【レポート】
3月2日から4日、東京都調布市の電気通信大学で開催された情報処理学会第67回全国大会では、情報処理技術をけん引する各企業、大学等の多数の研究が発表されたが、ここのところ急速に活用が進む非接触ICタグ「RFID」についても、単独で1セッション枠が設けられた。本稿では、当日のセッションの中から、NTTデータとNEC通信システムそれぞれのRFIDの利用に関する研究をレポートしたい。
まず、NTTデータが行った2つの研究発表だ。
1つめの講演、「異種RFIDシステムにおけるプラットフォーム連携モデルの提案」は、仕様の異なるシステム上で取り扱われている「物」を自システムで取り扱うことのできる仕組みの確立を目的としたものだ。本研究では、「RFIDが貼付された物品の情報が大量に存在」し、それがネットワーク上の「複数のサーバ」上で別々に管理されていることを想定している。
このような、異なる標準や独自仕様で構築されたシステムが連携する場合に、ID体系が異なるために単純に連携できない、情報管理サーバが分散化しているためどこに必要な情報があるかわからない、管理されるデータ形式が異なる、といった多くの問題に直面することになるのは、なにもRFIDを使うシステムに限った話ではないだろう。
そこで、NTTデータでは、これを解決するためのシステムのモデルとして、「プラットフォーム連携モデル」を提案する。このモデルは、システムを「既存センタ」「連携センタ」「連携クライアント」「既存個別」の4つのプラットフォームレイヤに分けて構築することで、前記の課題を解決しようというものだ。特に、「連携センタ」のレイヤでは、実IDと異種プラットフォーム上のIDを連携させるため、「連携ID」の対応づけを行う「ID連携機能」、データの蓄積場所等の情報収集とデータ形式の変換を行う「DB連携機能」を提供し、既存システムの変更を最小限にとどめつつ、異なるシステム間の連携を実現するという。
今回の発表ではあくまでもモデルの提案と、具体的なシステム構成例の解説に留まったが、今後の課題として、機能面・性能面の検証を行い、モデルの有効性を検証していくということだ。
2つめは、「電子タグプラットフォーム判別技術に関する提案」と題した、異種プラットフォーム間の情報相互運用を行うにあたって必要となる、プラットフォーム属性情報の定義方法についての講演だった。
ここで課題となるのは、交換が必要となる属性情報の抽出と、その記述・提示・検証の方法だ。まず、「関連プレイヤ数、関連システム数の増加によって連携の幅が広がる」という視点から、「同一企業・団体内の連携」「同一業界内の連携」「業界外の連携」の3つのケースを想定し、そこで起きる可能性のある不具合が予想される。「インタフェースやプロトコルが異なるため連携できない」「連携先から受け取った情報の解釈を誤る」といった不具合の他、連携先への開示可否を判断するための情報量制御なども必要になる、というのが同社の主張だ。
最終的に、抽出されるべきプラットフォーム属性情報としては、プラットフォーム種別や所属グループ、利用分野、利用目的、ロケールといった項目が挙げられた。また、この属性情報の交換・検証のための実装としては、第三者機関が発行する「属性証明書(AC)」の利用が想定されており、こちらの研究も、今後はプロトタイプとして具体的なシステムを開発し、実証実験を行っていく予定とのことだ。
続くNEC通信システムからは、オフィスでRFIDを活用するための研究が報告された。
1つめの講演は、RFIDを用いたオフィスの業務の効率化をテーマとした、システムの概念設計的な内容だ。現在、一般的なRFIDの利用分野の筆頭である物流・流通分野では、あくまでもRFIDを限定された目的に使用しており、その処理も一律である。しかし、オフィス業務は人が関わる多様な業務であり、細かい業務毎にアプリケーションを導入することは現実的でない。そこで、この多様な用途にRFIDを適用するためにはどうすればよいか、というのが、この提案の骨子である。
同社の提案では、モノに対してはRFIDを、人や場所に対してはRFIDリーダを対応づけることで、その組み合わせによってアプリケーションが選択される構成をとる。例えば、図書に貼られたRFIDを社員が自分のRFIDリーダで検出すると、ネットワーク上に置かれたRFIDサーバが、「図書×人」という組み合わせから自動的に「図書管理 貸し出し」のアプリケーションを起動する。一方、同じ図書を書架に置かれたRFIDリーダで検出すれば、「図書×場所」の組み合わせから「図書管理 返却」が選択される。この仕組みによって、多様な業務を各アプリケーションにスムーズに結びつけられるわけだ。また、この仕組みでは、担当者の変更や業務フローの変更にも柔軟に対応できるという。
NEC通信システムでは、回覧板、図書管理、承認管理といったシステムを実際にこの仕組みを用いて開発し、オフィス内で運用実験を行っているという。RFIDリーダを正当なユーザ以外に使わせないための認証機構や、権限制御といったセキュリティ面での改善は必要と思われるが、RFIDの活用方法が具体的かつ明確に提示されていた点で、今後の進展に期待が持てる内容だったといえるだろう。
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