【レポート】

文化庁メディア芸術祭 - 海外の目、海外を見る目

2 韓国発の秀作の数々

    和泉真葵  [2005/03/04]

    韓国の作品を知ってもらいたい 韓国文化コンテンツ秀作展

    「韓国文化コンテンツ秀作展」は恵比寿ガーデンプレイス内のザ・ガーデンルームで、2月25日から3月2日の1週間にわたって開催された。

    展覧会を主催するのはKOCCA(韓国文化コンテンツ振興院)。韓国内の文化コンテンツ企業の作品制作や輸出を支援するだけでなく、外国の文化コンテンツ企業との共同制作や相互交流をサポートするなど、文化コンテンツ産業の基盤構築に力を注いでいる。今回の展示には「この展覧会を通じて韓国の文化コンテンツのことをもっと知ってもらえれば」という思いが込められている。

    会場ではアニメーション、漫画、キャラクター、音楽、ゲーム、映画、放送、そしてモバイルといった各コーナーにおいて、国内海外での受賞作品が紹介されていた。中央に配置された「冬ソナ」こと「冬のソナタ」のコーナーには、ファンと見受けられる人々が訪れ、実際に撮影に使われた台本の展示や、撮影の裏話などを出演者が話す韓国限定番組に見入っていた。

    実際に撮影に使われた台本や韓国限定販売のグッズ。「ほしい!」との声もあったそうだが、残念ながら非売品

    各分野での世界的な成功例を紹介

    世界中の言語で書かれた「ラグナロク」

    会場に行くと、まず「ラグナロク」をはじめとするオンラインゲームのサンプルを手渡される。日本最大規模のオンラインRPG「ラグナロク」のブームは、韓国での原作漫画のヒットから始まった。これまでの日本のファンタジー漫画に、北欧神話と韓国情緒を組み合わせたような漫画「ラグナロク」は各国語に訳され、世界中で販売されている。一方で、出版元であるDaiwon CIは、1999年にゲーム業界に進出し、2001年に任天堂と独占契約を結んで、ゲームソフトの開発を展開するなど、海外との共同開発、市場開発を積極的に進めているという。

    展示は漫画のコーナーとゲームのコーナーに分かれている。漫画のコーナーでは、世界各国版「ラグナロク」がずらりと並んでいる。ドイツ、フランス、マレーシア、それに日本……あらゆる言語で出版されている「ラグナロク」を、椅子に座ってじっくりと見ることができた。日本語版の装丁は、一見普通の月刊コミック誌だが、中身はすべて「ラグナロク」。冒頭には著者のリ・ミョンジン氏のインタビューや、ゲームの世界大会のレポートも掲載されている。ゲームのコーナーにはパソコン2台が置いてあり、ゲームを体験できるようになっていた。

    「ラグナロク」に限らず、専用機器を使うよりはインターネットでゲームを楽しむことが、韓国ではすでに一般化されているという。韓国ではインターネットに接続されたパソコンが家庭にあるのは、当たり前のことになっている。日本では役所にいかないと受け取れないような公的書類の類も、オンラインで取得できる。それだけネット社会が定着しているのだ。会場を案内してくれたUNISESS企画本部代理キム・テフン氏は言う。「韓国ではゲームに限らず、様々なジャンルにおいて、オンラインで提供されるものが人気を博すようになっています。たとえば、ここに展示されている3Dアニメの「ODD Family」も、インターネット放送で人気が出ました。

    また、世界で認められることによって国内でも意識され始め、認知度を高めたのが映画産業だ。ベニス映画祭監督賞を受賞したキム・キドク監督の「空き家」、カンヌ映画祭グランプリを受賞したパク・チャヌク監督の「オールドボーイ」など、映画祭で高い評価を受ける作品が相次いで韓国で生まれている。出展されていたのは、2004年11月に日本で公開された映画「TUBE」。制作会社のTUBE ENTERTAINMENTは、映画を中心にしたクオリティーを保障できるパワーブランドを作ることを目標にしている。2005年にも「韓国アニメーションの新しい道を切り開く」という作品「アーチとシパック」の封切を計画しているという。

    国を挙げての開発、今後の展開にも期待

    おちゃめな顔のプッカちゃん

    世界中の民族衣装に身を包んだプッカちゃんがいっぱい

    こうした韓国文化コンテンツの勢いの根底には、政府の制作支援がある。国も企業も、金銭、時間、労力の投資をおしまず、ヒット作を生み出していく。紹介された作品の中には日本での認知度がまだ高くないものも多く見受けられた。世界60カ国でキャラクター商品を販売しているブズの人気商品「プッカ」の展示コーナーでは、来場者が「韓国の製品だったんだね」などと意外そうに話していた。また、第11回ジェラルメール国際ファンタスティック映画祭アニメーション作品コンペ部門の最優秀作品賞受賞アニメーション作品で、日本での公開企画中の「Wonderful Days」なども出展されており、来場者達はこれからの韓国発コンテンツの展開に期待をふくらませていたようだ。

    来場者の一人に話しかけてみると「大学の卒論のために来たのですが、テーマであるアニメーション以外のことについても知ることができて、韓国への興味が広がりました」と話してくれた。

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