【レポート】

FC EXPO 2005 - 自動車以外でも、スクーター、自転車、車椅子にも燃料電池

    大塚実  [2005/01/21]

    燃料電池の乗り物への採用といえば、真っ先に思い浮かぶのが自動車。本田技研工業の「FCX」など、すでに多くの採用実績があるものもある。だが、それ以外の乗り物でも、燃料電池の搭載は進められている。

    燃料電池の自転車

    ジャパンゴアテックスのブースには、燃料電池で駆動する自転車が展示されていた。燃料に水素ガスを使用する固体高分子型燃料電池(PEFC)を搭載するもので、同社の膜電極接合体(MEA)である「PRIMEA」がこの燃料電池に採用されている。自転車そのものは非売品だが、水素さえ入れれば実際に走ることができるという。

    燃料電池自転車。フレーム部分に燃料の水素ボンベを搭載する

    PRIMEAはコレ。MEAとは、電解質膜の両側に触媒層を形成したもの

    ゴアテックスといえば、アウターウェアや靴などに多数採用されている防水性素材がよく知られているが、この展示会に出展していることからも分かるように、その技術を活かし、燃料電池関連の製品も開発している。

    ちなみに、この燃料電池の出力は1kWで、自転車はイタリアのバイクメーカー Apriliaが製造した。海外からそのまま持ってきただけで、ブースにいた担当者も最高速度など細かい性能は分からないそうだ。

    燃料電池の車椅子

    別記事で紹介した「SFC C25」の写真にもでてきたが、これにはカートリッジとしてBIC製のものが使用されていた。日本でも、ライターメーカーの東海が日立と協業して燃料電池のカートリッジを開発しているが、やはりライターを作っているBICがカートリッジを作っているあたり、海外でも思うことは一緒のようだ。

    BICは住友商事のブース内にコーナーがあった

    そのBICのカートリッジで動く燃料電池車椅子

    そのアプリケーションとしてデモされていたのが、今仙技術研究所が開発中の燃料電池車椅子。出力150WのDMFCを搭載しており、リチウムイオンバッテリも併用している。カートリッジが小さいので走行可能時間は20分程度と短いが、これはあくまで試作機のためで、製品化の際にはもっと燃料を搭載することになるだろう。

    同社はもともと電動車椅子を製造・販売しているが、環境への負荷が大きい鉛電池に代わる新たなエネルギー供給方法として、燃料電池に注目したのだという。今後は出力を300W程度まで向上させ、燃料電池単独で動作できるようにしたいとのこと。

    燃料電池のスクーター

    当然ながら、燃料電池をバイクにも搭載しよう、という話もある。昨年は、ホンダが水素供給型の試作機を発表したほか、ヤマハ発動機はDMFC搭載の「FC06」で公道でのテストも開始している。

    栗本鐵工所のブースで展示されていたのは、ホンダと同じく水素供給型のスクーター「D8C」。比較的安全に取り扱える水素吸蔵合金タイプの水素ボンベ2本を車体後部に搭載し、約2時間の走行が可能。最高速度は時速35kmだ。燃料電池はPEFCだが、発熱が大きいらしく、冷却は水冷システムになっているとのこと。

    燃料電池スクーター。エンジン音は「ウィ~ン」と静か

    後部から水素ボンベが2本入る。水素を使い切ったら交換

    このスクーターの開発は、台湾のAsia Pacific Fuel Cell Technologiesと協力して進めているとのことで、今後現地で公道の走行テストを行う計画もあるそうだ。台湾に行ったことがある人なら分かると思うが、台北市内の道路などはバイクが非常に多く、排ガスでマスクを使っている人も多かった。燃料電池自動車・バイクの必要性は高そうだ。

    これも実際に可動するもので、イベントで試乗することもあるという。走行メーターは24kmとなっていた

    使用する水素ボンベ。水素吸蔵合金タイプは、高密度に水素を貯蔵できるものの、重くなるのが難点

    燃料電池車椅子も開発。同じくPEFCを搭載し、ニッケル水素電池も併用する

    水素ボンベは4本搭載し、連続最大10時間の走行を可能としている

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