが最初だ。テープやCDのポータブルプレイヤーよりも小さく、メディアの入れ替えなどの手間のないMP3プレイヤーの登場は、ブロードバンド環境の整備とあいまって流行となり、認知度・人気ともに急上昇。韓国のMP3市場を開拓する原動力となった。これでMP3へ可能性を見出したことで、数百以上のメーカが設立され、次々とMP3プレイヤーを投入。MP3はあっという間に普及した。
そんな韓国のMP3プレイヤーの代表ともいえるのが、日本でも販売されている「iRiver」だ。現在、韓国国内でのシェアは約50~60%とトップで、日本や中華圏を始めとしたアジアはもちろん、アメリカ、ヨーロッパにも販路を拡大している。同製品メーカーReignComは、2004年に前出のMPman.comを子会社化している。
「iRiverは、ReignComの子会社でありブランド名。iはInternetのiで、Riverはご存知の通り直訳すれば川。多くの文明は川のある場所で始まります。iRiverには、インターネット文明の構築・発信といった意味が込められています」とは、ReignComの広報室課長であるキム・ドンファン氏の言葉。「重要販売拠点のアメリカでは、Apple ComputerのiPodに続く2位のシェアをほこり、フラッシュタイプにいたっては1位の座を獲得しています。また、日本やヨーロッパ市場においてもiPodに続く2位となっており、いつかはiPodを抜きたい」(同氏)と意気込む気鋭の企業だ。
そんな人気をほこるiRiverだが、MP3プレイヤーのメーカーとしては後発の方に属する。1999年に設立された同社は、当初半導体ソリューションを行う企業だった。そのノウハウを活かしてMP3プレイヤーやCDプレイヤーの製造を始めたのが2000年。アメリカのSONICblue(Rio)にOEMを行ったのが最初だ。自社ブランド「iRiver」が登場するのは、2002年と約3年前のこととなる。この時発売した「プリズム」シリーズのヒットにより、「iRiver」のブランド名が韓国中に知られることとなった。
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韓国のMP3プレイヤーにデザイン革命を起こした、と評されるiRiverの「プリズム」シリーズ「iFP-100」。大きさ約31×25×82mm、バッテリを除いた重さは32gと軽量で、首からぶら下げて使えるようになっている |
プリズムが画期的だった点は、そのデザインに尽きる。首に提げられるコンパクトな三角柱という形状は、それまで機械的な印象があった四角形のMP3プレイヤーのイメージを一新。電気製品というより、一つのファッションとして楽しめるスタイルが若者からの支持を受け、当時100万台を販売した。韓国のMP3プレイヤーは、三角柱や四角柱のコンパクトなものが多く、それはこのプリズムによる影響が大きい。
「三角柱という形に、バッテリや操作部などを同時に組み込むというのは、技術的に決して易しいものではありません。しかしMP3の聞き手の多くが10~30代ということを考え、彼らの感性にうったえるデザインに、あくまでこだわりました」と、キム・ドンファン氏が述べるように、韓国で市場を拡大させる原動力は、デザイン、そしてブランドであり、それは現在でも変わりはない。
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