【レポート】

テレイグジスタンスの最新研究成果が公開、ド派手な影・透ける人間なども

2 テレイグジスタンスの最新研究成果が公開、ド派手な影・透ける人間なども

    大塚実  [2005/01/20]

    360度の立体ディスプレイ「TWISTER4」

    "テレイグジスタンス広角没入型立体ディスプレイ"と呼ばれる「TWISTER4」では、円柱形のディスプレイ装置の中央に人間が入り込み、自分の周囲に広がる立体映像を体験することができる。立体視には、最近パソコンの3D液晶でも利用されている"視差バリア"方式を採用。ディスプレイ基板には、左右の目それぞれのために縦に600ドット分チップLEDが並べられており、TWISTER4ではそれを36方向に設置(つまり10度間隔)。それを高速に回転させながら表示を制御することで、全周に切れ目なく3D映像が広がるという仕組みだ。

    TWISTER4の原理。LED前のバリアで、左目、右目それぞれに違う映像が入る

    ディスプレイモジュール。これが縦に3つ並び、それが36列分使用されている

    これがTWISTER4。こんな大きなものがグルグル回っている

    前バージョンのTWISTER3に比べ、規模が大きくなったほか、LEDの輝度も向上している。まだ組み上がったばかりとのことで、ラボツアーでは本来の1.66回転/秒ではなく、半分の0.83回転/秒での運転となっており、多少映像が見辛かったのは残念。しかしそれでも全周囲にCGの鮮やかな立体映像が広がるのは楽しむことができた。将来的には内部のキャプチャもできるようにし、2台のTWISTERを使って公衆電話のような使い方も考えられるとのことだ。

    動画
    TWISTER4の中で見る映像

    こちらも360度、ただし外側から「SeeLINDER」

    TWISTER4が中に入って見るタイプだったのに対し、外側から眺めるのが「SeeLINDER」だ。360度好きな方向から見ることができ、見る方向に応じた映像が表示されているので、内部に人や物が実際に存在するように見える。一見するとTWISTER4がただ小さくなっただけのようにも見えるが、仕組みはかなり異なる。SeeLINDERでは内側にLED、外側にスリットの筒があり、それが逆方向に回転。内側は100rpm、外側は1,800rpmという速度で回転しており、そのタイミングにあわせて表示をコントロールしている。

    SeeLINDERの原理。内側と外側は逆方向に回転している

    実際のSeeLINDER。静止状態だが、どこから見ても3D

    デモでは人間の映像を表示しており、SeeLINDERの周りを歩くと、正面からは顔が、横から見ると横顔がちゃんと表示されていた。そのせいか見ていると動いている映像のように感じるが、これはまだ"360度の静止画"。被写体の周りを移動しながら撮影した写真をデータ化しているのだ。ただ表示システムは動画にも対応しているとのことで、今後、様々な角度から同時に撮影できるようなシステムを開発し、1~2年で動画再生を実現する予定だ。用途としては、アミューズメント・広告・展示などが考えられているとのこと。

    動画
    移動しながら見てみる。途中、まばたきしている部分があるが、これは方角によって撮影された時間が少しずつズレていることによるもの。その方向から見るとずっと目は閉じたままだ

    超ハデな影「Movie-in-Shadow」

    常識的には、光が物体に遮られることで生じる「影」は暗いものだ。だが、原島博・東京大学情報学環教授の研究室では、カラフルな影を発生できるユニークなシステムのデモを行っていた。これは「Movie-in-Shadow」と名付けられたもので、重ね合わせることで白くなる「補色」の関係を利用している。

    Movie-in-Shadowの表示例。ポジとネガの関係にある映像を2つのプロジェクターから投影。位置を合わせれば、双方の光が当たっている場所は真っ白になるが、物体によりどちらかの光が遮られると、もう一方の映像が現れる

    格子柄だけでなく、このようなグラデーションも可能。さらに、「Movie-in-Shadow」とあるように、映像を表示するようなこともできる。この場合、自分の影の中だけで映像が見られるので、見たい部分に移動するなど、面白い使い方になる

    補色の関係にさえあれば、原理的にはどのような静止画・動画も表示可能だ。ただ両端の2つのプロジェクターからの投影画像を正確に位置合わせする必要があるため、その調整が難しいそうだ。プロジェクターの投影方向や位置を微調整するだけではそれは不可能で、ある程度調整した後は、ソフトウェアで補正しているとのこと。また補色の計算でも、理論通りに作ると合成しても白色光にならなかったため、事前に投影した光を計測して、補色の関係をあらかじめデータ化している。

    動画
    ハデな影。用途としては、舞台やイベントなどの演出などが考えられている

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