【レポート】
2月11~13日、東京お台場の日本科学未来館で、「未来館でQRIO(キュリオ)の技術に触れよう!」と題されたイベントが開催された。これは、「人とロボットの共存」というテーマでソニーが開発した二足歩行ロボット「QRIO」の最新の技術を広く一般の人たちに体験してもらうおうと、同社の協力の下、日本科学未来館が開催したもの。
会場は1階のシンボルゾーンと7階のイノベーションホールの2カ所で、1階のシンボルゾーンでは、QRIOによるダンスパフォーマンスやアスレチック、パターゴルフのデモンストレーションが行われた。また、同会場内には、QRIOの滑らかな動作を実現させているISA(=Intelligent Servo Actuator)の部品の実物や歴代の試作機が展示されていたほか、QRIOに搭載されている最先端技術を紹介したパネル展示、開発における実験風景を撮影したビデオ上映なども行われていた。
一方、7階のイノベーションホールでは、「QRIOが家族になっている未来」を体験できるデモンストレーションが開催された。参加するには事前に予約が必要だったが、QRIOとの触れ合いが体験できるカリキュラムが用意されていた。
現在、開発途上のQRIOであるが、今回のイベントで紹介された新技術は、基本的には昨年12月18~19日に銀座ソニービルで開催されたイベント「QRIOテクノロジーパーク2004」で紹介された内容と同等のもので、「3次元認識技術」と「e-Locomo(自然歩容)」の2つであった。
まず、1階シンボルゾーンでは、「3次元認識技術」を搭載したことにより可能となったデモンストレーションとして、QRIOによるアスレチックとパターゴルフが披露された。
従来のQRIOは2次元空間の画像処理しか行えなかったため、階段を上る際も、あらかじめ段差や距離などをインプットしておく必要があったが、3次元空間の処理を行えるようになったことで、例えば、アスレチックでは、QURIO自身がリアルタイムに目の前にある障害物の位置や高さを認識し、横歩きで障害物の間をすり抜けたり、目の前にある階段の段差を自分で測り、乗り越えたりできるようになった。
小学生を中心に大勢の来館者が見守る中、実際にQRIOがランドマークに導かれながら、目の前にあるタイヤなどの障害物を避け、階段を上り、その上にあるゴールを目指す姿が披露された。途中、担当員の助けは借りたもののどうにか成功。また、QRIOが実際に見ている画像と画像処理が行われている様子がフィールド脇に設置された大型画面にリアルタイム表示されていた。
同技術を具現化するもうひとつのデモンストレーションとして、パターゴルフも披露された。
これはQRIOがパターを使ってゴルフボールを打ち、ホールにボールを入れるというもの。一見、簡単そうにも思えるが、これらの動作を全てQRIOがリアルタイムに自分で判断しながら行っているという点で非常に難易度が高いといえるパフォーマンスだ。
具体的には、3次元認識技術を使い、ボールの位置とランドマークとなっているホールの位置を認識し、その距離を測りながら、パターを使ってボールを打っていく。もちろん、ボールとホールの位置関係も把握し、どの場所からボールを打てば良いかを計算。その処理結果に合わせ、的確な位置に移動してから打つのである。また、計測した距離によって、ボールを打つ強さもその都度、変えているという。
デモンストレーションでは、ボールを目の前に、ホールまでの距離を測り、「よーし、打つぞ。何度やっても緊張するね。位置の確認をしないとね。ピンまでの距離は67cm」などとコメントしながらパターゴルフを行っているQRIOを大勢の来館者が温かく見守っていた。
2つのデモンストレーションを見た筆者の感想としては、画像をきちんと認識し的確な処理を行うには、まだまだかなりの時間を要しており、これからもより精度を高め、高速な処理を行っていく必要はあるものの、画像処理技術の大幅な向上に大きな驚きを感じた。
もうひとつの新技術である「e-Locomo」についてであるが、従来、QRIOは歩行する際、足の裏全体で着地していたが、e-Locomoを搭載したことにより、全身のバランスをとりながら、つま先やかかとで着地できるようになった。そのことにより、歩幅が大きくなりより歩き方が自然に見えるようになったのである。
今回は、従来の歩行とe-Locomoの違いを実感してもらうため、特設ステージ上で、従来のQRIO4体と同技術を搭載したQRIO1体の計5体による太極拳などが披露された。実際、歩き方がより人間に近く滑らかになっていたほか、歩幅も格段に広くなっていた。太極拳においては、従来に比べかなり高くまで足を上げられるようになっていた。
一方、7階のイノベーションホールで開催された「QRIOが家族になっている未来」を体験できるコミュニケーションデモンストレーションには、1回につき20名強が参加し、4つのテーブルに各1体ずつ用意されたQRIOとのコミュニケーションを楽しんでいた。
具体的には、まず、参加者がそれぞれのQRIOに名前を登録していく作業を行った。QRIOに向かって、「君に名前を教えるよ」と呼びかけると、「名前を教えてくれるんだね。名前が決まったら、左肩スイッチを押してね」とQRIOが回答。「君の名前は○○だよ」と話しかけると、QRIOが「OK! 覚えたよ。これからは私のことをその名前で呼んで。そしたら返事をするよ。よろしくね」などと答えていた。
また、登録した名前を使い、「○○、お話しよう」と呼びかけると、QRIOがクイズを出してくれ、その答えに対し、身振り手振りを交えながら、「正解!」とか「んー、残念」と回答。そんなQRIOに対し、クイズの正解を真剣に考え、正解、不正解に一喜一憂している参加者の姿が印象的だった。
実際、QRIOは音声認識技術を使ってコミュニケーションを行っているわけであるが、クイズの場合は回答が限られているため、認識されやすい。一方、相手の言う内容が予測できない会話の受け答えなどに関してはまだまだこれからの課題だという。
コミュニケーションデモは約30分間という短い時間であったが、カリキュラムが終了してもQRIOの前からいつまで経っても離れようとせず、一生懸命話しかけている子供たちの姿があった。
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