【レポート】
日本オラクルは2月24日、25日の2日間、有楽町の東京国際フォーラムで「Oracle 10g World」を開催した。会場では様々なカンファレンスに多くの参加者が集まったが、本稿ではその中から、プロセッサベンダとしてライバル同士のインテルとAMD、それぞれのセッションの模様をレポートしたい。「Oracle 10g World」内でのセッションらしく、両社ともオラクルを実行するプラットフォームとしての優位性を主題に掲げ、64-bit化やマルチコア化によるメリットなど、最新の技術動向を含む内容となった。
現在、インテルからはインテル Xeon プロセッサとインテル Itanium 2 プロセッサという2系統のサーバ向け64-bitプロセッサがラインナップされている。同一メーカーのプロセッサが市場的にも重なるレンジに向けて出荷されていることでわかりにくくなってはいるが、64-bit版Xeonが基本的にx86プロセッサの拡張なのに対して、Itanium 2はEPIC(Explicitly Parallel Instruction Computing)と呼ばれる全く新しいアーキテクチャのプロセッサだ。Itanium 2では、最大9MBのL3キャッシュや、64-bitプラットフォームならではの大容量メモリのサポートにより、Oracleデータベースのパフォーマンス、同時接続数などを大幅に向上しているという。また、オラクルのItanium 2向け製品群は、インテルから提供される開発ツール、チューニングツールによって最適化されており、特にインテルコンパイラのPGO(プロファイルに基づく最適化)機能では、実行ファイルの性能を15%~20%向上できるという。Oracle 10gのチューニングや検証作業、製品設計等にインテルのエンジニアが協力していることも、オラクル製品のプラットフォームとして、インテルが優位性をアピールする大きなポイントである。
対するAMDのAMD Opteronプロセッサは、主にインテルのXeonと競合するレンジの製品だ。低コストで64-bit化のメリットを得られる上、既存の32-bitアプリケーションの実行でも性能が犠牲にならないことから、既にIA-32系のプラットフォームで稼働中のOracleデータベースのスケールアップでは、Itanium 2よりも現実的な選択肢となるだろう。Xeonとの比較では、Xeonがクロック周波数を上げることで性能向上を図ってきたのに対し、Opteronは1クロックあたりの処理量を増やしてパフォーマンスを出す設計になっている点が大きく異なるという。このため、消費電力や熱の面でOpteronは有利であり、1Uサイズやブレードサーバなど、集積度の高いシステムには特に向いているとする。また、CPU間を接続する「HyperTransport」テクノロジによるI/Oボトルネックの排除や、プロセッサレベルでバッファオーバーフロー等の攻撃を防ぐ「EVP(Enhanced Virus Protection)」など、性能、機能面でも優れた点は多く、HPやIBM、Sunなどが積極的にOpteronを採用したサーバ製品を出荷している。
インテルとAMD、x86アーキテクチャを牽引してきた両社は、現在それぞれにプロセッサの「デュアルコア」化を急いでいる。デュアルコアは、1つのプロセッサに2つのプロセッサコアを搭載し、マルチプロセッサと同等の性能を引き出そうとするものだ。熱と消費電力を製造プロセスの微細化によって抑えることも物理的な限界に達しており、クロックアップによるプロセッサの性能向上も現実的でなくなっている。そのため、複数のプロセッサコアの能力で、ひとつのプロセッサの性能を向上させるデュアルコア、マルチコアが、今後のプロセッサ開発の主題となるのだ。
まず、AMDは、今年半ばにはデュアルコア化されたOpteronを出荷したいとの考えだ。Opteronは当初から第2コアの追加を想定した設計がなされている。デュアルコア化されたOpteronも、ソケットは既存の940ピン互換、消費電力も95W程度に抑えられるため、現在シングルコア向けに設計されたシステムを、デュアルコアに容易にアップグレードできるという。
インテルのデュアルコア化は、次世代Itanium「Montecito」で実現される。懸案の消費電力については、「Foxton」テクノロジの採用によりパフォーマンスを落とさずに省電力化する工夫がなされているほか、「DBS (Demand Base Switching)」によってCPU負荷に応じた電力制御を行うことで、最大消費電力を130Wに抑えている。なお、Montecitoがリリースされた後、Xeonも順次デュアルコア化される予定だという。
プロセッサのデュアルコア化によってパフォーマンスが向上するのは当然だが、それ以上にユーザにとって大きなメリットとなるのが、ライセンスコストの低減だ。既にマイクロソフトは、デュアルコアシステムに対するCPUライセンスの価格をシングルコアと同額にすることを発表している。つまり、従来4-wayで実現されていたシステムを、2-wayのデュアルコアプロセッサに移行することで、ライセンスコストを半分に抑えられる可能性があるわけだ。BEAなどは、デュアルコアに対しシングルコアの135%のライセンス料金を設定しているとのことだが、それでもパフォーマンスに対するコスト比は大幅に低減できるだろう。ただし残念ながら、オラクルは今のところデュアルコアは2 CPUとしてカウントするライセンスを採用している。このため、シングルコアのCPUをデュアルコアにアップグレードした場合など、ライセンスコストが倍になってしまうこともあり得る。現在、インテル、AMD共にこの問題は認識しており、オラクルとも意見交換を行っているという。ユーザとしては、今後、デュアルコアに対して導入しやすいライセンス体系が設定されるよう、大いに期待したいところだ。
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