【レポート】

GLOCOMが研究会開催 - 紙からWebへ、電子出版の新時代

2 「見られる」ネットメディア

    和泉真葵  [2005/02/11]

    ネット上テキストコンテンツは「見られる」事で価値が発生 - 御手洗大祐氏

    御手洗氏は発展途上のネットビジネスに日々奮闘

    シーネットネットワークスジャパンで取締役を務める御手洗氏は、広告の媒体として、インターネットに高いポテンシャルを見出している。御手洗氏が示した媒体別広告市場規模のグラフを見ると、テレビ、雑誌などのメディアでの広告掲載のニーズが横ばいなのに比べ、インターネットはここ数年で2倍に増えている。あと数年もすればラジオを超える勢いだ。

    ネット広告にはバナー、テキスト、メールなど様々な形態がすでに存在するが、それらをターゲットによって選んで提供することで、広告の有効な手段になりうると御手洗氏は考えている。

    インターネット上では内容のよしあしに関わらず、コンテンツ全てがフラットに掲載される。出版とオンラインのコンテンツは価値のあり方が根本的に違うと御手洗氏は分析している。出版物は、掲載するコンテンツ自体にすでに価値があることが前提で販売されている。しかし、オンラインコンテンツは「見られる」ことで価値が上がるのだと御手洗氏は考えている。そのような状況でインターネットをビジネスに活用するためには、ターゲット層に合わせた質の高いコンテンツ作りと、ターゲット層にリーチするプロモーション施策が欠かせない。そういった見地から同社では、企業の情報を記事として掲載するだけでなく、コンテンツをユーザーに配信するホワイトペーパーというページを運営している。このページに収録した企業のコンテンツを、会員が無料でダウンロードできるようになっている。会員はあらかじめ自分の情報を企業に提供することを承諾している。企業のターゲット層に合致したユーザーがいれば、その情報が企業に提供される。このようにして企業のマーケティングもサポートしているのだという。

    読者との相互関係を構築、記事に深み増す

    「見られる」ことで価値が上がるというのにはもうひとつ意味がある。オンラインでは読者のサイトとの間でコンテクストを作ることが可能、例えば、CNET Japanのレビューページのように、読者が投稿したレビューに対し、ほかの読者が投票をしたり、レビューを書いた人にメールを送ったりといったやりとりが生まれることで、ニュースの深化を図ることができるとしている。また、読者とのよい関係を築くことによって読者を確保でき、その上読者が自分のホームページ上でニュースへリンクを張ることもある。このネットワークによってまた読者がひろがっているという。

    御手洗氏は自身のビジネスへの姿勢を4つ挙げた。まず「コアビジネス・コアセットの把握」。シーネットワークスジャパンの場合、読者について把握することだ。次に「常識を疑う」こと。常識を受け入れてしまっては新たな発想は生まれない。そして局所最適化ではなく「ビジネス全体で発想すること」。木を見て森を見ず、ということにならないよう、自分自身を監視している。最後に「最新技術に目配りを常に行い、常に試してみる」こと。新しいものを導入することは「差別化」の意味でも重要だと考えている。

    ネットメディアはどこへ向かうのか?

    メディアのビジネスモデル

    ネットの登場によって、フリーのコンテンツが乱造されるようになった。膨大な情報を整理する技術がこれから伸びてゆくだろうと御手洗氏は推測している。正確で、質のよいコンテンツが見分けられるよう、情報ソースとしてよいものに対しては対価を払うことも必要だと考えているようだ。また、逆にそのネットのフラットさを利用した、参加型ジャーナリズムとして機能してゆくのではないかと御手洗氏は言う。メディアの大きな価値のひとつとして捕らえられていたチャネルの希少性は失われた。テレビやラジオ、出版物しかなかった時代、枠が限られていた時代とは違い、誰もが情報を発信できる時代。各種新メディアは、受け手に対して強くPRしてゆく必要があると、御手洗氏は話していた。

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