【レポート】

デジタル放送は障害者・高齢者の助けとなるか

1 デジタル放送対応受信機は字幕デコーダーを標準搭載

    石田優子  [2005/03/02]

    東京都四ツ谷の弘済会館で、日本障害者リハビリテーション協会主催の「障害者のための情報保障セミナー デジタルテレビ放送の情報アクセス」が開催された。同セミナーでは、英国の王立聴覚障害者研究所(RNID)の字幕放送キャンペーン責任者で、欧州議会での勧告の採択においてキーパーソン的役割を果たしたマーク・ホダ氏と技術部長のマーク・ダウンズ氏が招かれ、英国でのデジタル放送およびテレビ放送についての全体的な取り組みなどを説明したほか、この二人を交えての意見交換として、日本の各障害者団体の代表者らが、日本でのテレビ放送による情報保障やインターネットの活用、アクセスの向上などについて討議した。

    テレビ放送による情報保障やインターネットの活用、アクセスの向上などについて討議された

    総務省情報通信政策局情報通信利用促進課長の飯島信也氏

    第1部では、まず「情報通信政策とアクセシビリティ」と題して、総務省情報通信政策局情報通信利用促進課長の飯島信也氏から、インターネットを含む情報通信とデジタルデバイドの現状、情報通信政策の概要などについて、以下のような説明があった。

    インターネットの普及率は、一般世帯で、1998年の11%から2004年の88.1%と急速に伸びており、携帯電話のインターネット利用も2004年では6973万契約。その一方で、高齢者や障害者のインターネットの利用率は低く、デジタルデバイドの存在が問題となっている。特に高齢者の日本人の人口に対する比率は上昇し続けており、現在65歳以上の高齢者は5人に1人、2015年には4人に1人となると予測されているという。これを受けて、政府のe-Japan重点計画2004では、年齢、身体的な条件の克服が明記され、総務省ではユビキタスネット社会の実現を目指すu-Japan構想を公表している。

    テレビのアクセシビリティ確保に向けた取り組みとしては、1997年に聴覚障害者向けの字幕番組、視覚障害者向けの解説番組の放送努力義務の創設など放送法の一部改正が行われ、字幕番組、解説番組、手話番組の制作に対し、その制作費の2分の1を上限として助成がなされている、と飯島氏。これにより、字幕付与可能な番組の総放送時間(ニュース、スポーツ中継などの生番組、外国語の番組、音楽番組など以外)に占める字幕放送時間は、2003年度NHK(総合テレビ)で92.4%、民放キー5局平均で38.7%と伸びつつあるという。

    また、放送のデジタル化の動きとしては、2003年12月に関東、中京、近畿の一部地域で地上デジタル放送が開始され、2006年末までに全国主要都市で地上デジタル放送が実施される見込みだ。各社のデジタル放送対応受信機では、字幕デコーダーを標準搭載し、例えば、日本ビクターでは、話速変換技術(ゆっくり機能)や反復聴取技術(聞き直し機能)、聞こえやすい大きさの音に補正する「帯域分割音声圧縮技術(はっきり機能)を搭載する聴取補助システム「きき楽」を導入するなど、聴覚障害者、および高齢者らに対する配慮がされているという。

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